グルテンとはタンパク質のことだ。要するに小麦粉には糖質が入っているが、糖質だけではないのだ。タンパク質も入っている。糖質はどのように摂取するかによって健康によいか、そうでないかが決まる。ここでも「糖質」とひとくくりにしてはいけないのだ。
現在、健康に寄与するエビデンスが最も多く、質も高いのが地中海食だ。では地中海食とはなにかというと、これはまさに「要素還元主義」の真逆で、いろいろな要素をとりこんだ複雑な食事なのだ。オリーブオイル、パスタ、ナッツ、果物、野菜、チーズなど、いろいろな要素が取り込まれているのが地中海食だ。
■うどんを多く食べるから糖尿病になるとは言えない
香川県といえば「うどん県」として有名だ。香川県民は全国でも糖尿病が多いとよく言われる。それで「香川県民はうどんを食べるから糖尿病になる」という仮説が唱えられてきた。
しかし、ぼくが調べた限り、うどんの摂取と糖尿病の関係を調べた研究はひとつも見つからなかった(あったら教えてください)。香川県民は運動量が他の地域に比べて少ないというデータもあり、どうも「うどんだから糖尿病」と即決するのは時期尚早なようだ。
こういう直感的な仮説は、ちゃんとした研究で検証するのが大事だ。もちろん、現段階でうどんは関係ない、と断言するつもりもないけれど。
地中海食では、多くの果物と野菜を取るのが特徴だ。また、野菜を調理するときはバターやクリームソースは使わない。不飽和脂肪酸豊富なオリーブオイルを用いる。酸化が進んでいないエクストラバージンがとくによいとされる。
さて、地中海食では糖質(炭水化物)を制限しない。しかし、すでに述べたように「糖質」は「どの糖質か」が大事だ。地中海食では線維に富んだ(例えば全粒粉を使った)パン、シリアル、パスタなどを食べるよう推奨している。逆に砂糖、生成した白い小麦粉で作ったパン、ビスケットなどは用いない。
タンパク源は飽和脂肪酸があまり入っていない、赤みの肉、皮のついていない鶏肉、低脂肪乳やヨーグルトが好まれる。また、週に一回は魚を食べることが望ましいとしている。魚も「いろいろ食べるのがよい」とされている。ここでも多様性が大事なのだ。