「明日? 満席ですよ。明日はジャカルタの小学校が休みになりましたから」
「そんなこと知るか!?」
つい声を荒げそうになった。
結局、2回目も振られてしまったのだ。そうこうしているうちに、この区間が、インドネシアで最後の未乗車線になってしまった。
昨年の10月。夜のボゴール・パレダン駅。
「明日? 大丈夫ですよ。朝の7時から切符を売ります」
こうして僕は、ようやくインドネシアの全路線を制覇した。
列車に揺られながら、車窓に遊園地を探した。家族連れで遊ぶ施設があると思っていた。そうこうしているうちに、終点のチアンジュールに着いてしまった。駅員の遊園地について尋ねてみた。
「沿線にそういう施設はありませんね」
「でも、休日は家族連れでいっぱいになるでしょう」
「沿線には川とか山がありますから」
ジャカルタの人々は、休日になると、家族できれいな空気に包まれた川や山を訪ねるということらしい。
そういえば日本の高度経済成長時代。東京の人たちは、休日になると、多摩川や奥多摩に家族で向かったという。それが経済成長時代の人々のあり方なのだろうか。
※これまでありがとうございました。次回より新連載「旅をせんとや生まれけむ」が始まります。お楽しみに!