AERA dot.が9日に配信した「教育学部の志願者数が約10年で激減」の記事にもあるが、都市部の大学を中心に、教育学部の志願者数が大きく減少している。長時間労働でブラックだと言われている教員だが、実情はどうか。また、モンスターペアレント、モンスターチルドレンの出現で、教育現場にはどのような苦労があるのか。ここでは特に苦労が多いと言われる小学校教員らの声をお伝えする。
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「教職をブラック企業だと呼ぶのは風評被害。意欲と熱意ある教員は多い」
地方都市の小学校に勤務する50代の男性教員Aさんが、そう憤る。長時間勤務であることは否定しない。だが、ブラック勤務といわれる超過勤務に関わる内容は“自主的にやるもの”と、“命令でやらされているもの”の二つがあるのだという。
「私をはじめ、熱意を持って教員になった人たちは、教育の専門家なのだから、授業の準備や教材研究などのために時間を使うのは、まったく苦じゃないんです。時間をかけて準備することによって、授業がうまくいくとうれしいし、やりがいがあります。うまくいかなかったときには、より子どもたちが理解できるよう、改善を加えます」
Aさんが言葉を強めた「教育の専門家」という意味。実は、教員を教育労働者としてとらえる日本教職員組合(日教組)と異なり、全日本教職員連盟(全日教連)は、「教員は教育労働者であるとともに、教育の専門家」と位置付けている。Aさんは全日教連に所属し、“教育の専門家”と自負している。
■給食費払わずに、ブランド服を…
だが、命令でやらされているだけで、本音では「やりたくない」と思っているのが、教育とは直接の関係がない集金業務などの雑務だ。新卒採用になった約35年前には、給食費や教材費の集金業務は事務員がやっていたが、20年ぐらい前からその雑務が教員の仕事になったという。
「実際に給食費を払えない家庭はそう多くはありません。払う気がないのです。そういう家庭からはクレームも多いのですが、時間をかけてようやく信頼関係を築き始めた時に、『給食費を払ってください』の一言で、また元の関係に戻ってしまいました。教員じゃなくてもできることは、事務員さんにお願いするなどして、集金業務をなんとかしてほしい。給食費を払わないまま卒業したとき、管理職の先生が自腹を切って支払った学校もあると聞いたことがあります」(Aさん)