国公立大が就職支援に力を入れた成果は数字に示されている。

 例えば、出身大学別の人気企業への就職者数ランキングでは、学生数の多い早慶などの私立大が上位に並ぶなか、国公立大が大健闘している(図表=2017年就職者数。「大学ランキング2019」から)。東京工業大学、一橋大学、大阪大学などが上位を占めている。

【東京工業大】
資生堂10人(1位)、ソニー17人(3位)、アサヒビール3人(3位)、NTTデータ20人(3位)、味の素4人(4位)など

【一橋大】
伊藤忠商事10人(3位)、アサヒビール3人(3位)、サントリーホールディングス4人(6位)など

【大阪大】
パナソニック59人(1位)、トヨタ自動車42人(1位)、オムロン4人(2位)、日立製作所27人(3位)など

 例えば大阪大は、大手、人気企業だけに目を向けているわけではない。中小企業の魅力もきちんと訴えている。

「中堅・中小企業で働く良さ 優良企業多数! 企業とともに成長できる環境。仕事を通じて大きなやりがいを感じることができるのは、必ずしも大企業に限られたことではありません。規模が小さい企業だからこそ感じられるやりがいや喜びも多くあります。中堅・中小企業についてよく知り、就職先の一つとして検討してみましょう」(大阪大学生・キャリア支援課のパンフレット)

 国公立大は就職実績についてそれほどアピールしていない。就職関連のランキングでは私立大の陰に隠れてしまいがちだからだ。こうしたなか、注目を集めているのが福井大学だ。

 17年度卒業・修了者の全国大学実就職率(大学通信調べ)で、福井大は97.3%だった。複数学部を有する卒業生1000人以上の国立大ではトップ。しかも11年連続の1位とな
った。全国平均は88.6%である。

 地方国立大が就職力をアピールすることで、「うちは他の国立大とは違うんだ」と独自性を示そうとしている。地方の大学の元気の良さは、国の政策である地域創生にもマッチする。文科省からも社会からも、もっと評価されていいのではないだろうか。

(文/小林哲夫教育ジャーナリスト)

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