■感染の波起こる可能性

 米国でもBA.5は主流ではなくなりつつある。代わりに増えているのはBA.5の亜系統、BQ.1とBQ.1.1だ。

 米疾病対策センターによると、10月23~29日の週に解析されたウイルスのうちBA.5は49.6%で前週の60.3%から減った。一方、BQ.1は14.0%(前週は9.3%)、BQ.1.1は13.1%(同7.2%)と、ともに増加した。

 欧州でもこの2亜系統は増えている。WHOによると10月9日現在、日本を含む65カ国で見つかった。11月4日現在、都内では前週から46件増えて92件見つかった。

 英国の健康安全保障庁によると10月20日現在、BQ.1の増加率はBA.5の1.53倍、BQ.1.1は1.63倍と推計されるという。

 WHOの新型コロナウイルスの変異に関する諮問委員会は10月24日、XBBとBQ.1(BQ.1.1を含む)の性質や影響を検討した。どちらも現時点では重症化率が高くなっているというデータはない。

 一方、オミクロン株の登場から時間が経つにつれ、オミクロン以外の株だけでなくオミクロン株に感染した人も免疫が低下し、再感染のリスクは高くなる、と諮問委員会は指摘。各国にこう呼びかけた。

「XBBもBQ.1も、ワクチン(を打っていても感染する)ブレークスルーや再感染のリスクが高い、懸念される変異株オミクロンの仲間だ。新たな感染の波が起こる可能性があるという前提で対応する必要がある」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2022年11月14日号