61歳で公立小学校の校長を定年退職した福田晴一さんが「新入社員」として入社したのはIT業界だった! 転職のキーワードは「プログラミング教育」。今回は、全国を教員研修で回っている中から見えてきた「格差」、特に環境整備について取り上げる。
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今回の小学校プログラミング教育の必修化は、新学習指導要領の全面実施の2020年度からとなっている。とはいえ、2020年の4月から一斉に「はい、今年からプログラミング教育ですよ」と変えられるものでもない。
そこで、学習指導要領の変わる時は、2年ほど前から移行期間を設け、自治体や学校によって前倒しして取り組めることができる。むしろ、文部科学省としては、前倒しの取り組みを推奨している。
移行期間となった、2018年度、つまり昨年度、私は教員研修で全国各地の自治体を訪問し、多くの教員研修を実施してきた。都道府県単位でも、宮城県、新潟県、栃木県、東京都、神奈川県、鳥取県、京都府、大阪府、和歌山県、兵庫県、愛媛県、福岡県、宮崎県等々。単発の研修会もあるが、県によっては複数回訪問し、先生方の実践授業報告会まで含めた指導教員養成の研修会も行ってきた。
全国を回る中で感じたことの一つ。それは、「格差」だ。
私が研修を行うのは公立小学校。日本の公教育(義務教育)の良さはなんといっても教育を受ける機会や環境が全国どこに住んでいても均等であることだ。つまり、学校内の教育は教育格差を生むものではない。
しかしこのプログラミング教育は、従来の格差が生じにくい学校内の教育においても格差が生じかねない懸念を、私は抱いている。
研修の前に学校のコンピューター室を含めてICT環境を見せてもらうのだが、毎度この段階はドキドキする。ここはICT先進地域なのか、後進地域なのか。それによって研修内容も変更しなくてはならない。
高学年全児童にタブレットが配備され、各教室には大型提示装置と無線LANのアクセスポイントが設置されており、高学年児童がタブレットを小脇にかかえ教室移動している公立小学校もある。