症状を悪化させないために必要なことは?(※写真はイメージ)
症状を悪化させないために必要なことは?(※写真はイメージ)

 乾癬(かんせん)は患者数が多い割に、あまり聞き慣れない皮膚の病名だ。治療の中心は塗り薬だが、使い勝手などの課題も多かった。しかし新たな飲み薬や生物学的製剤も登場するなど、乾癬治療は新たな時代に突入している。

 乾癬は、慢性の皮膚の病気だ。皮膚の免疫機能が異常になり、皮膚が炎症を起こす。国内の推定患者数は30万~40万人。いくつかのタイプがあるが、約9割を占めるのが尋常性乾癬だ。

 正常な皮膚なら、いちばん外側にある表皮の細胞が約45日かけて作られるのに対し、乾癬患者の患部は10倍くらい速く(4~5日)作られる。そのため皮膚が赤みを帯びた紅斑(こうはん)となり、過剰に作られた表皮細胞が厚く積み重なって、銀白色のかさぶたのような鱗屑(りんせつ)が付着してポロポロと剥がれ落ちる「皮疹(ひしん)」ができる。そのため患部が頭部にあるとフケが異常に増え、頭がかゆい日が続くことで初めて病気に気づく人も多い。

 この病気は、免疫に異常を起こしやすい体質の人に、ストレスや脂っこい食事、肥満といった要因が加わって発症すると考えられている。重症になると臓器にも炎症の影響が出て、心筋梗塞などになることもある。

 現在は根本的に治す方法がない病気だが、近年は薬物治療が大きく進化し、症状も劇的に改善できるようになった。

 乾癬治療の多くが外用療法(塗り薬)から始めるのが基本だ。症状の進行に伴い、光線療法(紫外線の照射)、内服療法(飲み薬)へと進んでいく。筑波大学病院皮膚科教授の藤本学医師はこう話す。

「外用療法、光線療法、内服療法は主に軽症・中等症の患者に対する治療法で、一定の効果があります。ただし、外用療法は毎日塗る必要があり、時間や手間がかかるうえにベタベタするので、患者さんのQOL(生活の質)を低下させます。光線療法は1~2週間に1回通院する必要があり、長期にわたって繰り返しおこなうと発がんリスクの懸念もあります。内服療法は副作用で治療を継続できない人もいます」

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