中国より実はすごい日本のテレビ局のAIアナたち リアル女子アナの意外な反応とは?
リアル女子アナも「人手不足なので助かる」? ※写真はイメージです(写真:Gettyimages)
新華社通信のAIアナウンサー(c)朝日新聞社
中国・国営新華社通信が発表した「AIアナウンサー」が世界を驚かせた。
「365日24時間対応」「読み間違えゼロ」を売りとするだけではなく、「実在する」アナウンサーの映像と声をコピーしており、その精巧さは、まばたきやまゆげの動きまで模倣するほど。
中国のAIアナウンサーが話題になったのは、その「コピー」力で、実は日本でも、各局がAIアナウンサーを開発し、実証実験を進めている。
NHKは今年4月から、「ニュースチェック11」にキャラクター「ニュースのヨミ子」がニュースを紹介、TBSは「いらすとキャスター」を、日本テレビはアンドロイドアナウンサーの「アオイエリカ」を開発。他にも共同通信デジタルとソニーが開発したバーチャルアナウンサーの「沢村碧」などがいる。
AIアナウンサー「荒木ゆい」を開発している株式会社スペクティ代表取締役の村上建治郎氏は「日本でも中国のような技術は持っている」と言う。
「技術としては、中国だけではなく、世界中でできます。実際にアメリカでは、オバマ元大統領をコピーした映像をつくった。原稿を読む姿はそっくりで、目線の動きや動作も同じ。今のAI技術であれば、そのレベルは可能です」
中国とは異なり、日本で開発されるAIアナウンサーはキャラクターやイラスト仕様だがその理由はなんなのか。
「日本は完全にリアルにつくるより、キャラクターやアニメのほうが視聴者受けしやすい。キャラクターの設定を細かく決めて、親しみやすくしている。技術というより、日本の文化的なことです」(前出の村上氏)
「アナウンサーはAIに職を奪われる職業だ」と言われて久しい。だが、フリーで働く、30代の女性アナウンサーを取材すると意外にも「歓迎」するという意見だった。
「ストレートニュースならぜひAIアナウンサーにやってほしいです。その分、AIアナウンサーができない番組進行に回ることができます。ラジオ局で働くこともあるのですが、人手が全く足りず、24時間の勤務体制も、なんとか一人で回している状態。アナウンサーが一人で局に泊まり込むこともざら。24時間対応できるAIアナウンサーにニュースを読んでもらい、自分のやりたい仕事に注力したい」
災害時など1人でも現場に人手が欲しいときにも重宝されるかもしれないという。
前出の村上氏もこう言う。
「働き方改革に有効です。早朝や深夜に人を常駐させられない小さな地方の放送局に使われることは人を雇うより安価ですし、これから増えていきます。声だけだとAIだと気が付かなかったと視聴者の反応もある。それだけクオリティが高くなっているのが現状です」
しかし、うかうかしているとアナウンサーたちは職をAIに奪われる心配はないのか。
「皆、ニュースが出るたびに、『仕事なくなるねー』と冗談交じりで話していますが、心の底から思っていないですね」(前出のフリーアナウンサー)
AIは、アナウンサーの働き方改革に、一役買いそうだ。(本誌・田中将介)
※週刊朝日オンライン限定記事
週刊朝日
2018/11/17 11:40