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第1294回 犬を甘く見ると痛い思いをしますよ!
第1294回 犬を甘く見ると痛い思いをしますよ!
 豆柴の雌「夏」(写真)、3歳です。  夏は2代目です。初代の犬も豆柴でした。集合住宅に住んでいるため、ペットは体長が50センチ以下でなくてはならない決まりがあります。そこで豆柴を、それもわざわざ両親の体格まで確認して選びました。  初代も雌犬で、3月生まれだったので「桃」と名付けました。ところが仕事の忙しさにかまけ、昼間は近所の妻の実家に預けていました。そして、朝夕の散歩以外、ほとんどかまってやれませんでした。  そういった事情があったせいか、桃はとても手のかからない、おとなしい性格の犬でした。ほとんど吠えることもなく、しつけに困ったこともありません。  待たされて、待たされて、待たされ続ける犬生だったねと、13歳8カ月の生を終えた桃に詫びました。  しかし、8月生まれなので夏と名付けた2代目は違います。元気の塊、やんちゃ娘です。  活発すぎてフローリングをかじります。せっけんを食べます。壁もかじります。散歩の時、少し興奮すると飼い主のアキレス腱のあたりを噛みます。ぐいぐい引っ張り、ダッシュを繰り返します。まるで「世の飼い主様、私たち犬を甘く見ると痛い思いをしますよ」と言わんばかりに暴走行為を繰り返すのです。それでもやっぱり夏は可愛く、夜は一緒に寝ています。  散歩も、最低でも1日2回、それぞれ1時間前後連れていくことにしています。夏はいつも大好きなボールを持って、近くの松原を散歩しています。  ずいぶん前にこのコーナーに投稿した方が、たしか書いていらっしゃいました。「幼年期にたっぷり運動した犬が長生きする」と。  そのことを、桃を十分かまってやれなかった反省も込めて、実践しています。 (吉村和義さん 佐賀県/64歳/書店主) 【原稿募集中!】 「犬ばか猫ばかペットばか」では、みなさまからの原稿をお待ちしております。 原稿は800文字程度で、ペットのお写真を添付のうえ、下記メールアドレスまでご送付下さい。 必ず名前、住所、年齢、職業、電話番号のご記入をお願い致します。 尚、掲載は本コーナーと「週刊朝日」の誌面となります。謝礼は6千円 mypet@asahi.com ※著作権は本社に帰属します
動物
2018/10/04 10:52
神童・片山さつき初入閣で「新失言王」誕生か? 麻生財務相超えも
神童・片山さつき初入閣で「新失言王」誕生か? 麻生財務相超えも
安倍晋三首相(中央)らが5日夜に参加した懇親会「赤坂自民亭」の集合写真。右下が片山さつき参院議員(西村康稔官房副長官のツイッターから) 正装で首相官邸に入る地方創生・規制改革・女性活躍推進担当相に内定した片山さつき氏(c)朝日新聞社  安倍晋三首相は2日、自民党役員人事と内閣改造を行った。女性としては唯一、片山さつき参院議員が地方創生担当相として初入閣した。  片山氏といえば自他ともに認める「エリート中のエリート」である。東大法学部を卒業後、1982年に旧大蔵省に入省。在職中にフランス国立行政学院に留学し、女性初となる主計局主査、その後に主計局主計官などを歴任。2005年の衆院選に自民党から出馬し、初当選した。  絵に描いたようなエリート街道を歩んできた片山氏は、子供のころから「神童」と呼ばれていたという。小学校時代の知人はこう話す。 「『開校以来の天才』と言われていて、しかも美人。もちろん有名人でした。教科書を読めば何でもすぐに理解できるらしく、『私と同じ勉強法をすれば、誰でも東大に受かりますよ』なんてことをサラリと言ってました」  大手予備校の全国模試で1位になった経験もある神童の感覚は、やはり常人とはかけ離れているようだ。自民党関係者の証言。 「選挙応援に来てもらった時に話をしていると、突然『私の父も東大なんだけど、理系なんですよね』と、問わず語りをはじめましてね。こちらが『そうなんですか』と話を合わせていると、『でも、私は法学部に行って大蔵省に入ったんですよ』と、サラリと言う。嫌味ではないんです。天真爛漫な人なんでしょうね」  ただ、こういった奔放な発言が、これまで繰り返し問題となってきた。  2014年9月、御嶽(おんたけ)山が噴火して戦後最悪の火山災害となった。片山氏は噴火翌日に自身のツイッターにこう投稿した。 <某町村長と話。(平成)22年の民主政権事業仕分けで常時監視の対象から御嶽山ははずれ、政権奪還後漸く予算共々少し戻せた>  民主党政権の事業仕分けが被害を大きくしたと読める内容だ。その結果、事業仕分けの中心的存在だった蓮舫参院議員にはツイッターなどで「キサマが予算を削った分、人の命が削られてんだよ(怒)」などと罵声が浴びせられた。  ところが、これはまったくのデマ。民主党(当時)から抗議を受けた自民党も内容の誤りを認めた。片山氏は該当する投稿を削除し、「深くお詫び申し上げます」と謝罪した。  これだけではない。13年5月には台湾人女性から聞いた話としてツイッターに、 <台湾と中国の人の最大の差は価値観。お金のため人殺しというのは台湾にはない>  と投稿。これも差別発言だとして批判された。  まだまだある。  17年6月に放送された「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)では、加計学園問題について議論をしている時に、四国で獣医師が不足している理由として「あそこ(四国全体)離れ小島ですから」と発言。共演者から「失礼だ」とその場で非難された。  最近では今年7月、西日本を中心に豪雨が降り続いていたさなかに、衆院議員宿舎で行われた自民党議員同士の交流会「赤坂自民亭」の写真をツイッターで公開。「安倍総理初のご参加で大変な盛り上がり!」「若手と総理とのお写真撮ったり忙しく楽しい!」と書いた。これをきっかけに、政権幹部が災害対応を無視して飲み会に参加していたことがわかり、厳しい批判を受けた。  数々の失言で問題化した過去を持つ“炎上女王”の入閣に、早くも財務省関係者から心配する声が出ている。 「片山さんは財務省時代、数字を見るとすぐにポイントを理解して、事務処理能力がものすごく高かった。ただ、『この国をこうしたい』という国家観はなかった。なのに政治には興味があるので、ネット右翼のような思想に染まってしまう。野党もそこを攻めてくるでしょうね。もしかしたら麻生財務相以上に失言が問題になるかも……」  数々のペーパーテストをトップの成績で突破してきた神童は、大臣としてどのような仕事をするのか。まずは頭のよさをフルに使って、失言による“炎上”を控えめに。 (AERA dot.編集部)
dot. 2018/10/02 16:55
DV被害も「結婚のため我慢」 アラフォー女性の生きづらい現実
DV被害も「結婚のため我慢」 アラフォー女性の生きづらい現実
たまたま就職時に不況だった世代が不利益を被っている。派遣社員の女性(45)は「新卒正社員はキャリアアップ転職し、私たちはブラック正社員と派遣の負のループ。この両者の間に分厚いガラスの天井があり、行き来はほぼ不可能」と嘆く(撮影/今村拓馬) アラフォー世代の「失われた20年」(AERA 2018年10月1日号より) アラフォーの未婚率は過去より高い(AERA 2018年10月1日号より) 新卒時に非正規という人は年々増加(AERA 2018年10月1日号より)  1990年代半ばから00年代前半に社会に出た就職氷河期世代。学校卒業後、長期に渡り非正規労働の余儀なくされるなど、辛酸をなめ続けてきた。今やアラフォーを迎えているこの世代の女性たちは、特有の生きづらさに直面している。 *  *  * 『非正規・単身・アラフォー女性』の著者で自らも氷河期世代の作家、雨宮処凛さん(43)は言う。 「私たちの世代は厳しい働き方を強いられ、30歳すぎにはリーマン・ショックで派遣切りに遭った人も多い。みんなが不安を抱えています」  雨宮さん自身も、将来への不安をかき立てられるような出来事があった。40歳を過ぎた2年前、賃貸マンションの入居審査に落ちたのだ。不動産会社の担当者は、仕事がフリーランスの上、保証人になった父親が65歳以上だったことが原因ではないか、と推測した。20代の頃は年収100万円台でも部屋を借りることができたのに、その数倍稼ぐようになった今、断られてしまう。この20年間の頑張りを否定されたような気がした。  結局、家賃保証会社を利用できる別の賃貸マンションを契約。家賃のほかに、毎月7千円余りを保証会社に支払っている。雨宮さんは言う。 「この社会は、『単身で生きていく中年女性』ということが想定されていないから、生きづらい場面が多い」  経済的不安定さは、人生の選択肢も狭める。アラフォー世代は、働いて生活していくことに必死で、結婚や出産を経験していない人も少なくない。アラフォー世代の未婚率は増加しており(グラフ)、15年の調査では40~44歳で男性の約3割、女性の約2割が未婚だ。氷河期世代の一部は団塊ジュニア世代(71~74年生まれ)にあたるが、経済的事情や未婚・晩婚を背景に出生率も低迷し、第3次ベビーブームは起きなかった。 「必死に働きやっと経済的に安定したのが30代半ばという人も少なくない。その頃には婚活市場では不利で“卵子の老化”まで畳みかけてきた」(前出の雨宮さん)  慶應義塾大学出身の女性(43)は、今ではPR会社の部長職に就くが、新卒時には内定がもらえずに、学生時代のアルバイト先の契約社員として社会人をスタートした。30代半ばまで履歴書の欄に書ききれないほど転職を重ね、休日・深夜関係なく働いた。6年前に今の会社に入社して、やっと生活が落ち着き、38歳で結婚。それまでは結婚など考える余裕もなかったという。  この世代は、父親がサラリーマン、母親が専業主婦という高度経済成長期の日本の典型的な家庭で育った人も多い。経済が右肩下がりの今、親世代の家族モデルをめざすことなど不可能なのに、そこに幻想を抱いてしまう面もある。それも、生きづらくさせる要因の一つだ。  男性は「自分だけの給与で家族を養えるまでは」と結婚に踏み切れず、一方女性は、「いつか結婚して“永久就職”をすればいい」と非正規雇用を選んだものの、気付けば未婚のままアラフォーという人もいる。  実際、女性の非正規未婚の数は多い。17年の労働力調査によると、アラフォー世代(35~44歳)の非正規雇用率は3割弱。男性は9.2%だが、女性は52.5%にもなる。また、非正規で働くアラフォー女性のうち67.7%が未婚だ。  新卒時は正社員で就職したが、転職を重ねて今は契約社員として働く未婚の女性(40)は言う。 「下の世代の女性は、結婚してもしなくても一生働くつもりで就職している人が多い印象。正社員として着実にキャリアを重ねる彼女たちを見ていると、自分の浅はかさに腹が立って……」  中には、結婚=安定のチャンスだからと、交際相手からのDVにも我慢している人もいる。11年からデートDV(婚姻関係のない交際間で起きる暴力)の電話相談を行う認定NPO法人エンパワメントかながわの阿部真紀理事長によると、出産のリミットが近づいているアラフォー女性の中には結婚への強い執着や経済的な事情で別れられないと考えるケースも目立ち、両親やきょうだいも疎遠だと「この人と別れたら独りになってしまう」と思い込んで被害が深刻化してしまう人もいるという。  NPO法人ほっとプラス(さいたま市)で生きにくさを抱える人たちの相談業務や支援を行う社会福祉士の藤田孝典さん(36)はこう指摘する。 「いま働く人の6割が正社員ですが、就職氷河期以降、正社員のうち3分の2は正社員とは名ばかりのブラックな働き方を強いられ、賃金も上がらない『2級正社員』です」  過重労働などで心身を壊す人も増えていて、全国健康保険協会のまとめによると、17年度に傷病手当金を支給した傷病の1位はうつ病などの「精神および行動の障害」で28.6%。この20年余りで6倍以上に増えた。  不安定な雇用は転職氷河期世代ばかりでなく、下の世代にも広がり、新卒時に非正規という人は年々増えている。藤田さんは言う。 「就職氷河期世代以降は雇用も不安定で簡単に生活困窮に陥るのに支援が極めて少ない。日本全体の問題として現実と向き合っていく必要があるし、私たち自身が当事者として政治や政策に訴えていくことも大切だと思います」 (編集部・深澤友紀) ※AERA 2018年10月1日号より抜粋
働き方
AERA 2018/10/01 11:30
ランニングドクター直伝「女性による、女性のための走り方」
ランニングドクター直伝「女性による、女性のための走り方」
秋風のなか走るのは気持ちいい。呼吸でリズムを整え、笑顔で走ることがコツだという(撮影/岡田晃奈) 【ランニングドクター】林幸枝(はやし・ゆきえ)/昭和大学歯学部を卒業。矯正歯科、予防歯科、口腔リハビリテーションなどの歯科医として活動。NPO法人日本医師ジョガーズ連盟公認ランニングドクターに登録(撮影/岡田晃奈) ランナー5カ条(AERA 2018年10月1日号より)  走るにはいい季節になってきた。「今年こそは」と考えている人もいるだろう。記録を伸ばすより、気分もよくなり健康になる「RUN」とは、一体どんなものか。 *  *  *  ラブラブだった男女の仲が、憑きものでも落ちたように冷めることを「秋風が立つ」という。「秋風」を「飽き風」に引っかけた、古今和歌集にも出てくる太古のシャレだ。  一方、中高年ランナーのはしくれである自分の場合、秋風はいわば「飽きてないわよ風」。「こんな暑さのなか走るのは、体に悪い(ラッキー)」とサボりまくっていたけれど、秋の気配とともに、またしぶしぶランニングシューズを出してきた。  というわけで、東京オリンピック2020の選考会も兼ねる来年の東京マラソンの申込期間は、残念ながらもう終わってしまったが、秋風と一緒にせっかく戻ってきた走る気。大事に育てていきたいと思う。  そうして訪ねたのは、歯科医師で、全国のランニングイベントでランニングドクターも務める林幸枝さん(51)だ。ランニングラボと矯正歯科室が一体になった「ラントゥービーラボ」(東京都品川区)を、夫でプロランニングコーチの金哲彦さんとともに運営している。  今回林さんの教えを請うのは、本誌デスクと自分の、中高年女子コンビ。ちなみにデスクは今年2月の誌面で、仕事のうっぷんを「次の日の業務に支障が出るほど」ハードな深夜のランで晴らすことを告白。金さんに「ヤケ走り」と認定された。 「私が走るようになったきっかけも、ストレスからの解放でした」  そう話す林さんがランニングを始めたのは、金さんと出会う前の39歳のとき。歯科医として働きながら、父の介護でいっぱいいっぱいになっていたときだった。お酒やスイーツで、がんばる自分を甘やかす日々だったが「第1回東京マラソン」のポスターを地下鉄で見かける。 「東京でマラソンをやるんだ、と目にとまった。精一杯世話をしても意思の疎通が取れずにイライラしていたとき、そのポスターを思い出して何げなく走ってみたら、気分がすっきりした。クセになって、5分が10分に、10分が15分にと走れる時間が延びていったんです」  その第1回東京マラソンに出場して見事完走。以降は、多くのマラソン大会を走破している。林さんが考えるようになったのは「特に女性に実践してほしい」というリズムを意識したランニング法だ。まず走るときのリズム。ゆるい一定のリズムを呼吸で刻んで走ってみると、ご飯がおいしくなるし、メンタルの変化も大きいと気がついた。 「実は歯科医と関係の深い噛むという行為にも、人それぞれに一定のピッチがあり、自分に合ったリズムで噛むとセロトニンという幸せホルモンが脳内に放出されることがわかっている。ランニングも似ていて、その人に合ったリズムで走れば、気持ちが落ち着き、幸せを感じることもできるんですよね」  生理や排卵など、約1カ月のリズムがある女性の場合は特に、こうしたリズムが重要だと林さんは考える。トレーニングメニューも、こうした体の周期に合わせて組み立てることを、女性ランナーに提案している。 「生理のときは骨盤が開くなど、女性の体の周期は骨格とも関係しています。このリズムを無視して過度に練習すると、体に不調が出ることが多いのでは」  具体的に生理前は、スロージョギングなど燃焼系の有酸素運動、生理中は骨盤が開いているので、無理せず徐々に軽い運動を。一方、生理が終わったあと5日後くらいからはストレッチを加え、その後タイムトライアルなど、追い込むトレーニングをするのに向いているという。  ちなみに閉経前後でも心配ご無用。満月を生理日に見立て、28日間の周期をランニングによって作れば、長年慣れ親しんだ体内時計のリズムを、呼び戻せることもあるとか。イエース!  もうひとつ、女性ランナーでありがちなのは、がんばりすぎてしまうこと。 「今日より明日、明日より明後日と、記録が伸びないと気がすまなくなってしまう」  と、ヤケ走りのデスクも言う。自分にも心当たりがある。たった3センチほどの段差で派手に転ぶとか、好きなタレントの名前を忘れるとか、脳を含めた身体能力は右肩下がりの一途。ところが毎日走っていれば、誰でも走れる距離は延びる。自分が若返ったと勘違いする。 「走れると、それだけで健康体と思い込む女性は多いのでは。でも普段体のリズムが狂うような習慣があると、健康を害すのは誰でも同じ。長く健康で、美しくいられることをモチベーションに、ランニング中は『気持ちよく走れてる?』と、体の声に耳を傾けるのがいいですね」  そう林さんから教えてもらったところで、いよいよ実践練習だ。ウェアに着替えてランナーが多い公園に向かった。  ところで自分が走るのは、たぶん冬以来。汗をかいているせいだと思いたいが、以前はすんなり入った気がするタイツやスポーツブラが、妙にキツい。スポーツブラにいたっては、装着している途中で、脱ぐことも着けることもできなくなり、阿波踊りのような格好のまま緊急停止。夫にブラを引っ張って助けてもらうという失態を演じてしまった。というか、そんなことよりランニングだ。 「走るポイントは大きく三つ。丹田や肩甲骨を意識すること。そして特に腰の姿勢ですね」  まず体の重心である丹田は、地面に対して垂直になるように着地。「シューズの先がちらっと見える」前傾姿勢が基本となる。肩甲骨は大きく回し、ここからリズミカルに腕を振ってピッチを刻んでいく。お尻を落とさず、猫背にならないように。  これらの重要ポイントを押さえ、準備体操をしたあとは、3人でレッツ!ランニング。 「はい、口角を上げましょう。ほっぺたが、サングラスの縁にかかるくらい思い切り!」  林さんから何度も注意が飛ぶ。口角を上げると幸せホルモンが発生。走る苦しさから脱却するには、手軽な方法だという。  もうひとつ、林さんが実践しているのが「ランニング瞑想」だ。こちらヨガからヒントを得たもので、時間を三つに分け、最初は「今日のこと」、次に「過去の過ち」、最後に「未来のこと」を走りながら考える。  例えば「今日のこと」はここに来るまでの一日を回想、「未来のこと」は、「社長になる」など人生の目標でも、「このあとサウナに直行してビール」みたいなご褒美の妄想でもOK。問題は「過去の過ち」。 「私の場合は父にもっとやさしくしてあげたかったなどと考えるかもしれない」(林さん)  自分の場合は子ども時代に飼っていた亀のことを思い出していた。冬眠させてやろうと土を掘って埋めたところ、普通に生き埋めにしてしまった。ごめん。こんな感じで老いも若きも女子はゆるゆるランニング。口角上げて! スマイル0円!(ライター・福光恵) ※AERA 2018年10月1日号
ダイエット健康女子
AERA 2018/09/29 07:00
中国にシリコンバレー出現 アマゾンから独立起業する若者も
中国にシリコンバレー出現 アマゾンから独立起業する若者も
男女、そして大人と子どものロボットたち。自分の子や孫などの声にも設定でき、子ども用ロボットの高さは、お年寄りの座る高さを意識してつくられた(写真:黄剣峰さん提供) 創業大街は、街の案内のデザインなども統一されておしゃれで洗練された雰囲気。こういう案内板がいたるところにある (c)朝日新聞社  ITの進化が速い中国。最前線の技術には投資も集まる。若い世代はITで起業をめざす。利益と社会貢献の両得をねらう人たちも多い。 *  *  * 「いま、中国では9割以上の老人が自分の家で最期を迎えています。彼らは老人ホームには行かない。でも子どもたちは外で仕事をしています」  AI技術者で起業家の黄剣峰(ファンジェンフォン)さん(39)は6月、深セン(※「セン」は土へんに川)でプレゼンをしていた。黄さんはお年寄りのお相手ロボットである「康益三宝」(健康に三つの利益、の意)を開発中だ。  4回目を迎えた中国社会的企業・社会的投資フォーラムの一幕で、中国全土から起業家や投資家、NPOや財団投資家ら約千人が集まった。起業家が投資家らとの出会いをめざして次々と登壇し、売り込んだ。  利益だけでなく、社会貢献もめざす社会的企業。貧困や高齢化、環境など社会課題がてんこ盛りの中国では関心が高まっているが、今回の特徴はITをはじめとするテクノロジーを利用した企業が非常に多いことだ。  毎年同フォーラムを取材しているが、中国ではテクノロジーの進化と定着が恐ろしく速い。一昨年はウィチャット(中国版LINE)がなければ取材に支障をきたし、昨年は食事の「割り勘」もスマホが当然になっていて、今年は市場で買い物をするのに現金を出したら驚かれた。  社会的企業もテクノロジーも、社会変革の最先端をいくという意味では共通しており、親和性があるのかもしれない。若い世代が両者を組み合わせ、どんどん起業している。黄さんの取り組みも、単なるロボットやAIではなく、あくまでも「お年寄り向け」である点が特徴だ。なぜお年寄り? 「両親が出稼ぎをしていて、おばあさんに育ててもらったんです。大学の時に亡くなったんですが、何も恩返しができないままにそばにいてあげられず、すごく悔しかった。こんな思いを他の人にさせたくない」  アリババなどの技術者を経て2015年に起業、昨年の9月に初試作品ができた。 ロボットは目など顔の表情もあり、会話もできる。血圧計測や一緒にダンスすることも可能だ。24時間モニターし、万一の時には病院につながり、医師らが駆けつけるという。  経済も拡大中の中国は、商機があると見れば投資家は寄ってくる。15年まで一人っ子政策をとっていたため、日本同様に少子高齢化が深刻だ。黄さんの事業にもフォーラムだけで1千万元(約1億6千万円)の投資が決まった。今年中には商品として発売したいという。  北京でIT会社を経営する易シン(※「シン」は日へんに斤・イーシン)さん(33)もプレゼンをした。中国のNPOや公益財団向けに営業支援やデータベース構築のITソフト作成、コンサルティングを行っている。  ラジオ局に勤めていた08年、四川大地震が起きた。復興支援のボランティアをしていたが、そこで出会ったボランティア団体の人事やプロジェクト管理のやり方がみな、あまりにアナログなことに驚く。ITを活用すれば組織管理や運営も効率的にできるのでは、と13年にアマゾンのエンジニアだった大学の同級生2人を誘って起業した。  アマゾンにいるのに何も起業しなくても……というのは旧世代の感覚で、「大きな会社では自分の出来ることに限界があるので。能力を発揮してやりがいがあることをやりたいから」。  今や利用者数は5万人を超え、スタッフは30人だ。「ジョウリンホウ(90後、90年代生まれの意)」ばかりだという。  北京の北西部、北京大学や清華大学の近くにある中関村地区。IT企業が集積して北京のシリコンバレーとも呼ばれる。今年3月に北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が視察した場所だ。  その一角に創業大街(英語でZ-innoway)と呼ばれる所がある。200メートルほどの通りで、もとは本屋街だった。それが今では政府の方針もあって生まれ変わり、インキュベーション施設やWi-Fi完備のカフェ、投資機関の窓口やシェアオフィスなどが立ち並ぶ。ここで若い起業家がアイデアを練り、ネットワークをし、製品を開発している。  カフェの一つ「十月」は5月にオープンしたばかり。オーナーのトウ欽(※「トウ」は登におおざと・トウチン)さん(23)は開店時はまだ大学に在学中だった。  ずっと起業に興味があり、大学入学以来授業にはまともに出ず、IT企業やベンチャーなどでインターンを重ねてきた。その中で、「オンライン出版や宣伝のためのブックカフェを手伝ってもらえないか」と北京の老舗の出版社に声をかけられ、願ってもないチャンスだと同級生4人と引き受けた。「十月」はその出版社の看板雑誌の名前だ。  大きな書店だった場所をリノベーション、店舗デザインも自分たちでやった。24時間営業で、夜にはお酒も出す。平日はこのあたりの起業している若者たちが仕事をしに、週末には40代の人たちが懐かしがって本を読みに来るのだという。「まずは経営を安定させて、すべてはそこから」(トウさん) (朝日新聞編集委員・秋山訓子) ※AERA 2018年9月24日号
中国
AERA 2018/09/25 16:00
【RADWIMPS 18祭(フェス)】18歳世代1,000人と創り上げたステージの模様がテレビ放映決定
【RADWIMPS 18祭(フェス)】18歳世代1,000人と創り上げたステージの模様がテレビ放映決定
【RADWIMPS 18祭(フェス)】18歳世代1,000人と創り上げたステージの模様がテレビ放映決定 RADWIMPSが全国の18歳世代(17~19歳)1,000人と一緒に創り上げた1回限りのステージ【RADWIMPS18祭(フェス)】の模様が、10月8日の夜22時からNHK総合で放送されることが決定した。  【RADWIMPS 18祭(フェス)】は、日本を代表するロックバンドのRADWIMPSが、大人と子どもの狭間にあり、人生の岐路に立った日本全国の18歳世代1,000人と一つのステージを創り上げていくというもの。同企画に参加したいという想いが込められた1,000人からの動画を、RADWIMPSが見て曲を制作。今回、RADWIMPSの発意により番組史上初となる2曲を1,000人と一緒にパフォーマンスしたいと、「万歳千唱」、「正解」という素晴らしい曲が誕生した。  仕事や勉強、恋愛や将来の目標など、それぞれが悩みを抱える18歳世代。先月9日に行われた【RADWIMPS 18祭(フェス)】本番では、彼らが心から憧れるアーティストと本気で作品を創り上げることで、それぞれが抱える悩みを超え、ステージは感動的なものとなった。  番組ではイベント当日の模様のみならず、そこへ向かうまでの様々な想いを抱いた18歳世代に密着。さらにRADWIMPSの制作現場の様子や、彼ら自身が語る18歳当時の話、同イベントにかける想いも伝える。  なお、この模様はNHKワールドプレミアムでも、同日・同時刻にて放送されるとのことだ。18世代とRADWIMPSがともに作り出す一回限りの奇跡のステージをぜひ。 ◎放送概要 日本全国の18歳世代と奇跡のステージ 『RADWIMPS 18祭(フェス)』 NHK 総合テレビ 2018年10月8日(月)22:00~23:15 http://www.nhk.or.jp/tokyo2020/18fes/ NHKワールドプレミアム(日本語) 2018年10月8日(月)22:00~23:15(※同日・同時刻スルー発信)
billboardnews 2018/09/25 00:00
夏から秋へ。疲れた体に効果的な入浴でリフレッシュ!
夏から秋へ。疲れた体に効果的な入浴でリフレッシュ!
シルバーウイークも終わり、陽気がいよいよ秋らしくなってきました。 とはいえ、夏の暑さによる疲れが抜けなかったり、秋特有の長雨に体調を崩している方も多いようです。そんな季節の変わり目だからこそ、疲れを残さず仕事やレジャーに臨みたいもの。家でも簡単にできる疲れ解消法といえば「入浴」もそのひとつでしょう。いつもの入浴法に少し工夫することで、体の疲れの抜け方が違ってくるはず。そこで今回は、季節の変わり目だからこそ知りたい「疲れを改善する入浴法」をご紹介します。リラックスできるバスタイムをつくりましょう 疲れを改善したいなら、湯度はぬるめがオススメ ゆっくりでないと体を沈められないほどの熱めの湯温でないとお風呂に入った気がしない人や、ぬるめの湯温でじっくり芯から温めたい人など、湯温の好みは人それぞれです。 ただし、心身ともに休息し、疲れを改善したいときは「ぬるめ」がオススメです。 「ぬるめ」の目安は38℃~40℃。これくらいの湯温の湯船にゆったり浸かると、脳内の「副交感神経」の働きが高まります。「副交感神経」が活発に働き出すと精神の緊張がほぐれ、体全体がリラックスするため、自然とこわばりがちだった筋肉もゆるむことに。さらに、疲れ改善だけでなく不眠症やストレス解消にも効果があるとされています。 一方、42℃以上の熱いお湯に浸かるとどうなるのでしょうか? 温度が高めの場合は、逆に「交感神経」の働きが活発になります。リラックス効果を発揮する副交感神経に対して、交感神経は血のめぐりをよくする働きがあるため、リラックスするというよりは、脳や体を覚醒させる効果があるとされています。足湯も疲れ改善に効果あり! 週末は友人との足湯めぐりもいいですね 秋から冬へ。季節の変わり目にオススメの「菊湯」 夏から秋、秋から冬へ。こんな季節の変わり目にオススメしたいのが「菊湯」です。秋の花の代名詞でもある菊ですが、その菊とお風呂にはどのような関係と効果があるのでしょうか? 菊は疲れを癒やすのに効果的といわれる花なのですが、そう言われるゆえんは菊に含まれる「カンフェン」という精油成分によります。このカンフェンは血行促進、老廃物の代謝を活発にする効果があるといわれ、夏の疲れを解消するなら秋の「菊湯」がよい!といわれているのです。 さらに、このような菊の効果は平安時代から知られていて、菊には邪気払いや長寿の効能があるとされていたことから、当時の貴族の間では菊湯が流行っていたというのです。また、重陽の節に行う宮中行事では、菊の花をかぶせた真綿で体をこすりながら健康を祈ったともいわれていますし、菊を浸したお酒を飲んで邪気を払う風習もあったようです。そのような流れから、菊湯が今に伝わっているのですね。リフレッシュ効果が期待できる「菊」 疲れをより改善したいなら、バスルームを自分だけの空間に 先ほど疲れを取るならぬるめのお湯がよいとご紹介しましたが、全身浴か、または半身浴かも、入浴法の大事なポイントとなります。全身浴なら10~15分ほど、半身浴なら20~30分ほどを目安に、ゆっくりゆったり浸かるのがオススメです。 何よりバスルームは、ひとりきりになれる貴重な空間ですよね。そんな貴重な空間だからこそ、入浴時は誰に遠慮せず、自分のペースを保って心も体もリラックスしたいもの。 そこでバスルームの空間づくりにひと工夫してみませんか。 リラックス空間にするために、照明を調光したり、好きな色の花を浮かべたり、あるいは照明を消してアロマキャンドルで小さな炎が静かに揺れる様子を眺めてみたり……と、ちょっとした工夫でいつもの慌ただいバスタイムが、別空間に変貌するはず。雨が降った日に自宅でのんびり過ごす休日や、平日の時間のある夜間にそんな空間でのんびりすれば、きっと疲れも吹き飛ぶことでしょう。 ―― 心身ともにリラックスし、夏の疲れを解消する非日常のバスタイム。 もちろん長すぎる入浴はオススメしませんが、最近は湯船に浸かりながらの読書や、モバイルを持ち込んでゲームや動画を鑑賞する人も増えているようです。そんな人は湯温に注意しながら、ぜひ水分補給も忘れないでくださいね!バスアイテムを、好きなカラーでそろえるのもオススメ
tenki.jp 2018/09/25 00:00
女性も要注意! 「いびき」は突然死のサインかも
女性も要注意! 「いびき」は突然死のサインかも
「経鼻的持続陽圧呼吸療法」(CPAP〈シーパップ〉)では、気道をふさがないようにマスクを通じて空気を送る(御茶ノ水呼吸ケアクリニック提供) いびき以外に2つ当てはまればSASかも! (週刊朝日2018年9月28日号から) いびき体操(週刊朝日2018年9月28日号から)  自分では気づきにくい、いびき。パートナーの“騒音”は指摘しにくいが、それは病気のサインかも。死に至るものもあり、放っておくわけにはいかない。「死の予兆」を見抜いて、早めに治療したい。  寝ているときに息が止まる。しかも数秒ではない。ひどいケースだと2分近く止まり、体に大きな負担をかける──。  睡眠時無呼吸症候群(SAS)という言葉を聞いたことがあるだろう。「ぐっすり眠れないだけでしょう」などと、考えているみなさん。甘く見ないほうがいい。  都内在住の会社員男性(50)は、こんな症状に長年悩んでいた。眠りが浅く、いつも目覚めが悪い。会議や車の運転中でも、うとうとしてしまうときがある。妻や娘は「いびきや歯ぎしりがうるさい」と、別の部屋で寝るようになっていた。  さすがにおかしいと感じて、3年前、専門の病院で「呼吸計測」を受けた。頭や指先、胸などに装置をつけて、寝ている間の呼吸の状況を調べたのだ。医師から結果を聞き、男性は驚いた。 「計測できた約4時間半の間に、10秒以上呼吸が止まる『無呼吸』が42回ありました。長いときには98秒も止まっていました」 「低呼吸」も62回あり、いびきは343回に上る。医師の説明によると、脳が酸欠を避けようとして呼吸器や循環器に緊急指令を度々出すので、心臓などに負担がかかるという。  男性は39歳のときに狭心症で心臓の手術を受けている。「無呼吸が心臓病を招いたのかもしれない」と空恐ろしくなった。  SASは成人男性の3~7%、女性の2~5%程度に見られるという。誰でもかかりうる病気だ。  御茶ノ水呼吸ケアクリニックの村田朗(あきら)院長のもとにも、多くの患者がやってくる。「いびきがひどくて眠れない」と、妻が夫を連れてくることが目立つという。  だが、最近はそこから意外な方向に進むケースが増えている。  受診したある男性は、村田院長からいびきの問題などの説明を受けた後で、妻を前にぼそっとこぼした。 「お前もだろ」  夫婦で検査してみると、「妻のほうが重症だった」というケースも珍しくない。夫婦の間でも、いびきを指摘するのは気が引けるもの。前出の男性も、SASの症状の一つである夜間頻尿で目が覚めたときに、妻のいびきに気づいたものの、気遣って黙っていたようだ。  耳鼻咽喉(いんこう)科の専門医で慶友銀座クリニックの大場俊彦院長は、『いびき女子、卒業!』(主婦の友社)の著書があり、女性こそ注意するよう呼びかけている。 <「いびきは中高年の男性がかくもの」というイメージが強いため、女性でいびきをかくのは珍しく恥ずかしいことと思われているかもしれませんが、実は、いびきは年齢も性別も問わず起こりうるものなのです>  女性はいびきについて、家族や友人から指摘される機会が少ない。仮にされたとしても、恥ずかしがって病院に行きにくいものだ。 「いびきが単純なものだといいのですが、SASの場合は決してそのままにしてはいけません。勇気を出して、きちんと対策をとることが大切です」(大場院長)  冒頭の会社員男性のエピソードでもわかるように、SASは心臓病など命に関わる合併症につながる。健常者と比べて脳卒中は4倍、狭心症・心筋梗塞(こうそく)は2~3倍、リスクが高まる。あなどっていると突然死しかねないのだ。 「SASは低酸素状態を繰り返すので心臓に負担がかかり、不整脈や狭心症を起こします。寝ている間も交感神経がずっと緊張状態にあり、血圧が高くなったり、インスリンという血糖を下げるホルモンが効きにくくなったりします。やがて糖尿病や、動脈硬化から心筋梗塞、脳梗塞になります」(村田院長)  男性も女性も、チェックリストを確認してみよう。いびき以外に二つ以上当てはまれば、SASの可能性があるので病院で相談したほうがいい。  SASになりやすい人は、口を開けて「あー」と発音したときに、口蓋垂(こうがいすい=のどちんこ)が見えにくいという特徴もある。自分ののどを見ておきたい。  SASのメカニズムも説明しておこう。  SASには閉塞(へいそく)性と中枢性があり、9割が閉塞性だ。寝たときに筋肉が緩み、重力によってのどの奥が落ちることで気道が狭くなり、低呼吸や無呼吸を起こす。ほかにもへんとうの腫れや肥満が原因で気道をふさぐこともある。少数の中枢性は、脳から呼吸筋に指令がうまく届かなくなることで起きる。  閉塞性の患者は、驚くほど大きないびきをかくことがある。 「気道が狭くなると、空気が通るときに振動します。この振動がいびき。無呼吸の人は気道がふさがってしまうので、いったんいびきも止まるのですが、苦しくなって呼吸が再開すると『ガー』と大きないびきをかきます」(同)  SASの診断基準は、無呼吸・低呼吸数が1時間に5回以上、または一晩に30回以上。重症だと1時間に30回以上も無呼吸になる人もいる。まさに窒息状態だ。 「苦しいから呼吸を再開しなさい、と脳が指令を出すことで、のどが開きます。そのたびに交感神経が働き、深い眠りに入る前に脳が起こされてしまうので、睡眠が分断されます」(同)  睡眠の質が悪くなり、日中の仕事のパフォーマンスも低下する。運転中でも強い眠気で意識を失うことがあるので、健常者より交通事故の発生率が7倍に高まるとされる。他人を巻き込む事故の原因にもなり得るのだ。  これまで「SAS=肥満中年おやじ」に多いと思われていたが、実は痩せている人にも多い。 「欧米人は太りすぎて気道がふさがることが多い。アジア人の場合はあごが小さくて奥行きが狭い骨格のため、気道がもともと狭くなっているのです」(同)  親やきょうだいがいびきをかく人は、骨格が似ているので自分もリスクがある。顔がしゅっとしてあごが小さい若者にも起こりうる。若いうちは口の周りの筋肉が張っているので、呼吸が止まることは少ないが、油断は禁物だ。  女性こそ注意しなければいけないのはすでに説明したが、特に閉経後は警戒しよう。女性ホルモンの刺激によって睡眠中の呼吸は促されているが、閉経すると女性ホルモンが減少し、肥満にもなりやすくなって無呼吸に陥りやすい。  恐ろしいSASだが、治療法はある。代表的なのが「経鼻的持続陽圧呼吸療法」(CPAP<シーパップ>)。治療用マスクを装着して寝ることで、鼻から空気を送り込み、気道がふさがらないようにするものだ。  CPAPは健康保険が適用される場合は、月1回、定期的に病院に通う。空気を送る装置のレンタル料金も含め、費用は月に4500円程度の自己負担となる。  CPAPは国内で30万人以上が受けているとされ、一般的になりつつある。装置も小型、高性能化し、呼吸の状況を自動的に記録できるようになっている。  ただ、慣れずに数カ月でやめてしまうケースも少なくない。前出の大場院長は、鼻を治療することで、CPAPが効果的になる人もいるという。 「鼻呼吸ができず、口呼吸が習慣になっている人は、鼻中隔(びちゅうかく)という骨が曲がっている可能性があります。耳鼻咽喉科で診てもらいましょう」  CPAPのほかにもマウスピースをつける方法や、へんとう摘出手術などが適応となることもある。酒やたばこなど、生活習慣の見直しも重要だ。  口の周りや舌の筋肉を鍛え、気道をふさぎにくくする方法もある。大場院長が勧めるのが、「いびき体操」だ。 「米国の医学誌に投稿され、この体操を行うことでいびきやSASを軽減する効果があると認められています」(大場院長)  舌を前に出す、舌を回転させる、口をすぼめるなど、8ステップからなっている。1回3セットからで、1日3回ほどやる。やりすぎて痛めないように、無理せず、できるだけゆっくりやる。やり方は、下記を参考に。(本誌・岩下明日香) 【チェックリスト】 いびき以外に2つ当てはまればSASかも! □ 日中、強い眠気がある □ 夜間頻尿が何度もある □ 朝起きると頭痛がある □ 起床時に口が乾燥している □ あごが小さく、面長の顔 □ 体重が増えた □ 高血圧、糖尿病などの生活習慣病がある 御茶ノ水呼吸ケアクリニックの村田朗院長監修 【いびき体操】 (1)口を自然に開け、ゆっくり2回ほど舌の先をぐっと突き出す (2)舌の先を口の中に押し付け、大きく円を描くように舌を回し、逆回しで戻す (3)上あごに舌を押しつけるように、2回ほど舌を持ち上げる (4)舌の裏側を返すように意識して、2回ほど舌をそり返す (5)舌をぐっと下げ、口蓋垂(のどちんこ)を上げる。鏡を見ながら、あくびをするときの要領で動かすと上がるのがわかる (6)頬にへこみができるくらい強く、口をぎゅっと2回すぼめる (7)口に指を入れ、指をくわえるように、口をぎゅっとすぼめる。左右2回ずつ (8)口を少し開け、左右2回ずつ口の端に力を入れてつり上げるようにする ◆注意事項 ・できるだけゆっくり行い、無理をしない ・1回3セットから、1日3回を朝昼晩 ・半年から1年くらいは続ける ・口は大きく開けなくてもいい ・やりすぎて舌やあごを痛めないように ・神経に異常のある人や、口腔内・あごに異常がある人は、医師の指導のもとで行う ・あくまでもいびき・睡眠時無呼吸症候群の治療を補助するものです ※慶友銀座クリニックの大場俊彦院長の『いびき女子、卒業!』(主婦の友社)をもとに作成。 ※週刊朝日2018年9月28日号より抜粋
週刊朝日 2018/09/23 07:00
安室引退後も続く「私らしく生きる女性」と不満男性とのせめぎ合い
安室引退後も続く「私らしく生きる女性」と不満男性とのせめぎ合い
25年間の活動を写真で振り返る。いくつの時もかっこいい(撮影/写真部・小山幸佑) 【ミュージシャン、ジャーナリスト】モーリー・ロバートソンさん/1963年、アメリカ生まれ。ハーバード大学卒業。「スッキリ」(日本テレビ)などレギュラー出演多数。著書に『挑発的ニッポン革命論』(集英社)など(写真:本人提供)  多くの人に惜しまれながらも9月16日に引退した安室奈美恵。ジャーナリストのモーリー・ロバートソンは、その功績を讃えるとともに社会に与えた影響について語る。 *  *  *  90年代、僕は関東のFM局で深夜番組を持っていました。僕のきわどい発言やワールドミュージックからの選曲も支持をいただいていましたが、ある時期から、自由度が高かった深夜枠でも、スポンサーのタイアップがついたJ-POPをかけざるをえなくなった。同じ頃に登場したのが、エイベックスが仕掛けるクラブ音楽のムーブメント。その中心にいたのが安室奈美恵さんでした。安室さんの楽曲は完成されていましたが、僕は上から言われるがままに曲をかけたくなかったな(笑)。  40歳での引退を早いと惜しむ声も多いですが、僕からすれば、よくここまで頑張ったと思います。実は多様性が許されず、#MeToo運動が最も届かないのが日本の芸能界。純粋に音楽が好きで歌い続けていても、勝手なイメージを作られる。メジャーになるほど利権に絡む人たちが増え、本人が操縦桿を握れず疲弊してしまう。音楽より顔で消費される歌い手も多い。  そんな中で25年続けてこられたのは、彼女が歌唱力とパフォーマンスで勝負できる数少ない人だったから。初期のビッグビジネス的な活動から離れ、お膳立てのない中で自分の音楽を追求してきたことも含め、功績は大きいと思います。  安室さんが引退する平成の終わりに、芸能界やスポーツ界などで内部分裂が起きています。この流れは、さらに多くの業界に波及していくでしょう。  その中で無視できないのが、学歴のある50代男性の不満です。僕も同じ世代だからわかるのですが、彼らは個性や夢を犠牲にして、いい大学、いい会社に入ることで安定と地位を約束されてきました。でも現実は、約束されたはずの地位や分配を得られていない。経済環境の変化で分配するパイが小さくなっている。彼らの一部は、「こんなはずじゃなかった」という不満を、成功している人や、仕事ができる女性に向けています。  平成の30年間でたまった50代男性の不満、多様性や女性の台頭への反発と、安室さんみたいに「私らしく生きる」という女性のせめぎ合いは、しばらく続くでしょう。自分で道を開けない男たちは、道を開ける30~40代の女性をくじこうとするかもしれない。でも今は変革期。女性は心折れずに頑張ってほしい。安室さんは選択肢がそこまでない中で、1人で戦ってきた。どの世界でも、これから生き残れるのはこつこつと自分を磨いて、1人で戦える人です。 ※AERA 2018年9月24日号
AERA 2018/09/21 16:00
夫がやり手の女性秘書と海外出張中に不倫…疑惑を追求する妻に言ってはいけないNGワード
西澤寿樹 西澤寿樹
夫がやり手の女性秘書と海外出張中に不倫…疑惑を追求する妻に言ってはいけないNGワード
不倫を疑われて修羅場を経験する人もいる(※写真はイメージ)  カップルカウンセラーの西澤寿樹さんが夫婦間で起きがちな問題を紐解く本連載、今回は「本当のことを信じてもらえない理由」をテーマに解説する。 *  *  *  先日、深夜番組を見ていたら、街頭インタビューで、妻に(実際にはしていない)浮気を疑われて、包丁で2cm刺された、という人が出ていました。  本当だとすれば大変なことだと思うのですが、その方は笑って話していました。いかんせん、バラエティー番組だったので、刺されたという話の真偽も、その人が浮気をしていないと言っていることの真偽もわかりません。  ただ、こういう修羅場を経験される方もお見えになります。  虎雄さん(仮名、会社経営)は、熟年といってもいいお年ですが、第一線でパリバリ仕事をなさっている会社経営者です。虎雄さんは、妻(専業主婦)に首根っこをつかまれたようにしてやってこられました。社会的には相当な地位のある方だと思うのですが、奥さんの前では借りてきた猫のようです。  妻の言い分は、こうでした。 「夫は浮気をしている」 「秘書とできている」 「もし違うなら、身の潔白を証明してほしい」 「夜も眠れない」 「生きていても仕方ないとすら思う」  虎雄さんのお話しをお聞きすると、「浮気なんかしていない」と言います。 「先日、海外出張に行ったんですけど、今回の出張はすごく大変でちょっと期間も長く、私一人では対応できないので、秘書が同行してくれたんです。子どもを両親に預けて来てくれたので、お礼に何か買ってあげるよ、といったら、何とかっていうブランドのスカーフが欲しいというので買ってあげたんです。でも、下心はないですよ。下心があったら利用履歴を妻も見ているカードで払うはずがないですから」 「このことが問題になって、妻には、銀座の和光でその何十倍もするネックレスを買ってあげたんですけど、納得しないんです。身の潔白を証明するなんてことは論理的に不可能なんですよ。愛しているのは妻だけなんです。なのに分かってもらえないんです」 と語ります。  妻はカンカンに怒っていますし、虎雄さんはほとほと参っています。虎雄さんが、どんなに誠心誠意説明しても、妻は聞く耳を持ちません。虎雄さんは、妻は精神的におかしくなってしまったのではないか、とすら心配しています。  私には真実はわかりませんが、虎雄さんが冷静かつ理性的に説明しようとすればするほど、妻は感情的に「浮気しているに違いない」という確信を強めていく構図は見て取れます。  こんな時に絶対言ってはいけないことの一つは、これです。 「君は、初老期うつなんだよ」  年代が違えば、「産後うつ」「更年期障害」などとおっしゃる方もいらっしゃいますが、それらも同様です。そういうと、相手が一瞬ひるむ可能性はありますが、「あ、そうだったんだ。私、ホルモンバランスが悪かったからあんな気持ちになっていたんだね」などと夫婦間の問題が解決する可能性は限りなく0%に近いです。もちろん、本当にそういうケースもありますから、ちゃんと確かめることは重要ですが、いきなり、こう言うとこじれること請け合いです。  ましてや感情的になって「君は精神的におかしくなっている、病院にいけ」みたいなことは話を一層こじらせますので、禁句です。  多くの方は、外から見て言動が"普通"とは違うことと、異常ということを誤解されます。例えば、最愛の子が外国で誘拐されて殺害されてしまったという情報を伝えられ、街中を歩いていて突然号泣して泣き崩れてしまったとしても、事情を知らない通りすがりの人はおかしいと思うかもしれませんが、「異常」ではありません。生体のシステムは正常に機能しています。  ポイントは、本人がどう認識しているかに基づいて判断すべきなのであって、真実は関係ないという点です。あとで、それが誤報だったと知らされたからといっても、遡って街で号泣したのが異常だったとはなりません。その人が信じる情報に対してどんな行動をとるのかで、そのシステムの正常性は判断されます。  つまり、夫が浮気しているという確信からスタートすれば、虎雄さんの妻の反応はそんなにおかしな反応ではない、といえます。となると問題は、夫が秘書と浮気しているという確信がどうやって形成されているかです。ここでもやはり、インプットとアウトプットとの関係を検討します。  2人で温泉旅行に行く相談をしているLINEを見たとか、ラブホテルから出てくるのを目撃した、というようなインプットだと、確信を持つのが妥当でしょうけど、虎雄さんの話を聞く限りは、さしておかしなことでもないようにも思います。にもかかわらず、妻が確信に近いものを持っているのは何なのでしょうか。  こういう状況で理性的に説得するのは、納得していない気持ちを理屈で押し込めることなので、なかなかうまくいきにくいやり方です。  であれば、まずは、うまくいっていない今の構図を変えることが必要です。理性的に説明する代わりに、何をするかが問題です。  虎雄さんには、説明する代わりに、妻の話を共感的に聞くようにアドバイスしました。しかし、普段理詰めで仕事をしているせいか、なかなか共感がうまくいきませんので、サポートしながら妻と話し合います。  共感的に話を聞いていると、今まで見えなかった相手の心のひだが見えてくることがよくあります。虎雄さん(と私)に見えてきたことは、妻は自分の存在価値が揺らいでいるらしいということです。昔は二人三脚で夫の仕事を支えていた実感があったのですが、今や夫は世界を飛び回ってバリバリ仕事をしていて、妻はといえば子どもたちはとっくに自分たちの世界で生きるようになっており、社長夫人としての内助の功といっても、具体的に何ができるわけでもありません。取引先と交渉したり、出張先で仕事の進展に応じて飛行機やホテル、通訳などの手配をしたり、場合によっては徹夜もいとわないやり手の秘書にはかないません。本当は、秘書のように夫の助けになりたいのです。  そして、妻は寂しいときに怒る人なのです。虎雄さんも、そのことは気づいてきました。そこで、「ああ妻は寂しいんだな」と思っていればいいのですが、 「秘書はあくまでも仕事のパートナーであって、人生のパートナーは君だ」 などとまた理屈で説得したくなるのです。そんなこと言えば、 「ほら、やっぱりパートナーだと思っているんじゃない!」 と逆襲されます。  そんなこんなで、共感への道はなかなか長いのですが、それでも妻の態度は少しずつ軟化し、秘書との関係の話をされることはなくなりました。いつしか、お二人でカウンセリングに来るのが一緒に習い事に来ているかのような雰囲気を醸し出すようになり、そして、その後しばらくしておいでにならなくなりました。  ポイントは、共感的に話を聞いていると、今まで見えなかった相手の心のひだが見えてくる、ということです。それが見えてこないのだとしたら、「共感的に話を聞く」というプロセスがうまくいっていない可能性があるので、話を聞くアプローチを変えてみる必要があります。(文/西澤寿樹) ※事例は事実をもとに再構成してあります
不倫夫婦結婚
dot. 2018/09/21 11:30
中瀬ゆかり「そうか、もう君はいないのか…。黒皮の手帳に残された言葉とは?」
中瀬ゆかり 中瀬ゆかり
中瀬ゆかり「そうか、もう君はいないのか…。黒皮の手帳に残された言葉とは?」
中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに トウチャンが亡くなった日のカレンダー(筆者提供)  白川のいなくなった書斎のカレンダーは、彼が旅立った日の2015年の4月のまま。彼を焼き場で見送った日、みんなと別れてからの深夜、ひとり書斎でぼんやりと時間を過ごし、幼稚な文字でカレンダーの4月16日に「とうちゃんがお星さまになった日」と書いて◯をつけた。あれから3年半がたち、今現在もそのカレンダーはそのままになっている。  トウチャンの3回忌が近付いた2017年の1月、「運命かもしれない次なる出会い」に少々浮かれた気持ちをきっかけに、いままでどうしても手が付けられずにいた遺品整理に着手することにした。どうしても捨てられずにいた彼の私物。主をなくし、そのままになっている部屋は、一見普通の部屋と変わらないはずなのに、座るものを失くした座椅子がポツンと寂しい雰囲気を醸し出している。真新しい名前入りの原稿用紙は亡くなる数カ月前にどっさり届いたばかり。創作のための手帳が数冊残っていて、まだ開けないでいた。  火葬場から遺骨とともに戻ったあの夜、姉や彼の子どもたちが帰った後、ようやく死後初めて彼の机の上をじっくり眺めたときに、机の隅にあった原稿用紙に「世の中には、心を焦がす人間と、そうでない人間がいる。この小説は心を焦がす人にだけ読んでもらいたい」という走り書きの文字を見つけた。白川道はやはり小説家だった。彼は最後まで現役の作家として旅立てたのだ、と。それが切ないほど誇らしくて。ねぇトウチャン、私は心を焦がす側の人間だったよね?ひとりぼっちになったことを痛いほど実感した瞬間でもあった。  それからだ。夜ひとりを感じるが怖くて、毎日毎晩、誰かと食事の約束をするようになったのは。3回忌を迎えるまでは仕事も含め、平日はもちろん年末年始も土日も1日も欠かさず誰かと修行のように夕ご飯を食べ、酒を飲み続けた。約730日。ひとりになると、トウチャンの不在に押しつぶされて、それこそ自分の正気を保てるのかどうかすらわからなかった。気が付けば、パニックになったときにいつでも飲めるように精神安定剤を持ち歩くようになった。ひとりの時間があると妙なことを考えてしまうので、4日間だけ休んで会社に復帰、テレビのレギュラーも1回だけ休んだだけで翌週すぐ出演した。ちょっとしたことですぐ涙が出るし気持ちが折れそうになるので、安定剤は眼鏡ケースに忍ばせて生放送のスタジオに持って入った。そのくらい自分のメンタルに自信が持てなかった。  遺品整理に着手して改めて気づいたのは、物欲や所有欲の少なかったトウチャンの私物は本当に少ないこと。わずかな日用品と洋服、あとは本と筆記用具とメガネくらい。「全部見たけどエロ本もアダルトビデオのひとつも出てこなかったよ。トウチャン、正真正銘のインポだったんやなあ。まさに本インポゥ(本因坊)……」と友人にくだらぬ冗談を言って引き笑いさせたが、私の知らない持ちものは、紙に遺していた文字以外にはほぼ何もなかった。  それらを眺めている途中、私の手は黒い革表紙の小さな手帳のある頁で止まった。「ペコマル。一生に一度 こんなに愛した女はいない」。ブルーブラックの万年筆でそう走り書きされていた。ペコマルとは私の愛称だ。その文字を指でなぞりながら、寂しさに押しつぶされないよう、次の恋をしたいだの、運命の出会いがあったかも、などと孤独に耐えかねてトウチャンを早く忘れようとしていた自分をひたすら恥じた。彼は私をここまで愛してくれていたのに、私は自分が立ち直ることしか考えていなかった。これまでの感情の揺り戻しが一気に来たように、涙が溢れ、トウチャン亡き後初めて、時間を忘れて泣き続けた。  よく、「人は2度死ぬ」と言われる。1度目は肉体の死。そして2度目は忘れ去られることによる死。1度目の死は誰もが避けられないけれど、2度目は残されたものがなんとかできる。私がまた誰かを愛したとしても、絶対にトウチャンを忘れない。忘却という名では死なせない。遺品に囲まれた書斎で、そう誓った。やはりそう簡単に次の恋などできないし、するべきではないのだ――。  気が付けば私はひたすら伴侶を失くした人の本を読み漁っていた。この間刺さったのは、城山三郎著『そうか、もう君はいないのか』、川本三郎著『いまも、君を想う』、永田和宏著『歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子闘病の十年』、竹田裕子著『100万回言っても、言い足りないけど:ジャーナリスト竹田圭吾を見送って』……。とくに前3冊の、妻を亡くした夫たちの文章を読むと、ああ、私が遺される方でよかった、トウチャンだったら絶対無理、耐えられなかったよね、そんな思いをさせなくてよかった、と、哀しい納得をするばかり。 感情の激しい揺り戻しの中、「立ち直る」目標にしていた3回忌がすぐそこに迫っていた。
中瀬ゆかり
dot. 2018/09/20 16:00
「フランス女は太らない」は本当か?  九つの「神話」に迫る一冊
「フランス女は太らない」は本当か?  九つの「神話」に迫る一冊
長坂道子(ながさか・みちこ)/1961年、愛知県生まれ。女性ファッション誌の編集を経てパリへ移住し、フリーのエッセイスト、ジャーナリストとして活躍。現在はチューリヒ在住(撮影/写真部・大野洋介) 『50才からが“いよいよ”モテるらしい 神話「フランス女」』は、フランス女性をめぐる数々の神話の真実を、女性たちの生きた言葉や行動から考察した大人のためのエッセー集だ。今回は著者の長坂道子さんに、同著に込めた思いを聞く。 *  *  * 「人はフランス女に生まれるのではない。フランス女になるのである」とは、有名なボーヴォワールの一文をもじった、著者の長坂道子さんの言葉(本書のそでに載っている)。  本書は「フランス女は太らない」「フランス女は自立している」「生涯恋愛体質である」など九つの「神話」をめぐって、自身の女友だちや社会的な出来事を例に挙げながら考察した、スリリングな一冊だ。 「5年間勤めた出版社を辞めて、20代でパリに行きました。恥ずかしながらパリという街に恋をしてしまったんです。暮らし始めてみると街で出会うフランス女性たちが、それはもう魅力的なんですよ。半ば妄想も含めて、20年前に『フランス女』という本を書いたくらいです。今回、あらためてフランス女性について書くことになって、フランスの女友だちと自分の20年分の変化について書けたら面白いのではないか、と思いました」  長坂さんが訪ねた女性たちの人生は順風満帆とは限らない。だが思うようにならない現実を抱えながらも、なお自分らしいスタイルで生きようとしている姿は魅力的だ。 「日本では目立つことを良しとしませんが、フランス人は子どもの頃から、いろいろな場面で個性が育つように鍛錬されています。自分も意見を言うし、自分と違う立場の異議申し立ても認める。教員も交通機関もストライキをするし、不便だと思っても、わりと皆、ジッと我慢している(笑)。誰かが声をあげることで、社会がより良くなるという考えが根づいているんです」  長坂さんは結婚を機にパリを離れ、米ペンシルベニア、英ロンドン、スイス・ジュネーブと移り住み、現在は同国のチューリヒに暮らしている。  昨年は、一般市民が自分の家に難民を受け入れているドイツを取材した『難民と生きる』を著した。 「自分の変化について言えば、この20年で視野が世界へと広がりました。世界の中のフランスという相対的な視点を持てるようになった。ではフランス女の魅力がなくなったかと言えば、そんなことはありません。自分自身を生きることをあきらめない彼女たちは、現実に傷ついたり、あがいていても素敵です」  さて、あえて書くけれど、本書のタイトルは本文の内容をミスリードしそうだ。「モテる」という他人からの視線に反発や窮屈さを覚える人こそ、この本の読者としてふさわしい──と、付け加えておこう。(ライター・矢内裕子) ■書店員さんオススメの一冊 『亜由未が教えてくれたこと “障害を生きる”妹と家族の8800日』(坂川裕野著)は、重い障害をもつ自らの妹にカメラを向けて番組を作ったディレクターの日々をリアルにまとめた一冊だ。東京堂書店の竹田学さんは、同著の魅力を次のように寄せる。  2016年7月26日に起きた相模原障害者殺傷事件。「障害者は不幸を作ることしかできません」という植松聖被告の言葉に怒りを覚えたNHKディレクターである著者は、肢体不自由で知的障害のある妹・亜由未の撮影を思い立つ。  著者は体位交換やチューブを通して栄養をとる経管栄養など妹の介助に関わり、自らの家族への取材を重ねる。深夜の介助や医療ケアの大半を担う母、多忙な仕事と家庭の板挟みに悩んできた父、父母や障害のある姉に対し葛藤を抱き続けてきた双子の妹・由里歌。亜由未を中心とした家族の物語をたどる過程で、著者は障害とともに生きる困難だけではなく、生きることの喜びと豊かさを深く実感していく。「一緒にいることがスタートでありゴール」。「亜由未が教えてくれたこと」の核を表現した言葉として、ここに記して本書を薦めたい。 ※AERA 2018年9月17日号
読書
AERA 2018/09/18 11:30
みすぼらしい青年だった「刀剣乱舞」俳優が”スター”になったワケ
福井しほ 福井しほ
みすぼらしい青年だった「刀剣乱舞」俳優が”スター”になったワケ
佐伯大地(左)、有澤樟太郎。ともに184センチの長身。「笑い合ってください」と頼むと少し照れた表情を見せてくれた(撮影/福井しほ)  チケットは瞬く間に即完売するほど人気のミュージカル『刀剣乱舞』。歴史上の「名刀」が戦士の姿「刀剣男士」になって戦うというぶっ飛んだストーリーのゲームが原案で、その後、ミュージカル、アニメ、映画と展開され、話題に事欠かない。中でもミュージカルではストーリーの魅力はさることながら、キャラクターに扮した役者の美しさも際立っている。アニメなど2次元の世界観を、舞台など3次元で表現する役者たちは「2.5次元俳優」と呼ばれているが、AERA dot.ではミュージカル『刀剣乱舞』に出演し、2.5次元俳優としても話題の佐伯大地さんと有澤樟太郎さんをインタビュー。佐伯さんの熱すぎる一面や有澤さんが暗闇で恐れた意外なモノとは――。刀をおろした2人の素顔に迫る。 *  *  * ――2人の最初の出会いはいつですか? 佐伯:僕がミュージカル『刀剣乱舞』の第1弾(阿津賀志山異聞)、樟太郎は第2弾(幕末天狼傳)に出ていて、その制作発表ですね。2.5次元の舞台なので扮装しているから、衣装も髪型もスタイリッシュで「めっちゃカッコいいやつがきた」って正直焦りました。でも、いざ化粧を落としたら「たった今上京してきました」みたいな感じで、みすぼらしい青年たちで……(笑)。思わず、「全然違うな!」って言っちゃったよね。 ――こんなに素敵なのに! ミュージカルを通して皆さん魅力が増していくんですね。 有澤:ほんと、よく選んでもらえたなと思います。僕は大地くんが出演する「阿津賀志チーム」の方とご一緒することが多いんですよ。 佐伯:チームは違うけど結局一緒にいるんだよね。佐藤流司くんが樟太郎のことを可愛がっているんだけど、僕も佐藤くんと仲が良いんです。だから樟太郎のことがだんだん可愛く見えてきて……。みんなで箱根に温泉旅行したりね。 佐伯大地(撮影/福井しほ) ――箱根ではどんなことをされたんですか? 佐伯:何されたんですか? 有澤:いや……。 佐伯:暗闇の話は? 有澤:大地くんってチャレンジ精神が旺盛なんです。箱根ってけっこうな山道じゃないですか。なのに、夜になって「下に行ってみよう」「樟太郎、お前に暗闇を経験させたいんだ」とか言う。街灯もない真っ暗闇なのに「ここで一回話そう」って座り込んじゃう。しかも怖い話をしてきた後で「暗闇で熱い芝居の話をしよう」って。でも、そんなの頭に入らないです。怖いのは苦手じゃないけど、何が出るか分からない。怖い犬が出てきてもおかしくない。 佐伯:犬!? 有澤:犬です。すごい菌を持っている犬とか。 佐伯:そんなもんいないよ(笑)。そういう弱い心をそぎたかったんだよ。結局、樟太郎は先に帰っちゃったんだよね。携帯のライトで道を照らしながら「もう無理っす」って。 有澤樟太郎(撮影/福井しほ) ――仲が良いですが、お互いにまだ言っていないことはありますか? 佐伯:僕はないと思う。裏表もないし。あんまり変わんないでしょ? でも、樟太郎はあるだろ? まだ言ってないこと。たまにワルな顔するもん。 有澤:どんな顔ですか(笑)。僕も裏表ないタイプだとは思うんですけど、『刀剣乱舞』では一緒になったことがないから、そういう大地くんはまだ知らないかもしれないですね。 ――お互い第一印象から変わった部分はありますか? 有澤:先輩ってみんなそうですけど、怖い。でも、大地くんは最初から今と変わらず「優しいだろうな」って印象はありましたね。誰よりも話しかけてくれたし、メイクを落とした僕たちを見て「全然違うな!」って言ったのも嫌味に聞こえないし。 佐伯:そうなんだ、ありがと。樟太郎は素直でいい子なんだろうなと思いましたね。すぐに一緒に飲みに行ったけど、真っすぐで努力を惜しまない人間だってことが分かった。 ――役者としてはどうですか? 佐伯:樟太郎が舞台にいると目がいきます。華はもちろんあるんだけど、大きく見える。オーラを背負っていて、存在感をちゃんと持っている俳優さん。プライベートを知っているからこそ、こんなに堂々と男らしくできるやつなんだ! って思いますよね。 有澤:僕は大地くんの「笑い」が大好きです。それでいて、涙を誘ったり、男らしい演技を見せる時もあって、メリハリがちゃんとしていますよね。 ――そもそも、どうしてこの世界に入ったんですか? 有澤:最初はヒーローに憧れていて、高校2、3年の時にオーディションを受けたら中途半端なところで落ちちゃったんです。そこから変に熱が入って、オーディション情報が出るたびに受けに行っていました。でも、やっぱりオーディションで受かる人は華がある人。だから僕は養成所からのスタートです。 佐伯:僕は大学時代にミスコンの打診があったけど、最初はそんなつもりはなかったんです。でも、「ホリプロが見に来るぞ」って言われて「そりゃ出るわ!」と(笑)。その後、今の事務所(ホリ・エージェンシー)に所属できました。完全な棚ぼたです。 佐伯大地(撮影/福井しほ) ――棚ぼたでもチャンスをものにできる人は少ないですよ。 佐伯:とはいえ、事務所に入ってから100個以上オーディションを受けたけど、ほとんど落ちています。でも、めげずにそのことも自分の経験にできる人間じゃないと、選ぶ側も可能性を感じないんじゃないかなと。何事もやってみないと始まらないというのはあると思います。 ――今もヒーローに憧れはありますか? 有澤:一生の憧れです。『刀剣乱舞』はお子さんと一緒に見に来てくださる方もいます。「息子にとってのヒーローです」と手紙をもらったりするとすごく嬉しい。 ――どういう人がヒーローだと思いますか? 佐伯:人のために一生懸命になれる人っていますよね。そういう人間ばっかりならいいのにな、って思うけど、自分もそうじゃなくなってしまう瞬間がある。理想像に届かなくて、現実とのギャップに憤りを感じる時はイライラしてしまうこともあります。それを他人に見せない人こそ、ヒーローなのかもしれないですね。 ――今後、どういった役者になりたいですか。 佐伯:それ、俺も聞きたい。樟太郎は何を目指しているの? 有澤:さっき大地くんが言ってくれましたが、舞台上で目を引く役者さんってなかなかいない。だから、たとえ真ん中にいなくても「この人良かったな」と思われる役者になりたいです。あと、僕は兵庫県出身。上京したからには帰りたくないというプライドもあります。 佐伯:今までは良くも悪くも印象に残りたいという気持ちがありました。でも、今は良い意味で取っ掛かりを持てるようになりたい。「佐伯大地が出たら役割を果たしてくれるね」と思われるような仕事ができればと思います。期待にきちんと応えていきたい。 ――目標とされている方はいますか? 佐伯:真面目なことをやっているけど面白い人っているじゃないですか。そういうことをやれるようになりたい。たとえば、阿部寛さんや山田孝之さんはそうですよね。お二人とも人としてチャーミングだからこそ素敵なんだと思います。 有澤:大地くんは『刀剣乱舞』ではそういう役割ですよね。大地くんがいるだけで成り立つ瞬間がたくさんある。2部は特にそう思います。(編注:刀剣乱舞は1部でミュージカル、2部でライブを行う) 佐伯:アドリブシーンってことだね。最近演出家の方に言われたのが「アドリブシーンを捨てるのは簡単」ということ。やらなくても時間は過ぎ去るけど、絶対に捨てずにチャレンジしないと引き出しは増えない。「お前、バカだなぁ」って言われたとしても、恥をかいていかなきゃいけないと思う。がむしゃらにね。 有澤樟太郎(撮影/福井しほ) ――仕事をする際に心がけていることはありますか? 有澤:周りからの信頼を得られるようにすることかなぁ。 佐伯:休まない、遅刻しない。大事ですよ、そういうのはね。 有澤:あと、楽屋をキレイに使うとか。 佐伯:えらい! きったない人も多いんだよね。ぐちゃぐちゃっと。役者の面でいうと、舞台では自分の縄張りを感じられるような存在感がある仕事をすることを意識しています。どれだけ気弱な役でも舞台上では存在感がなくてはならないと思っています。「今、他の人に負けていないか?」「今、求められている仕事で存在感が出ているか?」ということを常に考えています。映像は真反対で、存在感を消すことも大事。アップになったり引いたりというカット割りがある分、邪魔な存在はシーンとして使いづらいと思うんです。だからこそ難しいんですけどね。 ――舞台と映像では全く違うんですね。ところで、今回はバラエティ番組「おでかけ!」(ホームドラマチャンネル)の企画で一緒に熱海ロケに行かれたとか。 佐伯:2人で出かけることって普段ないからね。またプライベートで熱海に行きたいなって思いました。次は海水浴がしたいし、アイス食いながら歩いて、温泉入って……。最高ですね。 有澤:今回足湯に入ったんですけど、実は足湯は青春の場所なんです。受験生の頃、塾へ向かう途中に足湯が出没して、みんなで入ったりして。 「おでかけ!」公開イベントの様子。番組は9/17(月)午後6時~、深夜1時15分~。CSホームドラマチャンネルにてTV初放送。 ――番組の中で神社に行って、お願い事をされていましたよね。無粋ですが、何をお願いしたんですか? 佐伯:それね、全然教えてくれないんですよ。絵馬もこそこそ書いて、すごい奥に隠してた。 有澤:見せるとお守りが解けちゃうんです。だから絶対言わない。 佐伯:お守りが解けちゃうってなんだよ。テレビ的には見せたほうが面白いのに! 有澤:でも、今回のロケは良かったですよね。こういうのもなんですけど、散らかっていないというか……。 佐伯:楽しかったしね。仕事なんだけど、あんまり仕事っぽくない。家事しながらとか、ちょっと空いた時間に見てもらえると嬉しいですね。 (聞き手/AERA dot. 編集部・福井しほ)
dot. 2018/09/16 16:00
2045年、世界は激変する!?「シンギュラリティ」とは?落合陽一氏による超AI時代の生き方
2045年、世界は激変する!?「シンギュラリティ」とは?落合陽一氏による超AI時代の生き方
いつの間にか日没も早まり、虫の音や陽射しに秋の風情が感じられますね。 今日9月16日は、メディアアーティスト、研究者、実業家として脚光を浴びる落合陽一氏(おちあい よういち 1987年~)が誕生した日。31歳という若さながら、人間・モノ・自然・コンピューターがシームレスにつながり合う「デジタルネイチャー」という世界観を提唱し、「現代の魔法使い」と評されています。 テクノロジーの進化が飛躍的に進む現在。来たるべき未知の世界を前に、世の中にはさまざまな見解があふれています。 「近い将来、人工知能に人間の仕事が奪われ、ロボットの知性が人間を超えるのではないか」 「ベーシックインカムが実現して、人間は労働から解放されるかもしれない」 今回は、「シンギュラリティ」というキーワードとともに、落合陽一氏が見通す超AI時代の人間の生き方について探ってみましょう。 無限大の進化「シンギュラリティ」は、本当にやってくるのか!? 人工知能やAI(artificial intelligence)と共に、このところ頻繁にメディアに登場する「シンギュラリティ(Singularity)」という言葉をご存じでしょうか。「特異点」を意味し、物理学や数学の世界では「他と同じようなルールを適用することができない点」を表します。 この言葉を世界的に有名にしたのは、AIの権威でアメリカ合衆国の発明家、実業家、未来学者であるレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil 1948年2月12日~)です。彼はテクノロジーの進化のスピードが「無限大」になるシンギュラリティが、2045年に到来すると予言しているのです。 テクノロジーが人間の予測不可能なほどに進化すると、世界は、私たちの生活は、いったいどのように変化するのでしょうか。 加速度的進化!もうひとつのキーワード「エクスポネンシャル」 最近の身近な例では、スマートフォンがあげられます。iPhoneが発表されて、わずか10年ほどですが、もはや生活の必需品といっても過言ではありません。電話、カメラ、SNS、パソコン、ゲーム、音楽、映像。すべてがコンパクトなスマートフォン1台に収まり、手軽に持ち運べる時代が来るとは! 「スマートフォンの普及による結果、人はインターネット上に第二の言論・視聴覚空間を作り、住所を持ち、SNSを生み、社会を形作った。言うなれば人はデジタル空間にもう一度生まれた。」と、落合氏はいいます。 「たった10年でヒト・モノ・カネ・環境・哲学・美意識に至るまで劇的に世界のすべてを作り変えたのだ。」 テクノロジーが進歩するスピードが加速している今は、来たるべきシンギュラリティ前夜といえるのかもしれません。 それを裏付ける事実として、テクノロジーの進化が「エクスポネンシャル(exponential function、指数関数的)」に進行していることが、カーツワイルによって指摘されています。 エクスポネンシャルとは、倍々の法則で加速度的に進化が上昇していることを意味します。右上がりどころか、このまま進むと、やがてその方向が横軸に対してほぼ垂直に上を向きます。それは、進化のスピードが「無限大」になることを意味するのです。その点こそが、技術的特異点、シンギュラリティです。 それは、「人間の能力が根底からくつがえり変容する」レベルの現象とのこと。人間のつくり出したテクノロジーが、人間を超えた存在になり進化し続ける世界とは? 本当にそんなことが起こるのか、懐疑的な見方もありますが、テクノロジーが進化を止めることはないでしょう。私たちに必要なのは、シンギュラリティの到来を恐れず、楽観もせずに、来たるべき未来の形を日々検証し、望ましい未来の形をイメージしていくことではないでしょうか。 超AI時代をどう生きる!?未来への漠然とした不安と向き合うには デジタル革命がさらに進化し、第4次産業革命の時代といわれる現在。段階的にやってくるであろうシンギュラリティまでに、私たちの「生き方」「働き方」「生活習慣」は、どのように変化していくのでしょうか。落合陽一氏の著作『超AI時代の生存戦略』に提示されるビジョンの一部から考察してみましょう。 ◆「ワークライフバランス」から「ワーク“アズ”ライフ」へ いつでもどこでも情報と繋がることができる社会では、仕事とプライベートが混在する機会が増えています。もはや、ワークとライフを切り離して考えるのではなく、なるべくライフとしてのワークにすることが望ましい働き方と落合氏。 そのためには、余暇のようにストレスレスに働けるように環境を整えることを心がけるべき。今の社会においては、雇用され、労働し、対価をもらうというスタイルから、好きなことで対価を生み出すスタイルに転換することが重要といえます。差別化した人生価値を、仕事と仕事以外の両方で生み出し続ける人が生き残る時代に。 ◆誰もが「スペシャリスト」を目指すべき コンピューターに代替されないためには、スペシャリストであることが大前提。さらには、専門性があるスペシャリストと、バランスよく知識を持つジェネラリストの部分を持ち合わせることが重要です。 そのためには、あらゆるものにフックをかけながら専門性を磨いていく必要があります。落合氏によると、フックをかける機会として意外にも受験勉強がよい機会とか。受験勉強を楽しめるタスクや能力も身に付けておいて損はないそう。シンギュラリティを見据えた戦略的受験勉強、学生の方はぜひトライしてください! ◆人間が機械に勝るのは、身体性能のみ!? これからの私たちは、コンピューターに解けない問題を脳で解いたり、コンピューターにできない運動を人間の手で行ったり、頭と体のどちらかを重点的に使わざるをえなくなると予測されます。 そのためには、脳と同じくらい体も鍛えておくべきと落合氏。さらには、デジタルソースを使って運動することを推奨しています。結果を目に見えるかたちで把握し、モチベーションに繋げるのがコツ。テクノロジーの時代になっても「体が資本」。脳の働きを良くし、ツールを使いこなすためにも、自分の体を鍛錬し大切にしましょう。 いかがでしたか?落合陽一氏が見せてくれるシンギュラリティに向けてのフレームは、より軽やかな個としての人間性の追求に立脚しているように思えます。テクノロジーと調和し、人間の幸福を再構築する。新しく目の前に広がるであろう世界を、恐れるのではなく胸をおどらせながら待つ。各自の幸福観やビジョンを深めながら、自分の生き方をあらためて考える時がきているのかもしれません。 参考文献・引用 落合陽一『超AI時代の生存戦略~シンギュラリティに備える34のリスト』大和書房 2017 参考文献 齋藤和紀『シンギュラリティ・ビジネス AI時代に勝ち残る企業と人の条件』幻冬舎新書 2017
tenki.jp 2018/09/16 00:00
安室奈美恵はどうする? 引退時の「名スピーチ」
安室奈美恵はどうする? 引退時の「名スピーチ」
引退のあいさつで涙ぐむ宮里藍 (c)朝日新聞社 著名人50の名言に学ぶ 1/5 (新聞各紙の記事、『読売巨人軍75年史』『私の履歴書』『アントニオ猪木自伝』などから編集部作成/週刊朝日2018年9月21日号より) 著名人50の名言に学ぶ 2/5 (新聞各紙の記事、『読売巨人軍75年史』『私の履歴書』『アントニオ猪木自伝』などから編集部作成/週刊朝日2018年9月21日号より) 著名人50の名言に学ぶ 3/5 (新聞各紙の記事、『読売巨人軍75年史』『私の履歴書』『アントニオ猪木自伝』などから編集部作成/週刊朝日2018年9月21日号より) 著名人50の名言に学ぶ 4/5 (新聞各紙の記事、『読売巨人軍75年史』『私の履歴書』『アントニオ猪木自伝』などから編集部作成/週刊朝日2018年9月21日号より) 著名人50の名言に学ぶ 5/5 (新聞各紙の記事、『読売巨人軍75年史』『私の履歴書』『アントニオ猪木自伝』などから編集部作成/週刊朝日2018年9月21日号より)  平成の歌姫と呼ばれた安室奈美恵や、2千本安打を遂げた広島の新井貴浩ら、一時代を築いたスターが今年引退する。ステージの大きさこそ違え、引退、離職、異動、退職などの“引き際”は、だれにでも訪れる。そのときにどう気持ちを整理し、思いを伝えるか。著名人の名言に学びたい。  9月16日に引退する安室奈美恵(敬称略、以下同じ)は、前日15日に出身地沖縄で一夜限りのライブを開く。最後のツアー映像を収めたDVDとブルーレイディスクは8月末の発売以来、早々と100万枚を突破するミリオンセラーに。40歳、デビュー25周年の節目の昨年9月に、1年後の引退を表明していた。  5日に今季限りでの引退を発表したのが、広島の新井貴浩。プロ20年の大ベテランで、チームの精神的支柱。「若手がすごく力をつけている。これからのカープを考えたときに今年がいいんじゃないかなと考えた」と述べた。  スターならずとも、だれもが大小様々な局面で向き合う引き際。では、どんなあいさつをすると、周りの人の心に響くのだろうか。 「あがり症克服協会」理事長で、スピーチ塾講師を務める鳥谷朝代さんは「短く簡潔に。長いのはダメ」と強調し、こう続ける。 「スピーチが苦手な人に限って長い。原稿を見ると、A4用紙4~5枚もあるのに、本人は『もっと言わなきゃ』と思っています。一般的なスピーチは1分以内をめざす。かなり短い時間なので、本当に言いたいことだけを盛り込みます。長い人は『ご指名ですので』『僭越ながら』のような余計な前置きが多いのです」  簡潔で流暢に話そうと、例文集を丸暗記する人がいる。しかし、自分の言葉でないから、不自然で違和感が残る。第一印象を良くしようと出会いの言葉に気を配る一方で、別れの言葉は気遣いを怠る人もいる。その日を最後に会わない人が多いからだろうが、それだけに人間性がにじむ。 「立つ鳥跡を濁さずというように、恨みつらみはNG。イヤな仕事だったとしても、仕事のおかげで成長できたと言い換えましょう。別れのあいさつはその人の印象を決定づけるかもしれません」(鳥谷さん)  引き際のあいさつで、感極まり言葉に詰まる人もいるだろう。「間」があくことは良い印象を与えるハプニングとなることもある。 「流暢ならば良いというものではありません。流暢な人はたくさんいますが、心に残るスピーチは難しいです。言葉は短いほうが効果的で、キャッチーな言葉が心に残ります」と話す。 では、著名人はどんなメッセージを残しているか。著名人の語りに耳を傾けたい。  長嶋茂雄の「わが巨人軍は永久に不滅です」や、キャンディーズの「私たち、普通の女の子に戻ります」は歴史的な引き際の名言。こんな言葉は簡単に残せないが、素朴でも心がこもった表現ならば印象に残る。  マサカリ投法で知られた元ロッテの村田兆治は「私の人生の喜びも悲しみもすべてこのマウンドに」と伝え、元中日の山本昌は「世界で一番幸せな野球人生」と振り返った。マラソンの高橋尚子は「自分の中では完全燃焼して、さわやかな気持ちです」。いずれも飾らぬ言葉で、長年打ち込んだことへの思いが表れた。  鳥谷さんが指摘する、「間」を実感するあいさつは、元横綱千代の富士の引退会見。涙声で「体力の限界……」と感極まり、少し間があいて、「気力もなくなり引退することになりました」と声を絞り出した。  選手の引き際の言葉は引退宣言だが、多くの社会人は異動や退職のあいさつになる。周囲への感謝の思いが欠かせぬ点は同じだ。  元中日の星野仙一は「打倒読売でやってきた私の姿をファンは支持してくれた」と周囲に目を向け、元西武の清原和博は「一番の僕の心の支えは、ファンの皆さんのあたたかい声援と拍手」とお礼を伝えた。元広島の衣笠祥雄は「野球をやってきたおかげで多くの人と知り合うことができた」。女子ゴルフの宮里藍は「引き際のさみしさより、サポートしていただいたたくさんの方への感謝の気持ち」と口にした。  数字をうまく使うことも、印象的な引き際を演出する。  50代で芸能界を引退した上岡龍太郎は「ボクの芸は20世紀で終わり。21世紀からは新しい人生。この道、40年やればいいじゃないですか」と軽妙な語り口。桂歌丸はテレビ番組「笑点」の司会を退く際、「50年間、しゃかりきになってやってきた」と伝え、元巨人の桑田真澄は「21年間、ともに歩んできた(背番号)18番とお別れ」と宣言した。(横山渉) ※週刊朝日  2018年9月21日号より抜粋
週刊朝日 2018/09/15 16:00
今更、人に聞けない人狼ゲーム オーバー40向け初級講座
今更、人に聞けない人狼ゲーム オーバー40向け初級講座
8月半ば、東神奈川駅にほど近いヘアサロンで開かれた人狼ゲーム会。20代から40代まで幅広い層が集まった(撮影/五嶋正風) 「人狼ゲーム」というパーティーゲームをご存じだろうか。10数人が集まって村人チームと人狼チームに分かれ、最後まで生き残った方が勝ちというもので、10代では「知らない人はいない」と言われ、20代、30代でも多くの人が熱中している。なんだ若者向けかと思いきやこれがなかなか奥が深く、オーバー40でも十分楽しめる娯楽となっている。そんなわけで今回は若者に人気な人狼ゲームの魅力を、シニアな方々に向けて紹介したい。  まずはどんなゲームか、簡単に説明しよう。プレイ人数は10数人が面白いと言われており、3人の「人狼」と1人の「狂人」(村人なのに、人狼の味方をするから狂人)から成る人狼チームと、一般の「村人」と予言者、霊媒師、騎士など、それぞれ特殊な能力をもった数人の「役職者」から成る村人チームに分かれるのが一般的だ。  裏返したカードが配られてチーム分けされるため、本人以外は誰が人狼で村人か、はたまた役職者か、わからない状態でゲームは始まる。ゲームは1人の処刑者を話し合いで決める昼の部、人狼が村人を襲撃する夜の部の繰り返しで進行する。昼の部ではプレイヤー全員が話し合いをする(10分など、予め時間は決めておく)。その目的は誰か1人、処刑する人の決定だ。  予言者は誰か1人について、「人か人狼か」を知ることができる。また騎士も、誰か1人決めた人を、夜人狼の襲撃から守れるなど、役職者は村人側に有利な能力を持つ。だから人狼側は、早く役職者を見つけだし、その人が処刑されるよう話し合いを仕向けることで勝利が近付く。また人狼や狂人は「我こそは予言者なり!」などと役職者を騙り、「本物はどっち?」と、村人チームに混乱を起こすのも作戦だ。  逆に村人チームは話し合い中、プレイヤーの言動から矛盾や不審点を見つけ出し、人狼や狂人をあぶりだし処刑していく。そこに生まれる虚々実々、丁々発止のやりとりがゲームの魅力となっている。  また人狼ゲームを楽しむには、これまで触れた10数人のプレイヤー以外に、ゲームマスター(GM)という役割が1人必要になる。GMはゲームの進行役で審判役でもある。昼、夜と続く進行を仕切り、まごつく初心者にやさしくアドバイスしたり、つい熱くなって不規則発言をする人をたしなめたり、ゲームが楽しくスムーズに進むようサポートする。  このように人狼ゲームが面白いことは間違いないのだが、(1)10数人集める必要があり、(2)集まって遊べる場所が必要で、(3)GM役もいるというように、開催のハードルはなかなか高い。  次に若者を中心とした人狼ゲームの人気ぶりを見てみよう。ここ5年、人気が高まっているという人狼ゲーム。普及に貢献した1人と言われるのが、人狼ルーム代表の児玉健氏だ。渋谷、秋葉原、巣鴨など都内5カ所でルームを経営、月間約150回の有料ゲーム会を開催している。1回10数人参加として、人狼ルームだけで月のべ約2000人がプレイしている計算になる。「お客さんのボリュームゾーンは20代から30代。中には高校生もいて、大人の社長さんと対等に議論を戦わせています」(児玉氏)。  盛り上がりは東京だけではない。児玉氏によれば名古屋、大阪、九州など、人狼ゲームを楽しむグループは営利非営利含めて全国に30~40ほど存在するという。また児玉氏は動画サイト「ニコニコ生放送」の番組「アルティメット人狼」に携わり、自身もプレイヤーとして出演しているが、同番組の企画として今秋「全国アルティメット人狼選手権」が開催される。北海道から九州まで7カ所で地方予選があり、約300人がエントリーしているという。 「大学に呼ばれて人狼ゲームの話をしたことがあります。ゲームを知っているか聞いてみると、知っている学生は9割、やったことがある人も8割くらい手を挙げました」(児玉氏)。若者がこぞって見る動画サイトに番組を持っていることも、認知度アップに貢献しているのだろう。  さてこんな人狼ゲームは、オーバー40にとってどんな魅力があるのだろうか。49歳男性である筆者の体験を報告しよう。8月半ばの夜、私は東神奈川駅にほど近い、とあるヘアサロンで開催された人狼ゲーム会に参加した。主催者はそのサロンを経営する美容師の大石加奈子さん(44)。主催者が40代ということもあってか年齢層はやや高めで、15人ほどの参加者のうち6人が40代だった。  ゲーム自体も面白かったが、ほとんどが初対面だった参加者の人たちと、すぐ打ち解けられたのが印象的だった。ゲーム中早く殺されたときやゲームとゲームの合間に、かなり雑談時間がある。近くにいる人と「あのときなぜあんな発言をしたの?」「どうしてあそこで意見を変えたの?」などといろいろ話していると、その人の物の考え方や性格がそこはかとなく伝わってきて、より親しみが感じられるようになった。  大石さんは去年10月ごろに初めてゲーム会に参加。以後面白さにハマり、何度もゲーム会にでかけた。「やっているうちに、勝ち負けより会話を楽しめるような会を自分でやってみたいと思いました。これは人の本性が出やすいゲーム。『人狼的イケメン』と呼んでいますが、本当の思いやりや優しさのある男性を見極められると思います」。また参加者のイベント企画業、村上彩さん(40)は「ずっとニコニコしていると人にはどう思われるのかなど、いろいろ実験してみると面白い」と話していた。オーバー40にとっても、多彩な楽しみ方があるのだ。  私のようにたまたまゲーム会にツテのある人はいいが、そんな人が周りにいない場合はどうすればいいのだろうか。人狼ルームのような、有料で体験できる場所に出かけるのが手軽だろう。こうした場所は先に紹介した人数、場所、GMという、初心者にとって高いハードルを乗り越える手助けをしてくれる。人狼ルームは予約さえすれば1人でも参加でき、人を集める必要はない。ルールも教えてもらえて、約3時間で3~4ゲームは体験できる。これで料金は2000円~2500円程度だ。  児玉氏は「パーティーなどで初対面の人と話すとき、仕事や出身地、生まれ年などが話題の定番ですが、実はそんなことはどうでもいいのかもしれません」と話す。人狼ゲームを一緒にプレイすれば、人となりや性格がそこはかとなく伝わってくる。好ましい人間関係を築くためにはそんな情報の方が、よほど重要だろう。児玉氏は人狼ゲームを、「人生を楽しむためのてっとり早いツール」と評する。人生後半戦をより楽しいものにするため、若者と一緒に人狼ゲームにハマってみるのも、一興ではないだろうか。(五嶋正風)
dot. 2018/09/15 16:00
前川喜平が若者に助言「『目的意識』という強迫観念は捨てるべき」
前川喜平 前川喜平
前川喜平が若者に助言「『目的意識』という強迫観念は捨てるべき」
前川喜平(まえかわ・きへい)/1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、79年、文部省(現・文部科学省)入省。文部大臣秘書官、初等中等教育局財務課長、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官を経て2016年、文部科学事務次官。17年、同省の天下り問題の責任をとって退官。同年5月22日、読売新聞に「在職中、出会い系バーに出入りしていた」と報じられた。翌日、朝日新聞の取材に対し、加計学園をめぐる問題について証言。現在は、自主夜間中学のスタッフとして活動する傍ら、執筆活動などを行う いつからスタートしても遅くない(※写真はイメージ)  文部科学省で事務次官を務めた前川喜平氏が、読者からの質問に答える新連載「“針路”相談室」。今回は「やりたいことが見つからない」という大学4年生からの相談です。 *  *  * Q:将来の夢を描けません。自分のやりたいことがはっきりしている友達を見ると、とても焦ります。そして私はなぜ自分のやりたいことがないのかと自己嫌悪にも陥ります。親には、大学に入るとき「やりたいことを見つけなさい」と言われましたが、4年生になった今も、やりたいことが見つかりません。そもそも、仕事は、やりたいことをやるべきなのか、それとも仕事内容にそこまで興味がなくても、給料など条件面で選ぶべきなのかも、悩んでいます。どうすればよいのでしょうか。(東京都・22歳・女性・大学生) A:その気持ち、よくわかりますよ。僕も、やりたいことが見つからなくて、結局、大学には6年いて、ぶらぶらしていたんです。将来の目的がつかめない期間は、仏像を見て歩いたり、サークルでテニスに興じたりしていました。  そのころの僕は、ずっと遊んで暮らせたらなあと思っていた。夏目漱石の小説にもある“高等遊民”になりたいと思っていたんです。  でも、そうは問屋が卸さない。自分で飯を食っていかなきゃいけないから、何をやろうかと考えました。  僕が在籍していた東大法学部というのは、多くの人が国家公務員か弁護士を目指していました。僕は法律の勉強が全く面白いと思えなかったから、周囲の影響もあって、自然と国家公務員の道を考えるようになった。どの省庁がいいかと考えたとき、お金や物を扱うよりも、人と関わる仕事がしたいと思いました。それに、大学時代にサークルでテニスを一緒にしていた女の子が学校の先生になって、とても楽しそうな姿を見たのも、少なからず影響しているかもしれない(笑)。だから実は、文部省(当時)には、強烈な使命感があって入ったというわけではないんです。  それでも今、振り返って思うのは、やりがい・楽しさといったものは、仕事をする中で見つかる場合が多くあるということです。どこか組織に入ってみて、やりたくないことを経験する中で、おのずとやりたいことが明確になってくることもある。  現に僕も、やりたくないなあと思いながらやらされる仕事のほうが断然多かった。楽しいと思える仕事は五つの中に一つあるかないか。組織と自分との違和感というのは、仕事を始めた初日からずっと持っていました。でも、そのおかげで今、本当に自分がやりたいことというのがはっきりしてきたと思います。僕の場合、それが夜間中学や不登校の子どもの支援だったりするわけですが。  とにかく「目的意識を持たないといけない」という強迫観念は、今すぐ捨てたほうがいい。目的が見つからなければ、「比較的これならやれそうだ」というものを見つけて、とりあえずでもやってみる。合わなければ、やめたらいい。今の世の中、一つの組織や仕事にしがみつく必要なんてないですから。  ぼーっと過ごしていて、全然いいんですよ。まずは、本を読んだり、映画や芝居を見たり……何でもいいですが、そのときに自分が感じた「ちょっと気になるもの」が何か、意識してみるといいかもしれません。そうしているうちに、ぼんやりとした意思のようなものが、自分の中にできてくる。  人生の目的は早くから見つかる人もいれば、50歳を過ぎてからという人だっている。いつからスタートしても遅くないと思います ※週刊朝日  2018年9月14日号
前川喜平
週刊朝日 2018/09/06 11:30
現役官僚がぶっちゃけ! 不祥事が続く理由を語る
現役官僚がぶっちゃけ! 不祥事が続く理由を語る
麻生財務相(左)、茂木経済再生担当相(中央)、林文科相 (c)朝日新聞社 安倍政権を支え続けた財務省の幹部たち (c)朝日新聞社  財務、文科、防衛、内閣府の現役官僚がぶっちゃけトーク。国会で連日、論議された防衛省の日報問題、財務省の森友文書改ざん問題、文科省を揺るがした加計疑惑、局長らの収賄事件と、官僚の不祥事が続いたが、安倍政権に仕える現役官僚たちの本音は? 【A氏 文科官僚(30代)、B氏 財務官僚(30代)、C氏 防衛官僚(40代)、D氏 内閣府官僚(50代)】 *  *  * ■逮捕の文科官僚 「いい加減な人」 文科省A:官僚たちが公の場で嘘をつく理由は明確です。安倍首相が「私や妻が関わっていれば、首相も国会議員も辞める」と国会で言い切り、大臣らも「文書はない」と言えば、官僚が「実はあります」なんて言いだせるワケがありませんよ。黙っておくしかない。首相、大臣、官僚とシンクロしないとおかしいですから。 内閣府D:佐川宣寿前国税庁長官の国会での「ありません」と嘘の言いっぷりはすごかったね。昔、私は財務省へ出向して彼と一緒に仕事したことあるけど、まあ出世欲の塊というか。部下に対するパワハラぶりも半端なかった印象です。あまり同情できなかったな。 防衛省C:こうした不祥事が続くのは、官僚たちの不満がたまるようになって、内部告発が多くなり、すぐにニュースになり、ネットで拡散され、広がりやすくなったことが理由の一つだと思います。おそらく、まだ明るみに出ていないネタも多くあるでしょうね。 文科省A:どこから漏れたのか、うちの林大臣の“セクシーヨガ”通いの激写は、霞が関以外の知り合いからいっぱい突っ込まれました(笑)。「国会中の昼間に行ったなんてどんだけ欲求不満なの?」って笑われました(笑)。結局、たいした問題にはならなかったけど。うちは不祥事が多すぎるので皆、あまり省内で話題にはしませんね。文科省の局長逮捕ですら、自分の上司ではなかったので、部内ではあまり話題になりませんでした(笑)。先輩から、報道陣に話しかけられても、「『知りません』ってスルーしなさい」とは言われましたけど。ただ、その後、事務次官も関わっているのではという報道があったとき、官邸に狙われているかも、まずいと思いましたね。「文科省はそのうち解体される」という噂が省内でまことしやかに出てました。 内閣府D:実はJAXAの業務をめぐる汚職事件で逮捕された文科省の川端和明被告と省庁再編の会議などで面識があって、テレビで見たときは、「えー!」と思いましたよ。でも、心では納得していました。「この人、いい加減な人だな」と仕事をしていて思ったことありましたから。文科省は加計問題で前川喜平前事務次官が徹底的に盾突いたので、官邸から目の敵にされていますね(笑)。まあ、前川さんは企業の御曹司だから、定年後のお金の心配もしなくていいからね……。われわれは天下り先も自分で探さないとダメで、官邸ににらまれるのは勘弁って感じです。 文科省A:上の人たちを見ていると、「政治家ってなんであんな偉そうなんだよ。絶対あいつには投票しない」と言っている人もいます。ですが、気持ち悪いくらいに、政治家にペコペコする人もたくさんいます。 官僚は、政治家に不満を持っている割に、腰が低いと思います。特に大臣には「大臣さまさま」ですね。 内閣府D:大臣によりけりです。茂木敏充経済再生担当相は最悪。「お前らバカか」という態度で威張り散らしています。 財務省B:うちは、大臣にへこへこすることはあまりないですね。財政再建という明確なゴールが決まっているので、自分たちのやることにぶれがないことが大きな理由かなと思います。あとは金融などへ転職しやすいというところ(笑)。 防衛省C:転職しやすいのはうらやましい。 ■天下り斡旋組織 崩壊で不安も… 財務省B:省庁によって違うと思うんですが、転職がしやすい省庁は、引退するまで勤めようと思っている人は少ないです。民間企業に近い働き方をしていたり、仕事で付き合いもあったりする経産省と財務省は転職する人が多いですね。3分の1は残るかもしれないけど、3分の2はいなくなるというのが今の現場の感覚です。平成9年の入省以降は、退職が激しいと聞きました。平成9年は半分ぐらい辞めています。旧大蔵省の不祥事が平成10年に起きて、そのとき入った1年生はいろいろ思うことがあったのではないでしょうか。今年も財務省は不祥事続きで、辞める人が出てきそうですね。 内閣府D:うちも辞める人が多いね。元々、官僚は給料がそんなに高いわけではなく、長く働けば働く分だけ、“天下り”などでそれなりの待遇がついてくるわけですよ。実は仲間うちで天下り斡旋の互助会のようなものを作ろうという話が何度か出たけど、菅官房長官らが文科省の天下り斡旋組織を血祭りにあげ、ガンガン切り込むのを見せつけられて、余計なことしなくてよかったと。でも、そうなると定年後、お先真っ暗ですよ。若い官僚もそんな現実を見ると、官僚は今の時代には適していない職業と思い、辞めていくのかもね。今、東大法学部が人気がなく、官僚になる学生の質も落ちていますよ。 防衛省C:官僚の意識としては、高度経済成長期までは、「国のため」という気持ちを持っている人は多かったと思いますが、今は減ってきた気がします。何十年先を見据えて国をつくっていくには、長い目で見ることが大事で、長期計画を立てたあとは、とにかく目の前の仕事、与えられた任期を全うすることを大切にしています。ただ、私たちのキャリアとして、セカンドキャリアをどうしていくか、民間に転職したとき何ができるのか。そうした不安もあります。それが、学生の官僚志望が減っている理由でしょうね。 財務省B:結局、霞が関は過去の過ちを繰り返しているんですよ。安倍首相は働き方改革と言っていますけど、まず霞が関を何とかしてほしい。だが、官僚には、国会対応があるから、国会前後になると大臣や国会議員へのレクチャー、資料づくりで徹夜続きで地獄ですよ。結局、国会や国会議員らの意識が変わらない限り、官僚だって変われないんです。 (構成 本誌・田中将介) ※週刊朝日  2018年9月14日号
安倍政権
週刊朝日 2018/09/06 07:00
矢部万紀子「橋本愛の27歳役に、のんを思って取り乱した夜」
矢部万紀子 矢部万紀子
矢部万紀子「橋本愛の27歳役に、のんを思って取り乱した夜」
橋本愛 (c)朝日新聞社 矢部万紀子(やべまきこ)1961年三重県生まれ、横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』 「dele(ディーリー)」(テレビ朝日)を毎週、見ている。  午後11時15分からのいわゆる深夜ドラマ。故人が残したパソコンなどのデータを消す「dele.LIFE」という会社の社長(山田孝之)と助手(菅田将暉)が主人公。毎回、クライアントを豪華ゲストが演じている。  今どきなテーマで、今っぽいノリ。だけどしみじみする。連作短編を読んでいるような心地よさ。今期ドラマで一、二を争うマイお気に入り。  8月24日放送の第5話は、「テレ朝ドラマ出演は18年ぶり」という柴咲コウと、「テレ朝ドラマ初出演」という橋本愛がゲストだった。柴崎は社長の元彼女、橋本はクライアントの「婚約者」と名乗るが……と、そんなお話。橋本演じる楠瀬百合子の恋心がとても切なく、その切なさがすべて伏線となって最後のシーンで回収される。よいドラマだった。  のですが、みなさん。橋本愛ちゃんが演じた楠瀬百合子が、27歳だったのですよ。がーん。  菅田演じる助手が死んでしまったらしいクライアントを訪ねるにあたり「小学校の同級生」に扮するのだが、「27歳に見えるかなあ」とクライアントの年齢を強調し、自分の見た目が27歳になっているかを気にしつつ出ていく。クライアントの家に到着すると、本物の同級生がいる。それが楠瀬百合子。つまり愛ちゃん。つまり27歳。  ね、がーんでしょ。だってみなさん、「あまちゃん」ですよ。  そう、橋本愛ちゃんといえば、朝ドラ「あまちゃん」のユイちゃん。能年玲奈が演じたヒロイン・アキの親友。2人は「潮騒のメモリーズ」というユニットを組み、地元アイドルになる高校生。などなどについては、「あまロス」と言われたほどだったからご存じの方も多いはず。  そのユイちゃんが、27歳だったのだから、これは驚くでしょ。  とはいえ「あまちゃん」の放送開始は2013年4月なわけで、確かにもう5年もたっている。そもそもユイという高校生だって「大人びた美少女」だったわけで、橋本愛という女優は内省的な役が似合う。楠瀬百合子27歳も、違和感なし。そう一旦は納得する。  ワンピースに白いスニーカーの百合子。バスケットボールをする。滑り台を降りる。バッティングセンターに行く。幼なじみと過ごした場所。彼の婚約者というのはウソ。長い長い片思い。きれいな人だなー、スポーツも得意なのね。いつの間にか、すっかり大人になったねー。親友になってしまった幼なじみ、でも好きなのね、切ないねー。  愛ちゃんとユイちゃんと楠瀬百合子をごちゃ混ぜにする私。なぜかというと「能年玲奈改めのん」問題があるからだ。 「あまちゃん」終了から1年、能年に所属事務所との契約問題が起こった。独立したい能年と、認めない事務所。2016年に能年は「のん」に改名。アニメ映画「この世界の片隅に」のヒロイン・すずの声で評判をとった。歌手デビューもした。だけど、演技の仕事がない。大手事務所の顔色をうかがい、才能ある女優を使わない芸能界ってなんなんだ。女優のんの時間が浪費されている。  と、勝手に憤っていたら、文藝春秋2018年1月号に「女優・のん『あまちゃん』からの四年半」という記事が載った。  ノンフィクション作家の小松成美が1年かけてインタビューし、母や故郷の担任の先生など大勢に丁寧な取材をした、力の入った記事だった。だが、どうもスッキリしない。  改名の理由を尋ねられ、「えーっと、本名を名乗らなければいいんだということに気づいたからです。だから本名で活動していた時のことも、前のお仕事の話もしないことにしているんです」と答えるのん。これが前提になるから、彼女に何が起きているかがわからない。本人は一貫して明るいが、それが余計に苦境をあらわしているようでつらい。  などと思いつつ読み終えて、半年余。  深夜ドラマで愛ちゃんに会った。映画中心でテレビには滅多に出ないから、久しぶりの愛ちゃんが27歳だった。ここからは、私の心の叫びを文字起こし。  ってことは、のんちゃんももう27歳? ドラマにも映画にも出ない間に? 愛ちゃんは「西郷どん」で西郷隆盛の妻になったし、来年の「いだてん」にも出るってニュースで見た。2年連続大河ドラマって、すごくね? 「いだてん」の脚本は「あまちゃん」の宮藤官九郎。能年玲奈のままだったら、絶対出演するよね。「この世界の片隅に」をTBSでやってるけど、すず役は松本穂香。「ひよっこ」(朝ドラ)の澄子役の子で、可愛くてよいけど、のんちゃんがすずって話もあったのになー。えーん、のんちゃーん。  千々に乱れる我が心。  だったのだが、少し落ち着いて考える。さて愛ちゃんは、ホントはいくつなのかしらん。調べた。1996年1月生まれ。まだ22歳だった。のんちゃんは、1993年7月生まれ。25歳だった。2人ともまだ若い、若い。よかった、よかった。  さらにさらに、のんちゃんが9月8日から配信されるLINEドラマ「ミライさん」に主演するということも知った。のんちゃん、とうとう女優復帰! LINE NEWS初のオリジナルドラマだそうだ。  思えばこの間、テレビで唯一のんを見られたのは、LINEのコマーシャルだけだった。LINEは彼女の味方なのだな。いいぞ、LINE。  LINE配信ドラマというのはどうしたら見られるのだろう。でもトーク機能っていうのは使ってるから、たぶん、わかるはず。よし、LINEでドラマ見るぞ。「ミライさん」、がんばるぞ、オー。そう思う、27歳、ウソ、57歳の私なのだった。(矢部万紀子)
ドラマ矢部万紀子
dot. 2018/09/03 11:30
歯科医院の数がコンビニより多いのは悪いこと? 低年収で歯科医の悩みも深刻…
若林健史 若林健史
歯科医院の数がコンビニより多いのは悪いこと? 低年収で歯科医の悩みも深刻…
全国の歯科医院の数は6万8872軒(※写真はイメージ)  コンビニの数より多いといわれる歯科医院の数。実際のところ、歯科医院は多すぎるのでしょうか? 患者にメリットはあるのでしょうか? 「コンビニより多い」といわれることを、歯科医はどう思っているのかなどを、テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に聞きました。 *  *  *  厚生労働省の最新の調査(医療施設動態調査2017年1月末概数)では全国の歯科医院の数は6万8872軒、コンビニの店舗数は5万5322軒(日本フランチャイズチェーン協会調査17年12月末)で、コンビニの数より多いのは間違いありません。  経営者である歯科医師自身が高齢化を理由に閉院したり、過当競争によって倒産したりする歯科医院が増える一方、近年は歯科医師会に入らずに開業する新規の歯科医院も多く、歯科医院の数は大幅には減っていないのです(かつては歯科医師会に開業の場所なども含め相談しながら、地域で歯科医院としてやっていくことが一般的でした)。  ただし、歯科医院数が集中しているのは人口の多い地域です。最新の調査では、日本で最も歯科医院の数が多いのは東京都で1万652軒。人口対の軒数も日本一で、約1200人に1軒存在します(第2位は徳島県です)。  さらに開業する場合は患者さんが多く来院される場所を選ぶため、都心かつ、駅の周囲に集中してしまいます。例えば私のクリニックがある渋谷区では人口22万4533人(2015年、JMAP・日本医師会地域医療情報システム)に対し、393軒(17年、同)の歯科医院が存在しており、これは570人に1軒の計算になります。  恵比寿駅や渋谷駅の周囲を歩くと、「ここにもある!ここにも!」と、その多さに歯科医の私も驚いてしまうほどなのです。  一方で歯科医院の数が最も少ないのは福井県で、約2600人に1軒、第2位の島根県は約2500人に1軒。つまり、人口対比でみると東京の半分しか歯科医院の数がありません。  歯科医の間では、2000人に1軒程度の比率だと、その地域で保険診療の歯科医院を安定して経営できるといわれています(都心の歯医者はそれが難しいこともあり、結果的に自費診療中心の歯科医院が多くなるのです)。  東京のような、歯科医院が過剰な地域で、歯科医師たちが「コンビニの数より多い」現状をどう思っているかですが、これは個々の状況によって違います。  当たり前ですが、過当競争の中でも自分の理想とする診療ができ、経営もうまくいっているところは、「どこ吹く風」です。そんな歯科医院では、院長が歯科医という仕事に誇りを持ち、子どもにも後を継がせているところが多いです。  一方、経営の苦しい歯科医院の悩みは深刻です。テレビや雑誌では、年収300万円以下の歯科医師が増え、「ワーキングプア」などといわれていますが、こうした事態を心配して「自分の子どもには歯科医師を継がせず、医師にしたい」などという話は実際によく聞かれます。 ■1960~70年代は歯科医が不足  ところで、患者さんにとっては、歯科医院の数は多いほうがいいことは、間違いありません。  むし歯や歯周病は放置しておけば進み、歯を失う原因になります。「むし歯の洪水の時代」といわれた1960~70年代は歯科医が不足し、歯科医院の前には患者さんの行列が夜遅くまで続きました。  歯科医院の数が多い今、このようなことはありません。「歯の調子が悪い」と思ったら、家の近くや職場の近くなど、かかりたいときにかかれる施設が必ずあります(そうした意味ではまさにコンビニ的といえるかもしれません)。  また、歯周病治療や矯正治療やインプラント、審美歯科といった具合に歯科医院ごとに専門も違いますし、保険診療中心か自費診療か、といった違いもあり、複数の歯科医院の中から自分に合った施設を選べるのもメリットでしょう。  問題はこうした中でどうやっていい歯科医院を選ぶかということです。経営の苦しいところでは収入を得るために、患者さんをたくさん診ようとして、流れ作業になってしまうこともあるでしょう。必要以上に高い治療をすすめてしまう可能性もないとはいえません。  しかし、患者さんの歯を守るために、信念を持ってクオリティーの高い治療を提案する歯科医もいます。  高額の治療をお金のためにすすめているのか、患者さんのためなのかをどうやってこれを見分ければいいのでしょうか。  正直、私自身にも明確には答えられないのですが、一つ大事なことは「歯科医師が親身になって患者さんのことを考えているかどうか」です。そして、そのことを言葉だけでなく「肌で感じられる」こと。  例えば家電を買おうとするとき、「こちらの商品がいいですよ」とすすめる店員さんの態度をよく見れば、売りつけようとしているのか、そうでないのかは、なんとなくわかります。  歯科医院の選び方については別の回でも詳しく紹介していく予定ですが、まずは、このことを歯科医院選びの目安の一つにしていただければと思います。 ◯若林健史(わかばやし・けんじ) 歯科医師。若林歯科医院院長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演
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