【ポイント3】過剰な「熱」をスッキリ冷ます

<気になる症状>
熱っぽい、顔が赤い、口やのどが渇く、冷たいものが飲みたくなる、イライラ、怒りっぽい、不眠、舌の色が紅い、舌の苔が黄色い

<改善ポイント>
 夏の暑さで身体に過剰な「熱」がこもると、体温が上昇して「心(しん)」や「脳」に影響し、熱中症などを引き起こす原因に。また、イライラや怒り、不眠といった精神の不安定にもつながるため、心身を大きく消耗させてしまいます。

 基本的には、適度に汗をかいて自然に身体の熱を冷ますよう心がけて。涼性の食材、利水作用のある食材を積極的に摂るなど、食生活の工夫も効果的です。また、冷房を上手に使うことも大切ですが、頼り過ぎると“汗をかきにくい体質”になってしまうので要注意。汗が引いたら止めるなど、冷房は“ほどほど”を心がけましょう。

<摂り入れたい食材>
身体の熱を冷ます:すいか、きゅうり、苦瓜、トマト、れんこん、はすの葉茶、緑茶など
精神を安定させる:百合根、はすの実、牡蠣、真珠粉など

身体の熱を冷ます食材、にがうり PhotoAC
身体の熱を冷ます食材、にがうり PhotoAC

【ポイント4】「湿」を溜めず「脾胃(ひい)」を元気に

<気になる症状>
食欲不振、消化不良、胃もたれ、膨満感、軟便、下痢、頭が重い、身体が重い、舌の苔が黄色く粘りがある

<改善ポイント>
 夏は湿気や水分の摂り過ぎなどで、体内に「湿」(余分な水分や汚れ)が溜まりやすくなります。湿が溜まると「脾胃(ひい)」(胃腸)の働きが低下して、食欲不振や消化不良、軟便などを引き起こす原因に。結果、栄養を十分に摂ることができず、夏バテしやすくなってしまうのです。

 また、脾胃は冷えに弱いので、冷たい飲食物の摂り過ぎにも注意して。暑くても“常温の飲み物”“温かい食事”を摂るようにして、脾胃にやさしい食生活を心がけましょう。

 夏バテ気味で食欲が落ちているときは、無理に肉類などを食べ過ぎないこと。消化の良い食事を心がけ、まずは「脾胃を元気にする」ことが大切です。

<摂り入れたい食材>
湿を取り除く:はと麦、緑豆、もやし、春雨、冬瓜など
脾胃を養う:米、山芋、いんげん豆、かぼちゃ、大豆製品、うなぎ、はも、卵、鮭など
食欲を促す:しそ、みょうが、しょうが、カルダモン、フェンネルなど

食欲を促す食材、みょうが PhotoAC
食欲を促す食材、みょうが PhotoAC

■生活と食事のヒント

<生活>
・身体が消耗しないよう、夏の睡眠はたっぷりと。
・家事やスポーツは、朝夕の涼しい時間を活用して。
・お風呂につかって疲労を回復。血行促進にもつながります。

<食事>
・食事は温かいものが基本。生ものや冷たいものは控えめに。
・潤いの多い食材を積極的に。不足しがちな水分を養います。
・飲み物は常温のお茶を。利水作用で身体の熱をクールダウン。
・水分補給は“適温・適量”を心がけて。冷たい飲み物、水分の摂り過ぎは脾胃の負担になるので注意しましょう。

お風呂につかって疲労を回復し、血行を促進させましょう PhotoAC
お風呂につかって疲労を回復し、血行を促進させましょう PhotoAC

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
監修:菅沼 栄先生(中医学講師)1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

本記事は、イスクラ産業株式会社監修の中医学情報サイト「COCOKARA中医学」より、一部改変して転載しました