本格的な夏が来る前の今から、暑さ対策を始めましょう ※写真はイメージです (c)GettyImages
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 夏になると、食欲不振になったり体調を崩したりしませんか? 夏は、生命活動の原動力となる「陽気」を養う季節です。ところが、暑さで食欲不振や睡眠不足が続くと、体内の陽気も不足しがちに。食事や睡眠にはいつも以上に気を配る必要があります。この記事では、日本の漢方のルーツである中国の伝統医学「中医学」をもとに、【健康的に夏を乗り切る方法】を分かりやすく説明します。

【図表】季節で不調となる臓器が変わる! 漢方・薬膳の基本の一つ「五行説」とは?

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■ 夏の健康維持のために「心(しん)」を守り、「熱」「湿(しつ)」を除く

 夏は「血(けつ)」の巡りが盛んになり、五臓の「心」が活発に働く季節。その分、心にかかる負担も大きくなります。また、暑さで大量の汗をかくと、体内の「津液(しんえき)」(「水」ともいう。潤いのこと)や「気」(エネルギー)を消耗し、血が濃縮してドロドロ血になったり、エネルギー不足から心の疲労を招いたりすることも。

 このように、夏は心に負担がかかりやすく、動悸や息切れ、不整脈、疲労感といった不調が起こりやすくなります。

 心の働きが弱くなると、脳に十分な血(栄養)が送られず、意識がもうろうとする、頭がぼーっとするといった症状が現れることも。高血圧や狭心症、動脈硬化症などの生活習慣病がある人は、特に意識して「心を守る」ことを心がけましょう。

 もう一つ、夏を元気に過ごすためには、体内の「熱」と「湿」(余分な水分や汚れ)を上手に取り除くことも大切。身体にこもった過剰な熱は、熱中症などの原因となるだけでなく、イライラや不眠を招く要因となります。結果、体力や精神を消耗し、疲労やだるさに悩まされることに。また、身体に湿が溜まると「脾胃(ひい)」(胃腸)の働きが低下するため、食欲不振や消化不良などを起こし、夏バテしやすくなってしまいます。

 暑さの厳しい夏は食事が偏りがちになりますが、体力を消耗しやすい時期だからこそ、バランスや体調に配慮して十分に栄養を摂ることが大切。上手な水分補給も心がけながら、積極的な養生で夏に負けない元気な身体を養いましょう。

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汗をかくと、エネルギーも流出してしまう