『特定興業入場券』は音楽ならプロモーター、野球なら球団や親会社などの興行主が指定する。しかし音楽業界などでは、興行主とは異なる現場アーティストの意向が重要視される傾向にある。一部有志のアーティスト団体が転売の一切を禁止としたのだ。結果、法律上は認められている定価以下の金額で転売されたチケットでも会場内へ入ることができなくなった。

 USJでは一身上の都合で日付指定日に行けなくなった時や、券種を間違って購入するなどチケット購買時のトラブルが多かった。客側が転売やキャンセル等を求めたところUSJ側は一切を拒否。それに納得できなかった人々が消費者支援機構関西(消費者センター)へ直訴し、提訴される騒動にまで発展している。

 二見社長はこれまで多くのチケットを取り扱ってきたが、その中でもプロ野球は特殊な興行だと言う。

「プロ野球のレギュラーシーズンは球団や親会社、オールスターと日本シリーズはNPBが興行主となっている。その中で昨年までは、『特定興業入場券』に指定されているのはNPB管轄のオールスター、日本シリーズ、そして東京ドームでの巨人戦のシーズンシートのみ。また今年から広島とDeNAの一部チケットも指定された。人気試合も多く、高額転売が目立つのですが、法律施行後もNPBや巨人が不正転売でペナルティを科したことは一度もなく、黙認している。なぜなら不正転売を探し出すのは莫大な費用や時間がかかる。興行主も労力を割けない、というのが本音なのではないか」

 冒頭で取り上げた広島球団同様、従来プロ野球の場合はチケット転売を黙認しているケースがほとんどだった。ただ昨年9月、西武が通常販売以外のルートで入手した試合チケットでの入場禁止、ならびに不正転売を行ったファンクラブ会員の資格剥奪を発表した。

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プロ野球の球団は対応バラバラ