今年もマツダスタジアムの広島戦チケット争奪戦はし烈を極めた (c)朝日新聞社
今年もマツダスタジアムの広島戦チケット争奪戦はし烈を極めた (c)朝日新聞社

 かつては「弱小」「不人気球団」などと言われていたが、それも昔の話。広島東洋カープはいまや、NPB屈指の人気球団となった。一世を風靡した『カープ女子』ブームは落ち着いた感があるものの、どの球場でもスタンドの半分以上が真っ赤に染まる光景は変わらない。

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 当然、観戦チケット争奪戦もし烈を極めるが、とりわけ入手困難なのが本拠地マツダスタジアムのチケットだ。3月1日には公式戦のチケット窓口販売が行われたが、購入できるのは40倍近い倍率で事前に当選した人のみ。もはや宝くじのようなものである。

 人気球団の宿命と言うべきか、その反動はチケットのプラチナ化を生み出してしまい、高額転売が各所で問題視されている。広島は興行主として販売方法の改善などは進めているが、その後の高額転売への対応には動いていないという。

「かつて不人気球団だった広島はチケットが手に入りにくい状況になっているが、いつ、以前のような状況に戻るかわからない。チケット転売などの締め付けを厳しくすると、人気が落ちた時に元に戻せない。球団としてはファン離れ時の対応を考えると動けない、というのが実情のようです」(カープ担当記者)

 チケット入手(購入)方法には、大きく分けて2通りある。1つは球場やプレイガイドなどで発売される正規ルートでの購入(一次販売ルート)。もう1つは発売済みチケットを金券ショップやネットなどのオークションで手にする方法だ(二次販売ルート)。

 これらの他にも、興行開催日に球場周辺で違法売買を行う“ダフ屋”も存在する。暴力団対策法施行なども影響し、近年はダフ屋の姿は表立って見かけなくなった。しかし路上などで直接的に営業していた多くが、ネットオークションなど地下に潜って転売を行っているという。

 何かと議論に上るチケット入手をめぐる問題、高額転売に対する興行主、球団などの対応策はどの方向へ向かっているのか。また、従来は認められていた金券ショップ側などの対応はどうなっていくのか。

 巨人の本拠地・東京ドームが立地するJR水道橋駅近郊で24年の営業実績を誇る『チケット&トラベルT-1』の二見理社長が現状を語ってくれた。

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法律で認められていても入場できないケースが…