また、チケット保持者個々への対応ではなく、外部業者と契約を結んで二次販売を委託する球団まで現れた。日本ハムオリックスロッテがチケット転売専門サイト『チケットストリート』と公式契約を結んだ。この3球団の試合チケットは『特定興業入場券』ではない。よって『チケットストリート』内では定価以上での高額転売が白日の下で堂々と行われている。そして、今年から西武は外部の『チケット流通センター』と提携し、球団公認チケットリセールサービスを開始することを発表した。

MLBなどは『StubHub』というチケット再販サービス会社と公式契約している。NPBも同様にチケット再販制度の導入を求める声は後を立たなかった。しかし、NPBは積極的に関与せず、放っておいたため、各球団ばらばらの対応になっている。金券ショップで手に入れたチケットで観戦できる球団とそうでない球団がある。ファンからすると混乱する。一番の被害者はファンであることをNPBが認識すべき」

 二見社長が語るように、NPBに関しては高額転売に関しての足並みはまったく揃っていない。このままでは法律の詳細を理解していないファンが処罰される可能性もある。そして法の抜け穴を利用して利益を出す企業も出てくるはずだ。まさに負のループに陥りつつある。

 また前述した音楽団体なども足並みが揃っているとは言えない状態だ。有志団体の趣旨に賛同していないアーティストもおり、こちらは通常通りに転売チケットでも入場できる。新法施行にあわせて音楽・エンタメ業界なども加わった『チケット適正流通協議会』が発足し、チケットリセール専門サイトなどもできあがったが、こちらもすべての興行主が賛同しているわけではない。

「興行チケットの日付指定がある日に急な用件ができて行けない時もある。飛行機や新幹線の場合、手数料はかかっても払い戻してくれる。一部の音楽業界など、こういうアフターケアをしないで『転売を認めない』と言われても納得できない。お客さんに対する一番大事なケアをしないのに、一方的な感じもする」

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