チケット転売トラブル、各球団で対応バラバラ なぜ不正な“転売ヤー”がプロ野球で黙認されるのか?

2020/03/06 16:00

「金券ショップは古物営業法という資格を有しており、これに基づきチケット売買を行う。だから一般ユーザーのネットオークションなどで起こるような詐欺などのトラブルはほとんどない。需要と供給のバランスによって合法的に自由な価格設定もできた」

 通常の金券ショップは主催者の同意を得ずにチケット販売をすることを生業としている(二次販売)。T-1は各種プロレス、格闘技団体のチケット正規取扱も行っており、一次販売と二次販売を扱う日本唯一の金券ショップである。主催者側ならびに金券ショップ側、両者の状況、そして購買者のニーズを熟知している。

“良心的”な商売を行っている金券ショップも一部にはあるが、そういうショップの商売動向さえ左右するような法律『特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(チケット不正転売禁止法)』が昨年6月14日に施行された。チケット不正転売禁止法は簡単に言うと、興行主が『特定興行入場券』に指定したものに関しては、定価以上での転売が禁止され、処罰の対象となる。金券ショップ経営者の中ではあまり危機感を持っていない経営者が多いらしいが、今後を左右する重要な法律だという。

 従来は金券ショップ側の裁量に任されていた価格設定が、ある種のチケット(=特定興行入場券)に関しては制約を受けることになった。しかしながら、NPB興行をはじめ、上記法律とは異なるペナルティを興行主が独自に設けている場合も多い。いわゆる“ダブルスタンダード”がまかり通っていると二見社長は語る。

「一部の音楽業界や宝塚歌劇団、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)などでは独自処分を科している。今回の法律に即せば『特定興行入場券』ではないチケットは金券ショップなどで自由に二次販売できる。しかし、上記の興行では、正規ルート以外での入手チケット保持者はすべて例外なく入場禁止としている。これではダブルスタンダード。法律で認められている方法(二次販売)でチケットを入手しても、会場へ入ることができない。これでは法律が何のためにあるのかわからない」

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USJは訴訟問題に発展

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