レッドソックスで活躍したビル・バックナー(gettyimages)
レッドソックスで活躍したビル・バックナー(gettyimages)
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元阪神・池田純一さんのご自宅で飾られている写真(撮影/澤宮優)
元阪神・池田純一さんのご自宅で飾られている写真(撮影/澤宮優)

 5月28日、元メジャーリーガーのビル・バックナーの訃報が報道された。69歳という若い死で、認知症を患っていたという。メジャーリーグでは2517試合に出場、通算安打2715本(歴代66位)、打率.289を記録した球史に残る好打者である。1980年には首位打者になっている。だが一方で彼にはもう一つの逸話が付きまとった。「球史に残る」と言われたワールドシリーズでの痛恨のエラーである。

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 それは86年のワールドシリーズの第6戦で起こった。バックナーの所属するレッドソックスはメッツに対し、3勝2敗と王手をかけて臨んだ試合だった。延長10回裏、メッツは同点に追いつき、さらに二死二塁と攻め立てた。しかし次打者ウィルソンの打球は一塁を守るバックナーの前に転がった。平凡な緩いゴロである。これで延長戦は11回に続くと誰もが信じた。ところがバックナーは足がもつれ、ゴロをトンネルしてしまい、メッツはサヨナラ勝利を収めた。結局レッドソックスは優勝することができなかった。

 バックナーのエラーは「バンビーノの呪い」ともファンに呼ばれた。バンビーノとはベーブ・ルースの愛称で、1918年がワールドシリーズを制覇した後、20年にレッドソックスの花形選手のルースをヤンキースに放出してから、レッドソックスは以後2004年までの86年間ワールドシリーズで優勝できなかった。これはトレードされたルースの呪いによるものだというジンクスが出来上がってしまった。その代表格がバックナーのエラーだった。トンネルしたボールは「呪いのボール」と呼ばれ、オークションにもかけられた。

 そんな彼だが、引退後に一人の日本人選手を立ち直らせている。その選手も試合で「世紀のエラー」と呼ばれるミスを犯し、悩み続ける人生を余儀なくされた。今回は球史に残るエラーをした選手二人の絆について語りたい。

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運命を変えた対巨人戦