残念ながら、1977年から1990年生まれの人は、追加で接種した記憶がなければ、1回しか接種していないはずです。1回接種では約5%の割合で免疫がつかなかったり、時間が経つと免疫が落ちてきたりすることがあります。抗体検査はせずにワクチンを接種しても全く構いません。麻疹単独のワクチンもありますが、この際、あわせて風疹も予防できるMRワクチンを打ちましょう。さらに、おたふくかぜも一緒に予防できるMMRワクチンを取扱っている医療機関もありますし、そうでなくても、MRワクチンとおたふくかぜワクチンを同時接種することができます。おたふくかぜは大人がかかると重症化しやすく、男性では15~30%で睾丸炎を引き起こします。この機会にぜひ予防しておきましょう。

 しかし、予防接種を打てない人もいます。妊婦さんが麻疹にかかると、重症化しやすく流産のリスクもありますが、妊娠中は予防接種を受けることができないのです。これから妊娠を計画している方は、パートナーと一緒に、事前に2回目のワクチンを接種しておきましょう。ワクチン接種後2カ月間は避妊が必要ですので気をつけてください。

 既に妊娠中だけれどワクチンを1回しか接種していないママや、1歳になるまでの赤ちゃんは、麻疹にかかりやすいと言えます。このようなママや赤ちゃんを守るには、周囲の人がきちんとワクチンを2回接種することが必要です。全体の95%の人が免疫を持てば、麻疹の流行を抑えることができると言われています。

 また、周囲で麻疹の流行がある場合には、生後6カ月以降は自費でワクチンを打つことも可能です。その場合でも、1歳になったら通常通りMRワクチンを接種し、小学校入学前に3回目のワクチンを接種する必要があります。医療機関で相談してみてください。

 あなた自身やあなたの家族はもちろん、他の妊婦さんや子どもたちを麻疹から守るため、この機会にぜひ、確認してみてください。

◯森田麻里子/医師
東京都出身。2012年東京大学医学部卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント

著者プロフィールを見る
森田麻里子

森田麻里子

森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産し、19年9月より昭和大学病院附属東病院睡眠医療センターにて非常勤勤務。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表

森田麻里子の記事一覧はこちら