交通量日本一の明石海峡 渋滞事故を防ぐ“仕事人”の手腕とは (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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交通量日本一の明石海峡 渋滞事故を防ぐ“仕事人”の手腕とは

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南文枝dot.#仕事
1日約800隻の船が通り、“海の銀座”とも呼ばれる明石海峡

1日約800隻の船が通り、“海の銀座”とも呼ばれる明石海峡

明石海峡を通る船を交通整理する大阪湾海上交通センター

明石海峡を通る船を交通整理する大阪湾海上交通センター

レーダーやライブカメラなどを駆使して船の状況を把握し、船に情報提供する

レーダーやライブカメラなどを駆使して船の状況を把握し、船に情報提供する

国内で8番目に建設された江埼灯台

国内で8番目に建設された江埼灯台

江埼灯台の一般公開では、初めて昭和の時代に使われていたガス灯器が展示された

江埼灯台の一般公開では、初めて昭和の時代に使われていたガス灯器が展示された

 なぜ明石海峡は混雑するのか。それは、周辺に大阪、神戸といった重要な港が多く、行き先によって、東西だけでなく、南北に航路が交差するからだ。船はみな最短ルートを通ろうと、一定の航路に集中する。また、好漁場でもあるため、漁船も多い。特に、春先のイカナゴ漁の時期は航路内で大小の船がさくそうして大混雑するそうだ。

「航路内に漁船が多い時は気が抜けない。無線電話がない漁船も多いので、直接コンタクトが取れない場合もある。このため、イカナゴ漁の時期は、事前に漁協の担当者らと会議を開き、シーズン中は巡視艇と連携して事故の未然防止に努めます」(前述の担当者) 春先は霧で視界が悪くなることもあるため、管制する側は気が抜けないそうだ。

 また、外国船も通航するため、英語で交信することも多い。このため、職員は管制業務に携わるための研修に加え、英会話研修も受けるという。担当者は「なまりなどで意思疎通が難しい時は大変。日々勉強、実践で、職場内で一番伝わりやすい言い回しを共有している」と話す。

 普段は目立たない存在のセンターだが、一般公開には、子どもからお年寄りまで多くの人が訪れた。明石海峡大橋の開通により廃止された本州と淡路島を結ぶカーフェリーを操船していたという50代の男性は「フェリーに乗っていた時に交信したことがある。イカナゴ漁の時期は一斉に注意を呼びかけることもあった」と、業務の様子を興味深そうに見ていた。

 また、センターと同じ日に、1871(明治4)年から145年にわたって海の安全を守り続けている近くの江埼灯台も公開。国内で8番目に建設された洋式灯台で、「日本灯台の父」と呼ばれるイギリス人技師、リチャード・ヘンリー・ブラントンが設計。石造りのしっかりとした灯台で、1995年の阪神・淡路大震災で被災した際は、予備電源で点灯し、被災地を行き来する多くの船を導いた。普段は入れない灯台内部が公開されたほか、昭和の初めから50年ごろまで使われたというガス灯器も展示された。

 海上での事故は、人命はもちろん、油が流出すれば漁業などへの被害も大きい。あまり知られていない地味な業務かもしれないが、海の安全を守る仕事人たちの気概を感じた。(ライター・南文枝)


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