「滑走路が水であふれて、見えないのです。近づくと、魚が泳ぎ、海藻があちこちに流れていた。それを見た上司は『関空は沈没してしまった』と肩を落としていた」
そして、現在は関西空港のいたるところに重機が入り、復旧作業が続いている。
しかし、滑走路には飛行機はなく、貨物を入れるカーゴも放置されたまま。
強風で倒された木はあちこちにあり、海上空港の弱点を露呈した。
“沈没”とまで言われた関西空港へ取材にいくと、連絡橋はタンカーが激突した損傷部分の橋脚の修復でたくさんの重機が行き交っていた。
バスの車窓からは、タンカーが激突してめくれあがり破損した橋脚が生々しい。
“沈没”とまで言われた、第1ターミナルは、まだ電気系統が回復していないのか、電気がついているところもあれば、コンビニ各店舗は電気なしで営業。商品はバスケットを床の上に並べて販売している。
「電気がこないので営業できないのですが、復旧のため工事関係の人が多数来ており、そのためオープンしている。しかし、電気がなくて冷たい飲料水などが販売できないし、商品もおにぎり、パンなど限定的です」とスタッフは話す。
ターミナル内には、エアコンが効いておらず、蒸し暑い。かび臭い異様なにおいがたちこめる。
国内線の出発口は、電気が回復していないのか、真っ暗だ。
ガードマンは暗い足元を、懐中電灯で照らしながら、マクドナルドの前を歩いてゆく。
1階の到着フロアは見回りのガードマン以外に人影はなし。ゴーストタウンという言葉がピッタリあてはまる。
今度は営業中というLCCが中心の第2ターミナルに行ってみると、電気がターミナル内を照らし、空調も効いている。しかし、フライト本数も限られていることもあり、「普段の10分の1くらいの人しかいません」と航空会社のスタッフも手持ち無沙汰の様子。
かつて関西空港の現場で10年以上、仕事をしていた人物はこう不安を漏らした。