2015年に関西空港の経営権は、オリックスグループの関西エアポートに民営化された。

「第1ターミナル構造で、一番地下にあるのがターミナルビルを持ち上げるジャッキアップの設備です。今回はそこにも水が流れ込み、排水で『どう排水すればいいのか』と大騒ぎだと、すでにやめた私にまで声が届いていた。それだけ経験者がおらずオリックスグループがまだ関西空港のことを十分に把握していないためだと思いました。それでなくとも、ジャッキアップ設備は阪神淡路大震災でも大きな被害を受けており、今回の台風21号でさらにダメージを受けた。そう簡単に復旧できるとは思えない」

 関西空港の担当者はこう話す。

「地下に浸水した水、高潮はすべて排水するなどして9日の日曜日くらいに水はひきました。

 第1ターミナルに電気がきているところと、そうでないところがあるのは、まだ電気設備が十分に回復していないから。空調、かび臭いというのも電気系統の問題だと思います」

 そんな中、大阪府の松井一郎知事は9日、当初は関西空港からの出発する予定だったが、便がなくなったので、中部国際空港からハンガリーとデンマーク、イタリア訪問へ旅立った。2025年国際博覧会(万博)の大阪開催への支持を各国関係者に要請し、16日に帰国する予定だ。

 関西空港は外国人、インバウンド客で経済をけん引してきたが、ほぼゼロになり、大阪の街も閑散。関西空港は開港はじまって以来の危機を乗り越えて、賑わいは戻るのか? (今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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