■必勝パターンで勝利を狙う沖縄県知事選挙
安倍政権にとって、総裁選に次いで重要な課題となったのが、9月30日に行われる沖縄県知事選挙だ。
ここでも、安倍政権は総裁選同様の「まやかし」の手口を使う。翁長知事の後継候補が決まらない中で、自民党は、既に佐喜真淳氏(さきま・あつし)宜野湾市長を候補とすることを決めている。その佐喜真氏は、最大の争点の一つである普天間飛行場返還に関しては「街のど真ん中にある飛行場を一日も早く返還することが必要だ。固定化はあってはならない」と述べたのにもかかわらず、その移設先としての名護市辺野古への新基地建設に関しては「(普天間飛行場の)移設先は後日しっかりとお答えしたい」と述べて、答えを先送りした。全くいい加減な話だが、これも都合の悪い争点について「議論を避ける」安倍政権の常とう手段だ。
一方、安倍政権の悪魔の政治手法「バラマキ」もこれからフル回転するだろう。翁長知事が亡くなって葬儀が終わったと思ったら、15日の日本経済新聞電子版には「自民党は15日、沖縄県知事選(9月13日告示―30日投開票)に向けた新たな沖縄振興策の検討を始めた」という小さな記事が出た。「自民党候補を勝たせれば、こんなご褒美が待ってるよ。もちろん、負けたらただじゃ置かないぞ」というメッセージだ。「バラマキ」はいつもその裏で「恫喝」がセットになっているのだ。
■来年の参議院選挙に向けた「バラマキ」も空前の規模
来年の参議院選挙に向けた「バラマキ」はものすごいものになりそうだ。来夏は参議院選挙のみならず憲法改正の国民投票まで行ってしまおうというのが安倍総理の頭にある政治日程だ。参議院選挙で大きく負ければ、総理の座も危なくなるということもあるが、何よりも、憲法改正の国民投票で負ければ、当分再度のチャレンジは難しくなる。その意味で、来夏に向けての経済対策は、従来の常識を超えたものになる可能性が高い。
もちろん、財務省は、野放図な歳出拡大には抵抗を試みるだろうが、公文書改ざん問題などもあり、安倍総理の恫喝に逆らえる官僚はいない。もしかすると、一切異論が出ずに安倍総理主導のバラマキが無制限に行われる可能性すらある。それでなくても、秋の臨時国会では、災害復興対策を理由にしたバラマキの議論が盛り上がるだろうし、防災対策と銘打てば、何でもまかり通るという事態になるだろう。最近の異常気象をはやし立てるテレビの報道などは、このムードをますます盛り上げることに大きく「貢献」している。まるで、政権に協力しているかの観さえある。