「仕事は自分で考え、自分でつくるもの」――そんなクリエイティブな姿勢がこの仕事には欠かせない。
「私は、この仕事が自分の生活の糧を得るためと考えたことは一度もありません。都市デザインを通して、街の中に美と自由を実現したいという一心でした。私の活動はビジネスなのか、それともアートなのか、今でも判然としない。それらが一体となった人間活動としかいえないかもしれません」
鈴木氏は、「これからはアートの時代になる」という。
「マスから個へ」「物からコトへ」――人の活動の動機や目的が大きくシフトするなかで、従来のように大企業が大量生産をする時代から、個々人が自分に合ったものをつくる時代になりつつある。それを最も象徴するのがアートだと鈴木氏は考える。
「もし、10万人の人が10万円の売り上げをつくったなら、100億円になります。1社で100億円を上げる時代から、10万人で100億円を上げるような時代になるのではないでしょうか」
この時代にふさわしい社会のあり方とは何か。鈴木氏の言う「アートの時代」は、今後の都市デザインに核の一つとして取り込まれることになるだろう。(文/若林邦秀)