実社会でそれを生かそうとすれば、普通に考えれば役所や企業などに籍を置いて仕事をすることになるのだろう。しかし、鈴木氏は「都市デザインの仕事を、組織の一員として指示されて行うというイメージがどうしても持てなかった」という。
かといって、一人でやれる仕事ではない。得意分野・専門分野を持つ人材が集まったチームとしての活動が必要になる。鈴木氏は、自分が思い描いた都市デザインの仕事を推進するために、起業の道を選択したのだった。69年、まだ「都市デザイン」という言葉がほとんど知られていない時代に、都市デザインを生業とする日本初の株式会社 UG都市設計を設立した。
■「アートの時代」がやってくる
都市デザインにおいて鈴木氏が重視したのは、「人のやらないこと」「初めてのこと」をやることだった。UG都市設計は「超高層住宅」「ウオーターフロント」「コンベンション」「アトリウム」「ビジネスパーク」など、日本の都市に次々と新しい概念を導入していく。
「誰もやらないこと」とはいっても、独りよがりではいけない。社会に受け入れられることが前提である。