「新聞・本で得た情報や、権威ある人の意見をうのみにするのではダメです。感覚を研ぎ澄ますこと。そして自分の頭で、それこそ脳みそが発酵するほど考え抜かなければなりません」

 都市デザインとの出会いは、東京大学在学中にさかのぼる。2年生になって専門課程を選ぶ際、新しく創設された「都市工学科」に進んだ。

 学科の説明会では、「新しい学科の一期生は、卒業して大成功するか、そうでなければ路頭に迷うか、そのどちらかだ。中間の安定した人生はない」と言われた。それを聞いて「それは愉快だ。挑戦してみようじゃないか」と思ったという。

 都市工学科では、丹下健三をはじめ、大谷幸夫、槇文彦、黒川紀章、磯崎新といった日本を代表する建築家たちが教鞭をとった。選りすぐりの教授陣に鍛えられた鈴木氏は、学生時代から都市設計・都市デザインの知識や理念を身につけていく。

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