最初に紹介した妻・春海さんの例では、夫は自分たち夫婦を一つのグループに、両親を一つのグループに描きましたが、妻である春海さんは、義父母のグループに夫を含めたグループを点線で描き、その外に自分を描きました。
それぞれに説明を求めると、夫は「一緒に生活しているから」と説明し、春海さんは「義父母が一つのグループなのは確かなのですけど、夫はうっすらそっち側のように感じるから」と説明されました。
春海さんに「春海さんは独りぼっちなんですね」と言うと、春海さんは泣き崩れてしまいました。夫は、最初何が起こったのかわからなかったようでしたが
「この図(春海さんの図)は物理的な現実ではなくて、心理的な現実なんです」
と説明すると、問題は魚でも親でもなくて、この関係性のために、春海さんが独りぼっちに感じていることだと理解されたようでした。
次に、嫁姑関係がこじれて「離婚」という言葉まで出ていた妻・葵さんの例では、葵さんが描いたのが、義親夫婦というグループと、葵さん、夫がバラバラ、というものでした。夫は最初、全員一緒というグループを描いたのですが、「その中でさらにグループに分けると……」と促すと、親夫婦が一つのグループ、葵さんと自分が一つのグループ、そして、自分と親夫婦が一つのグループという図を描きました。つまり、夫は、妻である葵さんとのグループと実親とのグループの両方に属しているわけです。
カウンセリングを進めていく中で、夫が発した言葉は衝撃的でした。
「俺は、勝馬に乗る」
それを聞いて葵さんが「義父母に勝てば私の味方になってくれるのね。私、頑張る(ハート)」なんてならないのは明らかです。葵さんは「辛いけど、うすうす感じていた本当のことが分かったのはよかった」と言って帰って行かれました。
男性の優馬さんの例は、葵さんの図と似ていました。
優馬さんの妻は、自分と子どもと両親で1グループ、自分と子どもと夫の優馬さんで1グループという妻が両方を掛け持ちする図を描きました。一方で優馬さんは妻の両親と妻と子どものグループと自分一人という図でした。