優馬さん夫婦のケースは逆です。
<例3 優馬さん(仮名・男性)の場合>
優馬さんは、妻が何かというと実家に頼りすぎると感じていました。夫婦二人の時代から、何かあると実母に相談の長電話をしていましたが、男兄弟の優馬さんには女性ってそんなものかなと目をつぶってきました。
産前産後にかなり長く実家に帰っていたのは寂しかったのですが、ようやく子どもと家に戻ってきても、育児が大変になると、優馬さんに相談する前に、実母を呼んで手伝ってもらっています。少々離れたところに住んでいるので、一度来ると数日は泊まり込みになります。仕事から帰って玄関を開けると、いきなり義母がいて面食らったことも一度や二度ではありません。
実は住んでいる家も、義父母が半分近いお金を出してくれています。そのため優馬さん夫婦が本来買える金額の倍近い世田谷の一戸建てを買えたのです。それは自分たちのマイホームはささやかであっても自分たちの力で買いたいと思っていた優馬さんにはかなりの心のしこりです。マイホームの名義の半分は妻です。たしかに優馬さんは、マイホームは二人で一緒に頑張って買うのだからだれがどれだけローンを負担しているかとかではなく夫婦で半分ずつの名義にしたいと思っていました。ですが、現状は妻の親が半分お金を出してくれたから妻が半分持っていると思えてしまい、もやもやとした気分になってしまいます。
それどころか、妻は今でも親からお小遣いをもらっているようなのです。
これ以外のことでは仲良くやっているのですが、ちょっとしたことで言い合いになると、最終的にはこの話になり揉めてしまいます。妻は、最初は「いいじゃない、いい家に住めて、あなただって楽できているのだから」という程度でしたが、今では「人のやさしさのわからない人」とまで言う始末です。優馬さんは優馬さんで、妻が親から自立してほしいと思っています。
■夫婦の本音がわかるグルーピング
カウンセリングにおいでになるご夫婦に、問題状況において登場人物がどうグルーピングになっていると<感じる>かという図を、ご夫婦それぞれに描いていただくことがあります。