「初めて男の人に奢ってもらいました」「こんなに扱われ方が変わるなんて」と口コミで評判。予約3カ月~半年待ちの「個人コーディネート」が話題を呼んでいるのが、ファッション・プロデューサーしぎはらひろ子さんだ。「男性が惹かれる女性の服とはどんな装いか、を勘違いしている女性が多いからこそ、知ってほしい」と、このほど『愛されリアルコーデ』を出版した。その中から、「とにかく変わりたい!」という相談者、慶子さんの例を紹介する。
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相談者は、首都圏の一流証券会社で働く29歳の慶子さん。幼い頃から真面目で勉強に励み、有名国立大学を卒業。就職も大手の会社にすんなり決まり、エリート街道まっしぐらで生きてきたという女性です。
慶子さんのヒアリングシートを見ると、自分に対する他人からのイメージ、その雰囲気を変えたいと思っていることがわかります。一つ気になったのは、憧れの著名人には天海祐希さんと滝川クリステルさんという知的で大人の女性というラインに、親しみやすいキャラクターの坂下千里子さんが並んでいること。なりたい自分のイメージに、何かしら迷いがあるのかもしれません。
今回は平日の午後、都内某百貨店の入り口で待ち合わせをしました。半休を取っていらっしゃった慶子さんは、完全にお仕事モードの格好。黄土色のスカートスーツに白いシャツ、パンプスというビジネス服の姿でした。でも、スーツの黄土色を映して顔がくすんで見えるせいか、29歳の割には随分と落ち着いているというのが第一印象でした。
慶子さんは「こんにちは、慶子と申します。今日はどうぞよろしくお願いします」と、とても丁寧なご挨拶をしてくださいました。明るい笑顔を見せてくれた慶子さんと、早速カフェに入り、今回の目的を聞いてみることにしました。
信念は「人の価値は中身で決まる」!?
しぎはら:まず、慶子さんが今回のスタイリングで何を求めているか明確にしなくてはと思うんだけど、そのあたりから聞かせてもらえるかしら?
慶子さん:はい。何が目的というか、私、とにかく変わりたいんです!
私は、開口一番飛び出した「変わりたい」という言葉に、少しびっくりしました。私のところに来る相談者は、もちろんみんな“変わりたい”のが前提なのですが、最初からここまではっきり、きっぱり「変わりたい」と言う方はこれまでいなかったからです。
しぎはら:変身願望が強いのね。どんな部分を変えたいか、具体的に教えてくれる?
慶子さん:はい。私、今まであんまりおしゃれに興味がなくて。興味がないというか、おしゃれって何のためにするんだろうって思っていたんです。人の価値って中身で測るものだと思っているので、外見ばかりに気を使うのは、邪道っていうか……。
しぎはら:うんうん、なんとなく気持ちはわかるわ。今まで真面目に頑張って成果を収めていらっしゃったのよね、きっと。
慶子さん:はい、それが自分の信念だったんです。特に、“女らしくする=なんとなく安易に露出を多くする”っていうイメージがあって、それは嫌だと思っていました。ミニスカートを穿くのは抵抗あるし、私はそういうキャラじゃない。とにかくおしゃれに対してはそんな印象しか頭になかったんです。
しぎはら:でも、自分を変えたいと思ったのよね?
慶子さん:ヒアリングシートにも書きましたけど、ある日同じセミナーに通っていた2、3歳年上の知人が、今までとは全く違う服装で現れたんです。それまでは私と同じように、どちらかというと地味な雰囲気だったのが、いきなり華やかにぱっと明るい女性の雰囲気になったんですよね。しかも私が思っていた女らしさとは別のベクトルで、上品さに満ちあふれて好感度もアップしていました。まるで人柄まで変わってしまったかのような印象だったんです。目に見える変化って周りの人にも強烈なインパクトを与えるんだなーっと思ったんです。