私は慶子さんに、普段から女らしさを意識して振る舞う訓練をしてほしいと思い、デートはもちろん、普段の仕事でも着られるようなアイテムをご用意しました。一枚で顔まわりの印象を左右するトップスは、ボトムスに比べて色選びが難しいもの。だからこそ色の威力を知ってほしいと思ったのです。「aquagirl」の上質なポリエステル素材を使ったブラウス風カットソー。このラベンダーブルーは、理知的なキャラクターをもつ慶子さんに寄り添う色。そしてビジネスでもプライベートでも使える便利なアイテム。持っていると、とても重宝します。ボトムスには、どんなトップスの色も引き立てる、万能なベージュのタイトフレアスカートを合わせました。「ROPE'」のスカートで、3枚重ねのデザインもかわいらしさをプラスしてくれます。
しぎはら:寒色のラベンダーブルーのトップスに、暖色の明るいレモンイエローのストールを合わせたら、お互いの色を引き立てあって、華やかさがアップするわ。どちらもきれいなパステルカラーだから、色がケンカせず、爽やかな色気が出るのよ。
慶子さん:確かにそうですね。決して露出度を上げなくても女度はアップできるんですね。それに、こちらのほうが上質な女らしさを出せていると思います。新しい世界が開けて、なんだか変われる気がしてきました。自分のこれからが楽しみです!
2着目も試着した慶子さんは、着てみて納得という表情でした。これまで29年間、真っ白だった慶子さんの“脳内おしゃれノート”には、みるみるうちに様々なノウハウが書き込まれていったようです。
そして慶子さんの顔は、まだ見ぬ世界への期待感で、あふれんばかりの輝きを放っていました。きっと、慶子さんが私にスタイリングの依頼をするきっかけになった知人の方と同じように、周囲の方は慶子さんの変身ぶりに目を瞠ることでしょう。
そう想像して嬉しい気持ちになりながら、慶子さんの願いどおりに“変われる”こと、装いをご自分の戦略にして人生の希望を叶えてほしいと、祈ったのでした。
■運命の一着が後押しした、運命の出会い!
キラキラと輝くような女性へと近づいたあの日から2年後、慶子さんから報告したいことがあるという連絡を受け、私たちは都内百貨店のカフェで再会を果たしました。
慶子さん:こんにちは、ご無沙汰しています。
しぎはら:お久しぶり。あら、この赤いカーディガン、あのとき買ったものよね。まだ大事に着てくれているのね。
慶子さん:はい。これこそ、まさに私の運命を変えてくれた服なので、大切に大切に手洗いしているんです。
しぎはら:そうなの? 嬉しいわ。慶子さんに連絡をもらって、今日は楽しみにしていたのよ。
私は、慶子さんの左手の薬指に、光る指輪を見つけました。「結婚したのね!? おめでとう」というと、少し照れながら、なれそめを話してくれました。
慶子さん:実は、しぎはらさんのスタイリングを受けた1週間後に、友人が男性を紹介してくれることになっていたんです。
しぎはら:そうだったのね。じゃあ、あの時はその場に着ていく服を想定していたの? 「近いうちに男性を紹介してもらうかデートする服」ということで選んでいたのは間違いじゃなかったわね(笑)。
慶子さん:はい、少しは意識していました。あの日、この素敵な服を手に入れられたので、なんとなくいつもの自分とは違う気持ちで男性と会う日を迎えたんです。特に“運命の人に出会えるかも!”と意識していたわけではなかったんですが、結果的にそうなりました(笑)。
しぎはら:あら! そうなの? 嬉しいわ。慶子さんにどんなことが起こったのかしら。私、本当に今日、慶子さんのお話を聞けるの、楽しみにしていたのよ。具体的に聞かせてくれる?