慶子さん:はい。私の友人が男性の友達を連れてきてくれて、運命の彼はその友達の友達。4人で食事をしたんです。実は、紹介される前に待ち合わせ場所で、“なんだか素敵な人だな”と思って見ていた人でした。だから、その人が当日紹介される人だったことに、まずはびっくりして。

しぎはら:すごいわね。もうそこから運命が始まっちゃってる(笑)。

慶子さん:そうなんです。でも、困ったことに彼は全く会話に乗ってこないタイプの内向的な性格でした。もう一人は社交的で楽しい人だったので、余計に彼と打ち解けられないギャップを感じてショックで。そんな状況だったから、連絡先を交換しても進展がないだろうと思って、半ば諦めていたんです。そうしたら私の友人が、「彼、慶子のことよく見てたよ」って言ってくれて。だから思い切って後日、自分からメールしたんです。“今度どこか一緒に行きませんか?”って。

しぎはら:まあ! そんなこと、それまでの慶子さんならしなかったでしょう。

慶子さん:そうなんですよ。5日くらい経ってたんで、もう忘れられたかもって不安でしたけど(笑)。友人も、「ああいうタイプの人は、女から押さないと何もしてこないよ。頑張って連絡してみれば」と励ましてくれたので、ここはやるしかないな、と。自分からアプローチすることなんてこれまでなかったので、だいぶ勇気が要ったんですけど、あの服を着ていた(変身した)自分のことを、きっと覚えてくれているはずって思ったんです。そしたら、間髪容れずに“行きます!”って返事がきて。

しぎはら:あの服、速攻で力を発揮してくれたのね!

慶子さん:はい。それで、1カ月後からお付き合いが始まりました。結果的には、彼と結婚することができたのですが、実はそれほどスムーズに事が進んだわけではありませんでした。ただ、いろんな節目でこのワンピコーデのパワーを感じましたね。

しぎはら:というと?

慶子さん:最初に出会ったとき、初デート、告白されたとき、別れ話を回避したとき、プロポーズされたとき、そのすべての重要な場面でこの「カーディガン+ワンピース」のセットを着ていたんです。そのなかで一番威力を感じたのは、実はプロポーズでも告白でもなく、別れ話を回避したときでした。

しぎはら:え! 別れそうになったの? どうして?

慶子さん:なぜ別れ話になったかというと、最初はふたりの間に出ていた結婚の話が、だんだん話題に上らなくなったからなんです。

「付き合って1年経っても結婚に対して何も進まないのなら、ちょっと考えたい」

 って私が言ったら、本当に別れ話に進展してしまって。

しぎはら:まあ、辛かったでしょう。

慶子さん:ええ、当時は自分の部屋で泣きましたね。彼は真面目で相手の心を試すタイプじゃないし、きっと本気だろうなと思いました。電話で別れ話になったんですけど、一回会って話したいと申し出て。その時もまさに、この赤いカーディガンとチャコールグレーのワンピースを着て会いに行ったんです。当然、会話は弾まないんだけど、この服を着ていたら非言語で何か伝わるものがあるんじゃないかと。もうこれで最後だろうから、せめてキレイな私でいようと思ったんです。

しぎはら:“最後にキレイな私を目に焼き付けてちょうだい”って思ったわけね。

慶子さん:はい(笑)。なんで別れたいのかとは一切聞かないで、「じゃあ、これから仕事がんばってね」って。お店を出て、エスカレーターに乗って、最後にお礼を言おうかなって思ってたら、

「いろいろすいませんでした。来週、行きたいって言ってた映画見に行こうか」

 って言われたんです。

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