今季からJリーグに復帰したC大阪の清武弘嗣(写真:Getty Images)
今季からJリーグに復帰したC大阪の清武弘嗣(写真:Getty Images)
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 残留戦線異状あり――だろうか。

 今季のJ1リーグのことだ。全34試合という長丁場のリーグ戦も、この項の締め切り時点で、すでに4分の1以上を消化。ゴールデンウイークを過ぎれば、中盤戦に突入していくことになる。

 順位表に目を移すと、上位(1位~6位)の顔ぶれは例年と比べて大きな変化はない。9節終了時点で、1位が浦和、2位がG大阪、3位が鹿島。過去3シーズン、常にトップ5をキープする強豪ばかりだ。

 開幕前の大型補強で注目されたFC東京も、しっかり4位につけている。また、柏と神戸の伏兵も、それぞれ6位と7位の好位置をキープ。昨季3位の川崎Fが9位とやや出遅れたが、ACLとの二束のわらじに加えて、ケガ人続出に苦しんでいる。駒がそろえば、優勝戦線に食い込んでくるのではないか。

 上位争いに予定調和の筋書きが透けるぶん、逆に目を引くのが、下位(13位~18位)クラブによる残留戦線だ。このうち、J2への降格圏内に沈むのが16位以下の3クラブ。例年なら、昇格組の名前を目にするところだが、今季は1つもない。

 清水(14位)と札幌(15位)は、いずれも残留圏内。C大阪に至っては5位に食い込んでいる。2014年にはG大阪がJ1に昇格早々、三冠の偉業を成し遂げるなど、近年は昇格組の躍進が著しい。昨季も大宮が5位でフィニッシュしている。

 今季はユン・ジョンファン新監督率いるC大阪の出番か。初勝利は4節と出遅れたが、それ以降は4勝2分けの負けなし。もとより、清武弘嗣と山口蛍の代表ペアにキャプテンの柿谷曜一朗を抱える陣容は豪華だ。

 さらに、本来は守備的なポジションを担う山村和也をトップ下に据えて、主砲の杉本健勇と異色のタンデムを組ませる采配が的中。ゲーム終盤には山村を最終ラインに下げたシステム変更(5-4-1)で逃げ切る形も、いまや定番になりつつある。

 ベースが堅守という意味では、清水と札幌も同じ。ただし、例年の昇格組とは大きな違いがある。前線に決め手を持っていることだ。チョン・テセ(清水)と都倉賢(札幌)である。現時点でテセは4得点、都倉は5得点をマーク。善戦しながら、1点に泣いて惜敗という昇格組にありがちなシナリオを、微妙に書き換えている。

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