そんな鶏は黎明(れいめい)を告げる、新時代の象徴でもあるのです。またこの作戦にあたって「常世の長鳴鶏」がとまるための木が用意されましたが、これこそ神社にある「鳥居」の原型ではないかといわれています。暁を告げる、吉祥の鶏が居る門を、八百万の神々が祀られている神社の入り口に立てた。それがいつしか鳥居と呼ばれるようになった……。

 こんなところから、酉年はなにか新しく物事を始め、挑戦するにはグッドタイミングとされています。さらに「とり」は「とりこむ」にも通じ、良いご縁や商機をばんばん取り込む、商売繁盛の1年でもあるのです。占いなどでも、酉年生まれの人は商才があるといわれます。

「酉」の字にはもともと「果実が熟してきた状態」という意味があるそうです。そこから「まいてきたものが実り、刈り取る時期」「いままでの努力が報われる時期」ということにもつながっていきます。酉年は商売繁盛にして収穫の季節なのです。

「酉」と「商売」で思い出すのは手で知られた酉の市。これは、かの日本武尊が戦勝を記念して熊手を奉納した日が、11月の酉の日だったことがきっかけだといわれています。熊手はごっそりと財を集められそうなその見かけから、商運を呼ぶアイテムとして人気。酉年11月の酉の市、だいぶ先の話ではありますが、こちらもかなり盛り上がりそうです。(文・室橋裕和)

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