3月や4月に実施予定の企業について発表後の株価をチェックすると、2月1日時点でオリエンタルランドや信越化学など、発表前の水準を上回る銘柄が多い。一方でファーストリテイリングやセイヒョーは値を下げた。前出の大谷さんは言う。
「銘柄によって株価の動きはまちまちで、主力銘柄の場合は株式分割だけでなく、市場全体の動向に左右される面も大きいようです。中小型株は発表直後の上昇が目立ちますが、その後も値上がりが続くかどうかは成長力しだいと言えそうです」
■一喜一憂せずに長期保有を推奨
株式分割は、決算とあわせて発表されることが多い。株価は市場全体の動向とともにその企業の業績や将来の見通し、さらに自社株買いや配当といった株主還元策など、さまざまな要因も反映される。
ニッセイ基礎研の森下さんが21年4月から22年3月に株式分割をした115社を分析したところ、分割の発表をきっかけに株価は上がる傾向があった。ただ上昇は全体的に長続きせず、株式分割の効力発生日前後にかけて元に戻る傾向が見られたという。効力発生日後に株価が下がるケースもあった。株価へのポジティブなサプライズ効果のほとんどは、発表直後に織り込まれてしまったようだ。
森下さんは、投資すべきかは、やはりその企業の業績や将来の成長性を確認することが大前提だと強調する。
「株式分割によって、自分が興味を持っていた株式が買いやすくなるならチャンス。分割発表による株価の上げ下げに一喜一憂せず、長く持ち続けることをお勧めします」
(本誌・池田正史)
※週刊朝日 2023年2月17日号