最近、株式を分割する上場企業が目立つ。株式分割をすれば理論上、株価は下がる。これまでは、興味があっても高くて手を出しにくい株式も少なくなかったはず。「高嶺(たかね)の花」だった株が買いやすくなるチャンスに、どう備えたらいいか。
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「より幅広い層の投資家の皆様に保有頂くことを目的としています」
産業用ロボットメーカーのファナックは1月27日、決算発表と同時に株式分割を行うと発表した。3月31日時点の株主が持つ普通株を、1株あたり5株の割合で分割する。
ファナックが株式を分割するのは約37年ぶりだ。株式市場もこれを好感し、発表の翌営業日にあたる1月30日の株価は、2万3165円と前日比で800円(3.6%)値上がりした。その後も発表前を上回る水準で推移している(2月3日現在)。
株式分割は、すでに発行された株式を分割し、発行済みの株数を増やすことをいう。分割すると、株主にはその分の株式が割り当てられる。100株を200株や300株に分割する場合、100株を持っている投資家は持ち株が200株や300株に増える。
株数が増えても、基本的に会社の価値は変わらない。このため理論上はその株の1株あたりの価格は分割された分だけ減る。株価1千円の100株を200株に分割するケースでは、分割後の持ち株は2倍に増えるが、株価は理論的には2分の1の500円になる。
1株を5株に分割するファナックの場合、2月1日の終値時点で株式を売買するのに必要な最低投資金額は、株価に最小の取引単位(単元株)の100株をかけた228万円。分割後は5分の1の約45万円になる計算だ。
このところメディアなどで株式分割が取り上げられることが増えている。昨年末以降だけでも「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングや東京ディズニーリゾートを手がけるオリエンタルランド、信越化学工業といった人気の銘柄が3月や4月に実施する方針を発表した。