開始4分にはスタメン起用に応えた横山がバー直撃のミドルシュートを放つなど、期待を抱かせるスタート。しかし、連戦の疲れからか主力の宮間や大儀見のプレーにはキレが感じられない。守備は改善されたものの、肝心の攻撃に迫力を欠いて決定的な場面を作ることはほとんどできなかった。

 シュート数こそ韓国を上回ったが、ゴールの枠内へヒットしたシュートは開始直後の横山のシュートと、後半40分の先制点につながった岩渕のヘッドくらい。このシーンではペナルティエリア内に大儀見と岩渕の2人が侵入していたが、それ以外はサイドを崩しながらもペナルティエリアには大儀見しかいことが多かった。

 左サイドから横山と有吉、右サイドから川澄と近賀が崩しにかかっても、ゴール前には大儀見しかいない。このためクロスを入れても大儀見は密着マークに遭い、なかなかシュートまで持ち込めない。先制点は大儀見がダミーとなったからこそ生まれたものであることを、2日後の中国戦では生かすべきだ。

 というのも、中国や北朝鮮もこの日の韓国のような試合運びを選んでくる可能性が高いからだ。ボールポゼッションでは負けるため、自陣に引いて守備を固めながらも、ベタ引きではなく前線からのプレスによるショートカウンターを狙う。これが近年のアジアにおける「なでしこ対策」と言っていいもいいだろう。

 厳しい現実ではあるが、リオ五輪の出場権を獲得するには、残り3試合で勝ち点9を上げつつ、オーストラリアが連勝するのを期待するしかない。韓国戦で守備は改善されたが、攻撃陣の主力には疲労感を感じた。どんな大会であろうと、なでしこの対戦相手は研究している。

 それならいっそ、主力の宮間と大儀見を外した攻撃陣というのはどうだろうか。コンディション優先のギャンブルであることは十分承知している。
サッカージャーナリスト・六川亨【週刊サッカーダイジェスト・元編集長】)

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