心も体も日々成長していく赤ちゃん。そんな赤ちゃんの、潜在的な能力を伸ばしてあげたいという親は多くいます。脳の発達の視点で、わが子の脳を「育む」ためにできることはあるのでしょうか?
「AERA with Baby2015年12月号」では「知育おもちゃ」を特集。2000人の赤ちゃんを観察・研究してきた玉川大学脳科学研究所の岡田浩之先生にお話を聞きました。
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ねんねをしていた赤ちゃんは生後1年程度で歩けるようになります。そんな赤ちゃんのめまぐるしい成長の時期に、頭の中では一体何が起きているのでしょう。脳の発達とおもちゃ選びにはとても深い関係があるようです。
赤ちゃんは1歳になるまでに身長が1.5倍に伸び、体重は約3倍に大きくなります。急激に成長する赤ちゃん期の頭の中では、一体何が起こっているのでしょう。
「脳の大きさ自体は、赤ちゃんと大人はほとんど変わりません。しかし脳内物質は生後1年で大きく変化します。脳内の神経細胞同士をつなぎ、細胞間に流れる情報回路を完成させてくれるのが『シナプス』といわれますが、例えば、第一視覚野のシナプスの量は生後2カ月くらいで一気に増え、8カ月で最大数に達します」
このように乳幼児の脳は驚くほど発達します。とはいえ、赤ちゃんの脳の成長と、『頭が良くなる』ことの関係は解明されていません。おもちゃのパッケージに「頭が良くなる」と書いてあるものがありますが、科学的に証明されていないものが大多数だといいます。
「赤ちゃんの脳はまだまだ謎だらけですが、赤ちゃんがおもちゃを手にとって『長い時間遊ぶ≒赤ちゃんは満足している』ということが言われています。子どもが夢中になって遊んでいる間、脳にはさまざまな刺激が与えられているのです」
0~2歳くらいまでは、歩けなかった子どもが歩く、話せなかった子どもが話すなど、乳幼児期の子どもの成長はめまぐるしいものです。子どもの発達を促すおもちゃ選びが、脳を育むことにつながるのです。
玉川大学脳科学研究所 岡田浩之先生
専門は人工知能、認知発達、認知的脳神経科学など。「玉川赤ちゃんラボ」メンバー
※AERA with Baby 2015年12月号より抜粋