無人島の暮らしを楽しむゲーム「あつまれ どうぶつの森」が売れに売れている。新型コロナで自粛生活が強いられるなか、「助けられた」という声も少なくない。AERA 2020年6月29日号では、プレーヤーたちに起きた効果や変化に迫った。
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移住した美しい無人島で魚や虫を捕ったり、花を育てたり、家具を集めて自宅や島を飾ったり、住民の動物キャラと話をしたり──。夢の夏休みのような暮らしを遊ぶのが、ニンテンドースイッチの新作ゲーム「あつまれ どうぶつの森」だ。
勝ち負けはなく、エンディングもない。島を流れる時間は現実と同じ。プレーヤーが毎日の暮らしをコツコツと自分なりに楽しめるのが魅力だ。
もともと人気の高いシリーズだったが、最新作の世界的大ヒットには、新型コロナウイルスによる自粛生活も影響した。
■約2カ月で450万本
任天堂の2020年3月期の決算説明会では、古川俊太郎代表取締役社長が「前期の第4四半期の売上高および利益が20年1月に修正発表した業績予想に対して大きく上振れた原因は、ほとんどが『あつ森』の発売による影響」と説明。日米欧で購入者の約5割がダウンロード版を選んだのは、各国の自宅待機が推奨される時期と重なった特殊要因もあると語っている。ゲーム雑誌「ファミ通」の調べでは、3月20日の発売から約2カ月で、国内累計販売本数が450万本を突破。コロナ禍が生んだメガヒットといえよう。
実際、巣ごもり生活中に「あつ森」に助けられたという声は少なくない。
神奈川県在住の50代の女性も、その一人。3月の発売初日から毎日、同い年の夫と一緒に「あつ森」に触れている。
女性が言う。
「新型コロナは新しい感染症だから誰も確かな情報を持っていません。大量に流れるニュースを見ていると、不安が募ってしまって。『あつ森』のおかげで自然とテレビの視聴が最小限になったのはよかったのかも」
3月下旬からリモートワークになった夫は、「自粛生活のストレスはそう感じなかった」と話す。しかし、インドア派の二人でも、近所のスーパーの混み具合を予想しながら外出時間を変えるなど、生活の変化はあった。そんな夫が「あつ森」でハマったのは、川や崖を造成するツール。こう遊んだそうだ。