こうしたなか、毎年のように廃止が進む事態となり、2015年3月14日に「北斗星」が臨時列車化、同年8月22日をもって「ブルートレイン」は全廃してしまった。現在は唯一の寝台列車として「サンライズ瀬戸・出雲」が活躍するほか、一部観光列車にその名残りが見られるのみとなったのである。なお、寝台車の一部はタイなど海外へ譲渡されており、機会を改めてその状況をリポートしたい。
国内の長距離輸送をめぐっては、航空のLCC(ローコストキャリア)の普及もあって、鉄道のシェアへの影響拡大も予想される。ましてや、身内に新幹線という強力ライバルが存在するとあっては、寝台列車の現状はやむを得ないのかもしれない。しかし、夜間の寝ている間に移動できるという寝台列車の優位性は必ずあり、先々にその復権がありあえないとは言えないようにも思う。現に、一時は衰退した欧州では寝台列車復活の動きもある。この快適かつ便利、そして夢いっぱいの乗り物の将来に期待を寄せてみたい。(文・植村 誠)
植村 誠(うえむら・まこと)/国内外を問わず、鉄道をはじめのりものを楽しむ旅をテーマに取材・執筆中。近年は東南アジアを重点的に散策している。主な著書に『ワンテーマ指さし会話韓国×鉄道』(情報センター出版局)、『ボートで東京湾を遊びつくす!』(情報センター出版局・共著)、『絶対この季節に乗りたい鉄道の旅』(東京書籍・共著)など。