数年前には、なんと体長7・4メートル、推定512歳のニシオンデンザメが発見されています。
今から約500年前と言うと、日本では室町時代の末期から戦国時代が始まる頃です。織田信長も豊臣秀吉も徳川家康もまだこの世に生まれていません。
戦国の乱世からその後の江戸時代、明治、大正、昭和、平成そして令和と、地上での人間の営みとは関係なく、北極海の海底で人知れず過ごしてきたサメのことを考えると、日々のいろんなことがどうでもよく思えてしまいます。
このニシオンデンザメは、地球上で最ものろい脊椎動物と言われており、通常泳ぐ速度は時速1キロ程度とのことです。
サメなのに、こんなにのろくてエサを捕獲できるのかと心配になりますが、あまりに動きがのろいために、気づかずに近づいてきた魚を不意打ちで襲ったり、居眠りしているあざらしを襲ったりしているようです。冷たい海の中で、極めてゆっくりとした動きで、代謝も低いため、そんなに大量のエサが必要というわけでもないようです。
さらに動きがのろいだけでなく、成長も遅く、1年に1センチ程度しか成長せず、性的な成熟も150歳程度と言われています。
こうしてみると、ニシオンデンザメの生き様は、決して急がず焦らず、マイペースを貫く、究極のスローライフのようなものでしょうか。ちょっとあこがれる部分もありますね。
今回は魚の寿命について書いてきましたが、いかがだったでししょうか。魚って意外と長生きだと思いませんか?
くら寿司では、漁師さんに取っていただいた魚を、余すことなく100%活用する「さかな100%プロジェクト」に取り組んでいます。
食べられる身の部分は、お寿司のネタのほか、中落ちやかまの部分もコロッケなどに使用し、骨や内臓といった食べられない部分も、魚粉にして、くら寿司で使用する養殖魚のエサの一部にしています。
○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長
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