「各国のプロで実績がある選手は技術力は高いので問題は人間性。謙虚に自分自身を見つめて環境に適応できるか。結果1つで気分を大きく左右されないか。協調性があるか。性格は変わらないし本性は時間をかけないとわからない。NPBで数年プレーしている選手なら、外す可能性は低い」

 NPBで結果を出しながら不人気だったのが、ウラディミール・バレンティン(ソフトバンク)だ。

 前所属だったヤクルト球団関係者は振り返る。

「打者としては超一流だが気分屋。乗り気でない日はすべてで手を抜く。記録がかかっていた時の集中力が毎試合あれば、とんでもない選手。年俸も高いので費用対効果が悪過ぎる。余裕ある球団でないと契約しないことは予想できた」

 一時は最有力と言われた巨人だが、総合的に考慮し獲得を見送った。

 また、新たな流れとして多くの球団が中南米選手に注目し始めた。育成契約から支配下登録するケースも増えている。

「身体能力はわれわれ日本人は敵わない。技術的に劣っていても魅力はある。またハングリー精神もあるので、監督やコーチに従順。結果を出して調子に乗るタイプもいるが、指導者が管理できれば戦力としてかなり大きい。金額や期間など、契約内容次第では最高の宝になる可能性がある」(MLBアジア地区担当スカウト)

 これまで中南米の選手獲得では、中日の巧者ぶりが目立っていた。当時の中日におけるキーパーソンであった森繁和氏と師弟関係、米国に強いデニー友利氏を今季からスカウトとして迎え入れたのもそのためか。

「デニー氏は中南米系にもアドバイザー的に関わっていると言われる。日本野球への適性などは、森氏にも相談しているのではないだろうか。球団としてこれまで弱かった部分が活性化し始めている」(巨人担当記者)

 また外国人選手の放出にも、性格面や人間性が反映されるようになった。

「性格に難がある選手は実績があっても残さない。アレックス・ゲレーロ、クリスチャン・ビヤヌエバの放出が良い例。プライドが高い2人だったので、使い方には気を遣った。2軍でもチームと別調整など、特別待遇を希望したりした。他選手への影響も考えて契約しなかった」(巨人担当記者)

 17年に中日で35本を打ちセ・リーグ本塁打王獲得したゲレーロ。MLB期待の若手と言われたビヤヌエバ。実戦で使えばある程度の結果は見込める2人だが、そうも言っていられなかった。

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広島の3連覇が巨人の戦略に影響?