定期券での乗車を可能にした当時、車両は箱根や御殿場の観光に特化していたが、1996年に輸送力と車両運用の効率化を重視した30000形EXEがデビュー。1999年に通勤特急と位置付けた列車愛称「サポート」「ホームウェイ」の運転を開始した(のちに「サポート」は廃止)。

 2008年から30000形EXEと同思想の60000形MSEがデビューし、東京メトロ千代田線直通の運用に就く。千代田線の特急停車駅から直接乗車できること、わざわざ新宿へ遠回りしなくてもいいことから、好評を博す。

 2018年3月に複々線が完成すると、朝通勤時間帯の上り列車の列車愛称は「モーニングウェイ」「メトロモーニングウェイ」に統一された。

■特急券よりライナー券が高い京成電鉄

 京成電鉄では特急より上位の列車として、「スカイライナー」「モーニングライナー」「イブニングライナー」が運転されている。

 面白いのは看板列車の「スカイライナー」はライナー券と称し、一律1,250円(大人。以下同じ)で発売しているのに対し、ホームライナー的な「モーニングライナー」「イブニングライナー」は、特急料金と称し、一律420円で発売していることだ。同じ車両ながら、ライナー券は“S級特急”、特急券は“A級特急”と位置付けられよう。列車の位置付けは「スカイライナー」が最上位なので当然だが、他社の表記と比べると逆転しているのが面白い。

 2020年10月1日から印旛日本医大~京成上野に「臨時ライナー」が平日上り1本設定された。特急料金は500円。乗車後、車内添乗員が各席に伺い、特急券を支払う。JR西日本の新快速Aシートと同様の手法だが、交通系ICカードなどには対応していない。

 また、1・2号車(定員96人)のみ開放のため、5号車のトイレが利用できないのが難点と言えよう。

■特急スペーシアの春日部停車で通勤特急に本格参入

 東武鉄道は1990年9月25日のダイヤ改正で、急行(現・特急)「りょうもう」の一部列車、快速急行(のちの急行、特急)「しもつけ」をビジネスライナーと銘打ち、定期券での乗車を認めた。

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