1997年3月25日のダイヤ改正で、すべての特急、急行にも拡大した。当時、通勤輸送に特化した列車は、浅草~東武宇都宮の急行「しもつけ」、浅草~新栃木の急行(現・特急)「きりふり」で、短距離の浅草・北千住~春日部の乗車率がふるわなかった。それもそのはず、急行料金は800円で、運賃より割高なのである。当時、特急スペーシア「けごん」「きぬ」の大半は北千住~下今市ノンストップ、急行「りょうもう」の大半は北千住~館林ノンストップで、短距離乗車を想定していないのだ。
そこで、1999年3月16日ダイヤ改正で、特急スペーシア「けごん」「きぬ」の一部を春日部に停車させ、特急料金は一律制から距離制に転換。急行料金も見直された。これに伴い、浅草・北千住~春日部の特急料金は500円(現在は520円)に設定、急行料金は450円(現在は特急料金320円)に値下げされた。併せて急行「りょうもう」の特急格上げに伴い、加須、羽生停車の列車を増やし、通勤利用を促進する格好となった。
現在、日光線および野田線直通特急は全列車春日部、特急「りょうもう」「リバティりょうもう」は全列車東武動物公園、久喜に停車し、短距離通勤客の着席ニーズに対応している。
また、2017年4月21日から野田線直通、もしくは野田線内で完結する特急「アーバンパークライナー」も新設された。現時点、“帰宅客の足”としており、朝方の設定は困難なようだ。
一方、同日に伊勢崎線浅草~春日部の特急「スカイツリーライナー」が新設され、下り列車はせんげん台に停車し、各駅停車との接続を図っていた。しかし、2020年6月6日のダイヤ改正で下り列車が全廃。その後釜という位置づけなのか、東京メトロ日比谷線霞ケ関始発の座席指定制列車「THライナー」(特急ではない)がデビューした。
最近、500系リバティが3編成9両増備された。2021年にダイヤ改正を実施し、通勤特急の充実や強化などを図り、“さらに住みやすい沿線”をアピールするものと考えられる。(文・岸田法眼)
岸田法眼(きしだ・ほうがん)/『Yahoo! セカンドライフ』(ヤフー刊)の選抜サポーターに抜擢され、2007年にライターデビュー。以降、フリーのレイルウェイ・ライターとして、『鉄道まるわかり』シリーズ(天夢人刊)、『論座』(朝日新聞社刊)、『bizSPA! フレッシュ』(扶桑社刊)などに執筆。著書に『波瀾万丈の車両』(アルファベータブックス刊)がある。また、好角家でもある。引き続き旅や鉄道などを中心に著作を続ける。