3 売り主の焦り度を測る
いくら具体的な数字を提示しても、相手側に本当は1000万円の値引き幅があるにもかかわらず、500万円の値引きをこちらから提示して「ではそのお値段で」と話が進むと、かなりもったいない。相手が下げられるであろう額のちょっと下の値段を提示するのがベストだ。
そのあたりのさじ加減は一般消費者には難しいところだが、わりと見えやすい指標がある。それは、売り主の「焦り度」である。
どうしても売りたければ、値引き幅は自然に大きくなる。その「焦り度」を測る指標として使えるのは物件のオフィシャルページである。
たとえば「ご来場プレゼント」などとして、IT製品などが並んでいるのも、焦っている証拠。しかし、まだ本気になっていない。
「△△キャンペーンで1000万円プレゼント」
など表示がトップページに出ていれば、売り主は相当焦っている。値引きのサインだ。
「モデルルーム使用住戸により、新価格」
なども焦り度合いは高い。旧価格の上にバツや二重線で、新価格が示されていたりする。これも「値引きをやっています」という明解なしるしだ。
少し焦りが感じられるような場合の値引き幅は、物件価格の5%前後であることが多い。明解に値引きのサインが出ている場合は1割程度。明解な値引きのサインを出し続けて数カ月以上経過しているような場合は、2割かそれ以上の値引きされるケースもある。
4 値引きの仕組みを知っておく
値引きの権限は、現場の販売責任者が値引きの予算を持っている場合がある。たとえば、あと10戸売れれば完売、という状況であれば5千万円程度の予算が与えられる場合が多い。1戸当たり500万円相当なのだが、これは一律に適用されるというわけではない。売りにくそうな住戸には800万円、スムーズに売れそうな住戸には200万円、というように振り分けていく。その権限を持っているのが販売責任者なのだ。
値引き事案をひとつずつ稟議に掛けるパターンもある。新築マンションを値引き販売すると、当初の事業計画通りの利益が得られないわけで、これを「経営にかかわる」と考えれば、役員会議の議題だとなっても不思議ではない。