不動産経済研究所は、今年4月から9月までの半年間に、首都圏で発売された新築マンションの戸数は去年の同じ時期よりも26.2%減ったと発表した。首都圏のマンション価格は、1戸当たりの平均が5812万円で、昨年9月と比べると約3%下落した。
【写真】プロが認める「ヴィンテージタワーマンション」はこの物件
こうした状況を挽回しようと、停滞していた新築マンションの販売活動が活発になりつつある。本来、新築マンション販売のひとつのヤマだったGWは、コロナの緊急事態宣言下で売り損じているので、マンションデベロッパーは巻き返しに必死だ。「半年間のロスを取り戻せ」とばかりに、焦っている担当者は私の周りにも何人もいる。
焦る理由はもう一つある。
コロナ前とコロナ後ではマンション市場の風景がガラッと変わる可能性があるからだ。2013年の日銀の異次元金融緩和から約6年間続いた不動産の局地バブルは、コロナをもって終了となりそうな気配だ。この「コロナ不況」は、新築、中古を問わず、マンション価格を下落させることは間違いない。
今、大手に限らずマンションデベロッパーで事業展開のキーマンとなっている人の年齢は、主に50代の後半だ。かくいう私も今年58歳だが、この年代の業界人には特徴がある。
それは今回を含めて不動産市場には過去3回のバブルが訪れ、そのうち2回の「崩壊」を経験していることだ。過去2回のバブル崩壊で、在庫を処理しきれずに倒産した多くのデベロッパーを横目で眺めてきた。相場が下がり続ける前に、少しでも早く売り抜けないといけないという危機感は相当なものだろう。
そんな彼らに率いられたマンションデベロッパーが猛然と販売活動を再開した今、これからは間違いなく値引き合戦となる。それを逆手にとれば、彼らの焦りはこれからマンションを買おうとする人々の値引き交渉にとって、最高に恵まれた環境を形成してくれる。
そこで、コロナ禍の今だからこそ不動産業者の心理を逆手に取った「値引き交渉術」のノウハウをお伝えする。