一方で、ストレスを溜めないように息抜き役を担当したのは父親(38)だ。小学2年生の2月に大手進学塾SAPIXに入塾、中学受験に向けての準備を進めてきたが、父親によれば、長女は「黙っていればいくらでも机に向かってしまい、1日6時間はやる子でした」。こんな調子でやっていては、受験当日までに精神的に潰れてしまう。塾の先生に相談すると「やはり持たない」と言われた。とはいえ、「休んだら」と言うだけで勉強をやめる様子はない。大好きな焼き肉を食べに連れていくなど、意識的に息抜きの時間を作るようにしたという。

■前半は基礎固めが大事

 机に向かう時間が増えたのには、コロナの影響も少なからずあるようだ。今年の受験生は、春ごろは緊急事態宣言の影響で塾の授業がなかったため、自宅で基礎固めが中心となった。

「他の子の状況も見えませんでしたから、みんなより遅れているのではと、本人は焦りを感じているようでした。“あなただけじゃないから大丈夫”と言い続けてきました」(母親)

 最終学年の年度前半は基礎固めに重要な時期だが、今年の受験生は、そこがコロナ禍と重なった。

「今年は前半、塾が休講になった影響で、基礎固めの時間が十分に取り切れなかった可能性がある。模試の平均点も例年よりも低めでした」

 と言うのは森上教育研究所代表の森上展安さん。ただ、基礎のほとんどの単元は5年生で習うため、影響がさらに大きいのは来年の受験生ではないかと森上さんは分析する。

「オンラインで授業を続けた塾もありましたが、中学受験の場合、受験生はまだ小学生です。対面授業と比べると吸収率は低いと思います」

 しかし、中学受験はコロナ禍だからといって、大学受験のように、受験範囲が変わることはない。基礎の定着に不安が残る新6年生はこの1年、特に、塾シーズンスタートダッシュのこの時期をどう過ごすのが正解なのか。

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