彼は10歳の誕生日に、幼なじみの少女・折本里香(おりもと・りか)から、「指輪」をもらう―― これがすべての発端となった。幼い彼らは、結婚することを誓いあう。しかし、その直後、里香は交通事故に遭い、憂太の目の前で死んでしまった。
無邪気な「婚約の誓い」が、里香を「特級過呪怨霊(とっきゅう・かじゅ・おんりょう)」という、極めてめずらしく、何よりも強い「怨霊」に変えてしまう。憂太は里香の呪力に守られるようになる。憂太をいじめる者、傷つける者は、すべて里香によって排除されるようになり、憂太に執拗な嫌がらせをしていた男子生徒4人は重傷を負った。
本来であれば、「呪力」によって一般市民を傷つけた呪霊・怨霊は「祓われ」、協力関係にあった人間は死刑になる。しかし、呪術高専の教師であり、最強の特級呪術師・五条悟(ごじょう・さとる)が、彼の身柄を引き受けた。
<完全秘匿での死刑執行? ありえないでしょ><しかし本人が了承した><未成年……16歳の子供ですよ>(五条悟・呪術高専上層部/0巻・第1話「呪いの子」)
憂太は里香の行動をコントロールすることができず、里香を嫌いになることもできない。やがて、強烈な自己嫌悪から死を望むようになる。
■里香を「化物」に変えたのは誰か?
この里香のすさまじい呪力は、世界を混乱させようとする呪詛師(じゅそし、=呪力を人間への攻撃のために使う人物)から狙われるようになる。そんな中、呪霊がらみの事件を経験するうちに、「里香に呪われている」と思い込んでいた憂太は、自分の執着こそが「里香を化物にした原因」だということに気づく。
<里香ちゃん!どうしよう!!死んじゃうの!?助けなきゃ!!死んじゃダメだ 死んじゃダメだ>(乙骨憂太/0巻・最終話「眩しい闇」)
里香が事故にあった時、憂太は無意識のうちに、里香の死を許さない「呪い」をかけてしまっていた。憂太は里香を「自分がかけた呪い」から解放することを誓う。