週刊少年ジャンプに連載中『呪術廻戦』の累計発行部数が2021年3月4日で3600万部を突破した。連載中のジャンプ本誌では、東京都渋谷区を中心に起きる「渋谷事変」のすさまじい被害が次第に明らかになり、主人公・虎杖悠仁らは強い悲しみと絶望に包まれる。そんな時、戦力を大きく削がれた「呪術高専」側に、到着を待たれていた人物・乙骨憂太が姿をあらわした。特級呪術師・乙骨の戦闘力は想像をしのぐものだったが、初登場の時と比べると、彼の描写には「大きな変化」が見られる。今後の展開のキーマン・乙骨憂太の謎めいた人物像を考察する。【※ネタバレ注意※】以下の内容には、放映中のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。
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■『呪術廻戦』における「呪い」とは?
<日本国内での怪死者・行方不明者は年平均10000人を超える>(1巻・第1話「両面宿儺」)
『呪術廻戦』では、この10000人のほとんどは、「呪い」による被害者だと説明されている。「呪い」は、人間の恨み、ねたみ、怒りなどの「負」の感情が集まることによって生成される。
だが、『呪術廻戦』の「呪い」の定義には、この説明にはおさまりきらない、一種独特な設定がみられる。負の感情であるはずの「呪い」の力が、「誰かを助けるため」にも使われるのだ。
したがって、この作中で救済者が使う力も、また「呪い」なのだ。この「負の感情=呪い」の定義そのものが、『呪術廻戦』の世界観を、如実に表現しているものといえよう。
■呪術師の強さ
『呪術廻戦』の作中には、「呪いを祓(はら)うために呪いを学ぶ」ことを目的として設置された、「呪術高等専門学校」(通称「呪術高専」)という場所がある。呪術師には、強さに合わせて等級が設定されており、上から「特級、一級、準一級、二級、準二級、三級、四級」に分かれている。そして「特級呪術師」は、たった4人しかいない。
この作品の重要人物のひとりである、乙骨憂太(おっこつ・ゆうた)は、呪術高専に編入直後から、この「特級呪術師」に選定されている異例の人物だ。なぜ彼は「特級呪術師」になることができたのか。