そもそも、人間はすぐにラクな方に流れますから、難しい問題に出会って考えるのが面倒になったら、ちょっと休憩と称して勉強とは関係ないサイトを息抜きとして見てしまうのは容易に想像できます。しかし、5分見るつもりが気づいたら1時間も経過していた、なんてことは大人でもよくあること。YouTubeなどの奥には AIが隠れていて子どもの趣味や好みを判断して、次々と興味がありそうな動画をあげてきますから、その魔の手から逃れるのは至難の技です。ネット上のコンテンツやそれを提示する仕組みはうまくできていて、それに絡めとられると大事な自分の人生をネットに捧げることになりますね。

 YouTubeもためになるものもありますが、なんといっても他人が興味を持った内容を動画にしているわけで、いわば人の人生をかいま見ているだけなのです。大人は娯楽や趣味として見ることができますが、子どもはこれから自分の人生を作っていかなければならず、そのために長時間を費やすということがいかに愚かなことかはわかるでしょう。

 やはり、子どもは18歳までは非常に未熟な存在だということを大人が認識することです。未熟なのだから、全力で守らないと。やはり、今の時代は親がネットの使い方に関してはよく考えないといけないと思います。

 便利なツールですが、なんでも「便利さ」は「諸刃の剣」ということは間違いなく真理なので安易に子どもに与えることは危険です。

――確かに、線引きは難しいですね。学校で習う勉強で子どもがつまずきやすい箇所や理解が難しい内容を、わかりやすく解説した学習系・勉強系のYouTubeも人気です。学習に役立つコンテンツもあります。

佐藤ママ:私もいくつか見ましたが、非常にわかりやすく、子どもの理解の助けになると思いました。そうしたコンテンツを子どもが利用すること自体は否定しませんが、その動画を見るだけでは本物の実力はつきません。授業ではわからなかった問題を解決するのに分かりやすいヒントはもらえます。でも気をつけないといけないのは、そのわかりやすい解説を見て、子どもがわかったつもりになってしまうことです。見ただけでは理解したことにはならず、やはり自分で何も書いていない紙に鉛筆で解けなければダメなのです。

 人から解き方を習うとわかった気になりますが、実はそれでは不十分なのです。それは、家庭教師をつけてもテストの点数がよくならない、塾や予備校の講義をたくさん受講しても思ったように伸びないというケースと同じ“落とし穴”にはまっているのだと思います。

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子どもは「わかったふり」が得意