――“落とし穴”をもう少し、具体的に教えてください。
佐藤ママ:人から説明されると自分でも解けるような気がしてくるのです。しかし、自分でやってみると解けない。「見るだけ、聞くだけ」と「自分がわかる」というのは大違いということです。わかった気になってしまってもう自分で解くことはしない、ということはしっかり”落とし穴”に落ちた状態です。やはり、自らの手で苦労して考えて解かないとものにはならないのです。面倒だけどその後に味わう喜びは大きく、その真の喜びを子どもたちには味わってほしいと思います。
学習系YouTubeなどのネットの解説動画はわかりやすくできており、繰り返して何度でも見ることができますから、どうせなら内容を暗記してしまうくらい徹底的に見たらいいのです。そのくらいの覚悟がないと結局はひまつぶしにしかなりません。子どもは、「わかったふり」が得意ですので、親は子どもに説明してもらうとかチェックすることも有効です。
――現代人はすぐに答えを求めがちです。また、すぐに「答え」がわかることも、ネットの利点でもあります。
佐藤ママ:大人は、すぐにネットを利用して答えを探したらいいと思いますよ。そこそこものがわかっている大人は、答えを取捨選択できますから。しかし、子どもは今からたくさんのものを学ばないといけないので、なんでも安易に結論のみをネットから探してわかった気になっては成長しません。
だから、「子どもとネット」との付き合い方は大人がよく考えなければならない重要問題ということになります。0歳から18歳まで心身ともに成長し続ける子どもを、親はあらゆることで守るという姿勢を貫くべきでしょう。
そして、なんといっても視力の問題があります。子どもの目は成長過程なのでタブレットの画面を見続けることが害になるのは間違いありません。目は一生使うものですから、子どもの時には細心の注意が必要です。
ネットのない時代は、ああでもない、こうでもないと子どもは自分の頭で考えたものです。解き方を塾の先生に質問するのでも、翌日になったり、生徒が質問するための列に並んだりしなければならないので、それまで何がわからないのか自分の中である程度整理していました。ネットの解説動画に全面的に頼るのは、自分で考えるチャンスが奪われることでもあります。