先の年金制度に詳しい専門家によると、法律に従わなければならない項目と、企業年金側で選択できる項目があるので注意が必要だという。

「例えば、加入可能年齢は企業が選択できる項目です。法律上はDBは昨年69歳までの加入が可能になっており、企業型DCも22年度から同様になります。ただ、勤め先の企業がそれを選ぶかどうかはわかりません」

 実際、「65歳定年」に変更したところでも、60歳超の社員に加入を認めるかどうかは企業で対応が分かれているという。勤め先の情報収集を怠らないようにしたい。

 制度変更に加えて、負担増の動きも急だ。

 6月4日、75歳以上の後期高齢者医療の“自己負担”について、一定の所得(単身世帯は年金含めて200万円以上など)がある高齢者は「2割」とする改正法が国会で成立した。22年度後半に実施される見込みだ。

 いまや国民医療費は年間43兆円にものぼる。その過半の26兆円が65歳以上、さらにその過半の16兆円が後期高齢者向けだ。今後、団塊の世代が次々に後期高齢者入りするから、ひょっとしたらもう一段の負担増があるかもしれない。

 介護保険料は3年に1回見直されている。65歳以上の保険料は上がり続けており、21年度の改定で多くの政令指定都市や県庁所在地の自治体が「6千円」以上になった。

 制度変更や負担増、さらには年金の給付抑制も相まって、将来の手取り額はますます減ってしまう可能性が高い。すべてを予想することはできないが、老後資金対策はそこを見据えての準備が必須である。「パズル」を解くとともに日々、傾向と対策。やはり「勉強」「研究」が欠かせない。(完)(本誌・首藤由之)

週刊朝日  2021年7月9日号より抜粋

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