これと同じ日、麻生氏は、「コロナで全員、死に絶えるようなあおった新聞記事も拝見するが、日本の場合10万人当たり12、13人亡くなっている。人口比では、先進国の中で最もうまくいっている」と述べた。
しかし、先進国の中でも、100万人当たり死者数で見て、アイスランド87人、韓国40人、オーストラリア35人、台湾30人、香港28人、シンガポール6人、ニュージーランド5人など、日本の118人よりはるかに優秀な国・地域はたくさんある。明らかなフェイクニュースだ。これは国民を愚弄する発言だとして大きな反発を呼んでいる。
自分たちの責任で死に追いやった赤木氏の遺族の心を踏みにじり、都知事を馬鹿にして自民党に迷惑をかけ、外交でも無用な混乱を招き、さらには、国民を騙す発言を続ける。
彼が総理の時に自民党は政権を失ったが、当たり前のことだ。
今回も、彼が衆議院選前に、放言、暴言、失言、虚言、妄言を連発すれば、国民の怒りが頂点に達し、自民党に強い逆風が吹くだろう。我らが「暴言王・麻生太郎」に感謝する日がもう一度来るまで、我慢することにしよう。
※週刊朝日 2021年7月23日号より
■古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『官邸の暴走』(角川新書)など